第358話 帰ってきたあの子
こんにちは。
5月初投稿です!
現役女子高生プロゲーマーであるタッピー、本名辰巳日菜の改造ソフト使用を暴き、協力者である彼女の従姉の辰巳麗華諸共成敗した真樹。結果2人は逮捕され、タッピーは失格となり、スポンサーからも契約を解除。麗華の方も違法ソフトを無断で作成したとして勤務先から懲戒処分を受けた。更に、モンスタースナイプの制作会社からも損害賠償を請求され、二人共落ちるところまで落ちたのだった。因みに真樹は優勝したがタッピーが改造ソフトを使用していることを理由に受賞を拒否。大会運営側も事態を重く見て、今大会は無効とし、参加者の戦績は参考記録となった。勿論ネットでは大炎上し、タッピーや麗華に罵詈雑言が浴びせられる一方、改造ソフトを使用したタッピーに勝利したことで真樹を称賛するコメントも見られた。そんなこんなでひと騒動会った真樹だったが、また物語が動き出そうとしていた。
-7月上旬 千葉県上空-
「ふぁぁ~、寝ちゃった。ん、もうすぐ到着じゃん。」
あくび交じりにそう言いながら目を開けたのは、日焼けした肌にセミロングヘアーの少女だった。彼女が目を覚ましたのは台湾の高雄から成田空港へ向かう飛行機の座席である。そう、かつて真樹達の通う高校に留学していた台湾出身の陳沙崙だ。
「久々の日本だわ。みんな元気にしているかな?」
ワクワクした表情でそう言った沙崙。台湾は日本とは異なり、6月に終業・卒業式を行い、9月に始業・入学式を行う。つまり、彼女は日本にいる真樹達より一足早く夏休みに入ったのだった。その休みを利用して日本にやって来た彼女に対し、両親も会いに行っておいでと温かく送り出したのだった。彼女の飛行機は徐々に高度を下げ、滑走路に着陸。飛行機を降りて無事に入国審査を終えた沙崙は、再び日本に降り立ったのだった。
「やっと着いたー!久しぶり、日本!」
嬉しそうにそう言った沙崙は、キャリーケースを引いて電車のホームに向かい、成田駅方面の電車に乗った。
「スケジュールや飛行機代の関係で行くのが平日になっちゃったけど、ちょっと顔出す位なら別にいいよね?真樹達には7月日本に行く事はもう連絡しているし。」
電車に乗りながら成田駅を目指す沙崙。そんな彼女を乗せた電車は定刻通りに成田駅に到着したのだった。
-同日15:30 大谷津学院正門前-
「やっと終わった~!早く帰ってアイス食べたい!今日も暑くてたまらないよ!」
「ホントよねぇ~。あ!昨日からハイスピードスパイクのアニメ2期が始まって録画してたんだった!帰ったら見なくちゃ!」
そう話しているのは慶と美緒である。授業を終え、部活の練習もない二人は共に帰ろうとしていたのだが…。
「ん?ねえ、慶。」
「どうしたの、美緒?」
「あれ見て。」
「何…?」
美緒はある方向を指差した。そこにはTシャツ、ジーパンを履いている日焼けした少女が緑色のキャリーケースを傍らにフェンス越しにグラウンドの方を見ている様子が伺えた。
「どっかで見た事ない?」
「確かに、僕もそう思う。」
「行ってみるわよ。」
「うん、そうだね。」
2人はその少女の方向に早歩きで向かった。因みにその少女とは紛れもなく沙崙本人である。
「へぇ|~、相変わらず頑張っているわね|。それにしてもずいぶん増えたわね|。前はベンチ入りメンバーギリギリだったのに|。」
嬉しそうに台湾語で呟く沙崙。彼女は外から自身が臨時マネージャーを務めていた真樹達のいる野球部の練習を見ていたのだった。そんな彼女に横から声がかかる。
「ねえ。」
「ちょっといい?」
声を掛けたのは慶と美緒である。沙崙は振り向いて二人の顔を確認すると、ぱぁっと笑顔になった。
「慶、美緒!久しぶり!元気してた?!」
そして慶と美緒も相手が沙崙だと分かると、嬉しそうな様子で彼女を抱き寄せた。
「やっぱり沙崙だ!こっちこそ久しぶり!ここで会えて嬉しいよ!」
「私もよ!お帰り、沙崙!」
約半年ぶりの再会を喜ぶ3人。沙崙の方は二人にこれまでの事を話した。
「いやぁ~、日程とかサーチャージの関係で平日の飛行機しか乗れなくて!折角だし学校の様子見てこようかなって思ったら野球部の練習につい夢中になっちゃって!」
そう話す彼女に慶と美緒はクスっと笑いながら言った。
「沙崙らしいね。あ、折角だし真樹達にも会いに行ってきなよ!」
「そうよ。湯川君達や関屋先生も喜ぶわよ!週末にでもみんなで集まりましょ!」
「うん、分かった。謝々!」
笑顔で手を振りながら慶と美緒は帰宅し、沙崙は学校の方へ向かった。事務室で入館許可証をもらうと、その足でグラウンドの方へ向かう。入口の方へ近づいた。そして、伸治とキャッチボールをする真樹を見ると、大声で言った。
「おーい!真樹ー!伸治ー!武司ー!先生ー!久しぶりー!」
その声を聴いた真樹達の動きが一瞬止まる。そして、伸治が真樹の方に近づいて言った。
「おい、真樹!あいつ、沙崙じゃん!おーい、沙崙!久しぶり!」
「沙崙!到着今日だったか!すまーん、空港迎えに行けなくて!」
そして、その横で武司も跳ねながら喜んでいる。
「沙崙!久しぶりだな!俺もお前に会いたかったぞー!」
関屋の方も嬉しそうに微笑みながら沙崙に言う。
「おーい、陳!お前も大谷津野球部の一員だろ!そんな所に立ってないで早く入ってこい!」
「はい!」
元気よく返事した沙崙はキャリーを引きながらグラウンドに入ってくる。そして、それを見た2年生の丈、千葉、登戸、幕張の4人は嬉しそうに駆け寄った。
「陳先輩!お久しぶりです!」
「お元気そうで何よりです!」
「見てください!部員も増えて、みんなやる気いっぱいです!」
「今年も、甲子園目指します!」
「うん!久しぶり!みんな元気そうで私も嬉しいわ!」
そして、関屋は1年生達に沙崙の事を紹介した。
「1年生の皆は初めてだったな。彼女は陳沙崙。3月までうちに留学していて、野球部のマネージャーをしてもらっていた。」
「初めまして!陳沙崙です!台湾、台南市出身です!昨年度までここでお世話になってました!」
明るくハキハキ挨拶した沙崙に、1年生もどよめいた。
「あ、あの人があの伝説のマネージャー!」
「まさか本人に合えるなんて!」
「しかも可愛いし。」
「日本語もめっちゃ上手!」
1年生からも拍手で迎え入れられた沙崙に、真樹は再び声を掛けた。
「沙崙。また日本に来て、うちの野球部に顔を出してくれたことを心から感謝する。折角だ。練習も好きなだけ見ていってくれ。今の俺達を見て欲しい。」
その言葉に武司と伸治も頷きながら同調する。
「そうだぜ、沙崙!お前には随分世話になった。このグラウンドを家だと思ってくれていいぜ!」
「部員も増えてパワーアップした俺たちの本気度、いっぱい見せてやるよ!」
「いいの?!ありがとう!じゃあ、遠慮なく見せてもらうわ!」
関屋も頷きながら沙崙に声を掛けた。
「陳。お前がうちの名誉マネージャーであることに変わりはない。何か思ったことがあったらいくらでも言ってくれ。」
「分かりました!先生!」
「さあ、みんな。今日も張り切って練習するぞ!」
「「「「はい!」」」」
こんな感じで、この日は台湾から来た少女の嬉しい再会劇となったのである。
こんにちは。
沙崙が久々にリモート以外で登場です!
いつかまた出したかったのですが、今エピソードで出すことに決めました。
次回もお楽しみに!




