6:初給料
武器屋から十分ほど東に進むと石材で建てられ、横幅五十mほどで三階建て、壁に剣と盾の紋章を彫り込まれた魔物ハンターギルドに到着して入口の扉を潜った。
もうすぐ昼時なのか、入って右側にテーブルや椅子が用意され、そこで飲み食いする者たちが結構いる。皆武装し、何時でも戦えるようないで立ちだ。
俺たちが入ると同時に全員から見られる感覚がする。顔は一切向けてはいないが目線だけで見ているのだろう。相手が子供だと分かると視線を外したのだろう、変な感覚は無くなった。
正面は奥に行ける通路があるが何が有るか不明の為今回はパス。左には受付があり今回は其方へ用事があるので受付の方に話しかける。
「すいませんお姉さん、この辺りの魔物分布図とかありませんか。初心者用の魔物のいる地域を探してるんです」
「あら、可愛い坊やね。ハンターギルドへの加入は……してないようね」
この女性は兎人族だろう、頭上から上へ二十cmほどもある長い耳がピンと立っている。髪の色は真っ白、背の高さは椅子に座っている為不明。同じくスタイルも不明だが、いやぁ、胸すんごいわ、パツンパツンで服が破けそうなんだけども、目のやり場に困る。
一サイズ大きいのを着た方が良いと思われた。
「加入していないと情報は頂けませんか?」
そこへ後ろから声を掛けられた、何時の間に接近したのやら。
「なんだ、坊主は低レベルの魔物狩りがしたいのか?」
リーズは何も手にしていないので俺だけが魔物を倒すのだと判断したのだろう。そちらを見ずに返答をする。
「そうです、来年学校へ通う為に少しでも実力を上げたいのです」
「ふむ、武器が槍なら足の遅い魔物なら問題無く倒せるだろ。そうだな、ミルワームかゴブリン辺りはどうだ。
場所は西門から出て北西方向にある森だ。浅い位置は問題無いが奥へは行くな、強い個体がいるからな」
強い個体が何なのかはわからないが、レベル一の俺にとってはうってつけの相手だな。ワームって事は芋虫か何かだろうし。ゴブリンなら相手にしたが、Lv一でも余裕で勝てる手ごろな相手だ。
「あの、此方の方の情報に間違いありませんか?」
「間違いないわよ、それで合ってるわ」
そして振り向く。
「俺の名はテリストです。何方かは存じませんが情報をありがとうございます」
頭を下げてお礼を言った。
「なに、良いって事よ、魔物が一匹でも減ればそれだけ安心して暮らせるってもんだ。それじゃあなテリスト」
お姉さんにもお礼を伝えて帰路につく、リーズにきつく無いか聞いてみたが全然平気な様だ、これで買い物パートは完了した。
帰宅して武器を見せ、残金の銀貨二枚を返して食事を済ませる。パンがバスケットに山盛りに置かれ、スープと何かの燻製肉か? 二切れが各個人に宛がわれていた。
帝国時代に学んだ事がある。パンは必ずスープでも良いから汁物に漬けて食べろって事だ、思いっきり最初噛みついた時は歯が折れるかと思った。若干血が滲んだのは誰にも話していない。
脱線したがスープは美味しかった、母さんの料理の腕が良かったので安心だ。食生活で困る事は無さそうだ。
今日は大事をとって休みなさいと、半ば強制的に休まされた翌日。午前中は体調不良にならないか観察され、狩の許可が出たのは昼食前だった。
食事を済ませた俺は早速出かける事に、一人で出かけるので迷子にならないか心配されたが、果物店が目印になって丁度良いと話したら信用してもらえた。
そして家を出て二十分ほどで西の門前に、俺は住人の為フリーパス。名前を告げるだけで通れた。
さて、ここからが本番だ。刃にかぶせていた保護具を取り、<気配探知><気配遮断><魔力探知><魔力操作>を常時発動して敵の感知と自身の感知阻害を平行しておこない北西の森へと進んで行く事一時間程度。
例のウルフに三度ほど襲われるも無問題。横に豪快に払う事で簡単に倒せた。
探知を行いながらも植物を鑑定をしながら薬草類を片っ端に引っこ抜いては収納する。ミルワームという芋虫にも出会った。約五十cm程度の大きさでモゾモゾと動いている。攻撃方法は体を縮こまらせ伸びるように跳躍しての体当たりだ。犬と比べても更に動きが読みやすいとか弱すぎる。
そしてこいつのドロップだが、魔石極小にミル皮というのが残った。見るからにオブラートだ。反対側が透けて見えるほど薄い。
ゴブリンは相変わらず雑魚だった、感想は無い。
約二時間程度は狩ったかなという事で帰路についた。そして全く探知に引っかかっていなかった存在が頭上に感じられ、それも一気に接近されている事から、思わず反射的にそちらへ槍を突き入れると確かな手ごたえがあり、目線を向けた時にはドロップアイテムが落ちてくる所だった。魔石小、それがドロップアイテムだ。
そして西門までトラブルも無く、発見した狼の魔物を狩って家路についた。
「ただいまー、今帰ったよ」
「お帰り。テリスト君、怪我はない? 体調は大丈夫?」
病気回復の翌日に狩りに行ったのだ。朝から長時間行かせるより、体調がよさそうならお試しで行かせると判断して許可してくれたのだろう。その為に体調変化が無いかの確認だったのだ。
「お腹減っただけでどうも無いよ、かすり傷一つね。それよりさ、戦利品なんだけど母さんが買い取って販売する? それともギルドにでも売って来たが良い?」
「それは戦利品次第ね、見せてくれる?」
薬草×二十六本
月夜草×十二本
魔力草×三十二本
アンブローシア×一本
犬皮×四枚
錆びたナイフ×十二本
ミル皮×十枚
魔石極小×二十七個
魔石小×一個
「薬草類は無理ね、それは今朝行った先生に買い取ってもらうわね。
ウルフ外皮は交易品に出来るから買い取るわね。ナイフは精製しなきゃ駄目だから無理ね。ミル皮は特殊な加工が必要だけど人気商品だから父さんに渡しましょう、良い交易品になるわ。魔石は何処へ行っても品薄ね、買い取りましょう。それでどうしたのこの一つだけ小サイズ」
数じゃなくそっちに食いついたか。以外だな。
「それが感知できずにそいつがいる木の下を通ったんだよ。動いた事で感知できて反射的に串刺しにしたから姿を見てないんだよね」
「危機一髪だったのね、それでもし襲われて噛みつかれていたら対策はあったの?」
今のMP残量は六か、少しは回復してるな。それなら一回は可能かな。
「対策はあるけどあまりしたくはないね、とりあえず一度見せるよ」
錆びたナイフに【エンチャント/ファイアブレードLv1】を付与すると刃から炎が吹き出すが、何分握手部分がから近いので直に炙られ正直熱い。
「こんな訳で、相手に直接火を付ければ丸焼きに出来るから傷は負うけど問題無い」
燃えてるナイフを収納した。スキルなので手荷物が燃える訳でもなく、周囲へは影響が皆無で安全な処理の方法だ。
「また無茶するんだから。赤くなってるわね、水で冷やしておきなさいよ、対処が可能なら止めないわ。
それで買い取り額ね、ウルフ外皮が一枚銅貨三枚ミル皮一枚が銅貨二枚、魔石極小が銅貨一枚、魔石小は銀貨五枚ね。
合計は金貨一枚と銅貨九枚、良いかしら? 後、薬草関連は明日ね」
「槍の代金を差っ引いて良いよ母さん、そうすればプラスマイナス0でしょ」
「本当に良いのね? テリスト君が良いのなら引くわよ」
「うん良いよ。それはそれ、これはこれ、はっきり区別をつけるべきだと思うんだ」
____________________________
テリスト
レベル:13
年齢:9歳
種族:猫人族
状態:衰弱
HP:36/183
MP:4/79
鑑定してみたらスキルが勝手に並び変わっていた、超便利。
装備品:鉄の短槍(150cm)
資金:1090リル




