第357話 秘密がバレた!
こんばんは。
今月最後の投稿です!
事は、真樹が昔の友人を頼ってタッピーの正体を突き止めた所まで遡る。彼女の正体が辰巳日菜という少女で、真樹がかつて住んでいた東京の辺りが拠点であることが分かった直後、真樹はある場所に向かった。
「すみません!急で悪いんですが、素行調査をお願いします!」
真樹がそう言って駆け込んだのは、探偵事務所だった。突然の訪問に、探偵が驚きながら聞いた。
「ど、どうしたんだい、君?」
驚く探偵に対して真樹は単刀直入に言った。
「この人、辰巳日菜という人の調査をお願いしたいんです!彼女はタッピーという名でプロゲーマーをしていますが、改造ソフトを使用している疑いがあります!僕も、僕の友達も被害に遭いました!でも証拠がないので、追及が出来ません!お願いします!今度のモンスナの大会までに調査して欲しいです!」
「い、いきなりそう言われても…!」
「依頼料は勿論ちゃんとお支払いします!だから、お願いです!」
あまりに真樹が必死に頼み込むので、探偵の方はとうとう折れて依頼を引き受けた。そして、数日後…。
「わざわざお越し頂き、ありがとうございます。湯川さん。」
「こちらこそ、大会に間に合わせるために無茶言ってごめんなさい。」
「調査結果なんですけどね…。」
そこで、真樹は探偵からタッピーに関する真実を聞くことが出来た。
「分かりました。ありがとうございました。あ、依頼料も持ってきました!」
こうして真樹は探偵から得た情報を手に、大会に臨むのであった。
そして、大会の会場にて。真樹はタッピーを破って見事に優勝したのだが、授賞式を拒否している所だった。そして、タッピーは真樹に言いがかりをつけられていることに怒っている。
「改造なんて私がするわけないでしょ?!そんなことしなくても私強いもん!」
「ほう、まだ白を切るつもりか。じゃあ、これは何だ?」
真樹が指を鳴らすと、慶や杜夫達がステージ近くに何かを持ってきながら駆け寄ってきた。それは、杜夫の自前のノートパソコンとプロジェクターだった。
「よし、杜夫。流せ!」
「了解!」
杜夫はそう言ってパソコンとプロジェクターを捜査して、ステージに映像を流す。すると、そこにはタッピーと従姉である麗華とのやり取りが記録されていた。
『日菜、いよいよ大会ね!優勝してね!』
『当り前よ!麗華お姉ちゃんや、ステルスストロンガーに泥を塗るわけにはいかないもん!』
『私が作ったステルスストロンガーは、そこらのポンコツチートアイテムとは違うからね!全体にバレずに勝てるから!』
『本当にいい物作ってくれてありがとう!』
『いいのいいの。可愛い従妹の為だし!これで、私達を馬鹿にした連中はみんなひれ伏すから!』
『フフフ。なんだか、その光景が目に浮かんできたわ!』
それを見てタッピーだけでなく、会場の観客や司会者の男性も唖然としている。タッピーは顔を青くして冷や汗をかきながらも、言い訳を続けた。
「なっ…。こ、こんなの作りものです!今はAIで何でも作れますからね!これは私をはめるための罠です!」
「ほう。じゃあ、これを見てもまだ同じことがいえるか?お願いします。」
真樹がそう言うと、警察が入ってきた。しかも、真ん中に若い女性を連れている。真樹の映像に映っていた女性、従姉の麗華である。
「麗華お姉ちゃん!」
「ご、ごめん日菜。まさかバレるなんて…!」
実は真樹はこの探偵の結果を受けて、すぐに警察へ通報。そして、それを受けた警察がまずは違法なソフト改造システムを制作したとして麗華を逮捕し、真樹の要望を受けて会場に連れてきたのだった。更に真樹は続ける。
「あと、僕が言っていることが言いがかりではないことが分かるようにこの映像を見てください!」
真樹がそう言うと、プロジェクターの映像が切り替わる。それは真樹がタッピー杯でタッピーと対決した時の物だった。
「よく見てください。フェアリーフラウのビーム攻撃が微かですが不自然に僕の方に向かって曲がっていますし、剣から光線の様な物が伸びています。1度でもフェアリーフラウを使ったことがある人ならわかるでしょう。こんな機能、このモンスターにはありません!」
真樹が大声でそう言うと、タッピーはがっくりと膝を下ろした。そして、会場からはファンの悲痛な叫びが聞こえてきた。
「嘘だと言ってくれよ、タッピー!」
「応援してたのに!」
「何でそんなチート使ったんだよ!」
「俺たちの応援を返せよ!」
周囲から責められたタッピーは膝をついたまま話し始めた。
「はぁ~あ。バレちゃった。でもね、あんたたちに女だからってゲームやってるだけでバカにされた時の気持ちが分かる?好きなゲームをやる動画上げた時も、『下手くそ』『お前ゲームやるな』なんて書き込まれた時の気持ちが分かる?!ゲームなんて、勝てばいいのよ!どんな手使っても勝てばみんな手のひら帰すのよ!」
あまりに勝手な言い分に対し、真樹は冷たい表情で言った。
「馬鹿にされたり、アンチコメ書かれた事には同情しよう。だが、不正をしていい理由にはならん。これは作品、製作者、全てのプレイヤーに対する冒涜だ。ましてや大会でやるなんてな。しっかり罪を償ってもらおうか。」
真樹がそう言った直後、麗華も諦めた表情で言った。
「日菜、もう無理よ。私たちはやり過ぎたのよ。白旗を上げましょう…。」
そして、別の警察官がタッピーの所にやって来た。
「辰巳日菜さん。あなたを著作権法違反及び、私電磁的記録不正作出罪の容疑で逮捕します。」
こうしてタッピーこと辰巳日菜は、改造ソフトを使って初心者の真樹に負け、おまけにすべてバラされて逮捕されるという最悪な結末を迎えた。警察に連行されるタッピーと麗華を見て、慶と美緒が憐みの視線を送りながら言った。
「最初から改造ソフトなんか使わなければ、優勝できなくても逮捕されることはなかったのにね。馬鹿なことしたよね。」
「私だって別にゲーム得意じゃないけど、泣けたら負けたで仕方ないし、好きな作品なら尚更反則なんて許せないわ。勝ちに囚われた末路は悲惨ね。」
伸治と武司もうんうんと頷きながら言った。
「野球でも不正投球なんて言語道断だからな。そんな奴にプレーする資格はないぜ!」
「そうだ。だが、真樹がそんなずるした奴に勝っちまうんだからな。そこは褒めてやりたいぜ。まあ、女嫌いの執念深さに恐ろしさも感じたが…。」
なんてことを言っていた一同だが、会場の雰囲気はまだ像然としている。そんな中、司会者の男性が動揺しながらもマイクを取った。
『た、大変なことになってしまいましたが、これにて大会を閉幕します!』
こうして、モンスナの全日本大会はタッピーの不正がバレたことによって予想外の雰囲気を残したまま終わることになった。
翌日。タッピーの事は言うまでもなくトップニュースになった。ある新聞にはこう書かれていた。
『昨年世界チャンピオンの女子高生ゲーマー!改造ソフト使用発覚!プログラマーの従姉が手を貸す!』
<人気ゲームであるモンスターストライクの大会で世界チャンピオンを取った現役女子高生でプロゲーマーのタッピー(本名:辰巳日菜)が著作権法違反などの罪で逮捕された。辰巳容疑者は、同じく逮捕されたプログラマーで従姉の辰巳麗華容疑者(25)が作成した特注の改造システム「ステルスストロンガー」を昨年の世界大会より使用していたことが発覚。前日行われた全日本大会も決勝まで進むも試合終了後に無効、失格となった。調べに対し辰巳容疑者は容疑を認めており「女のくせにゲームとか、などと馬鹿にされて悔しかった。勝てば馬鹿にされなくて済むと思った。」と供述し、麗華容疑者も「仕事の事でむしゃくしゃしていた。でも、日菜がゲームで勝っているのを見ると嬉しくなるから手を貸した。」と容疑を認めている。尚、モンスターストライクの制作会社は、両容疑者に対して損害賠償を請求する準備を進めている模様。>
そして、学校にて。
「くそっ!これがステルスストロンガーに勝った奴のプレイングか!だが、絶対に負けないぞ!」
「甘いな杜夫。そんなんじゃ俺は倒せん。」
休み時間に、杜夫と真樹がモンスナで対戦していたのだが、すっかり自信を付けた真樹はあっさりと杜夫を倒してしまった。その様子を見ていた慶が言った。
「でも真樹、いくらタッピーがズルしていたとしても、優勝辞退することはなくない?ちゃんと戦って勝ったんだし。」
慶の言う通り、真樹は優勝を辞退したばかりか、優勝賞金も受け取らなかった。結局あの後、運営側が協議した結果大会そのものが無効となり、出場者の戦績は参考記録扱いになった。それに対して伸治、武司、美緒も慶に同調した。
「そうだぜ、真樹。寧ろチートに勝ったことに俺は賞を贈りたいぜ!」
「俺だったら胸を張るな!だってズルせず完勝したんだし!」
「私も少し勿体ないって思ったわ。折角あんなに頑張って勝ったのに。」
そう言う一堂に対し、真樹は表情を変えずに言った。
「俺は勝負する以上、フェアな戦いしか好まん。それは相手に対しても求める。不正した奴に勝ったとしても、それは勝負とは言わん。」
そう勝負へのポリシーを語った真樹。こうして、真樹の執念ともいえる頑張りのお陰で、モンスナというゲームを不正行為で荒らされるのを食い止めることが出来たのだった。
こんばんは。
本エピソードはこれで最後です。
5月からは新エピソードを予定しております。
お楽しみに!




