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異世界ポイント生活 ~幼女になって世界を守ります~  作者: グリゴリグリグリ
『このままだと最終的に三分の一くらい減っちゃうんだよねぇ……』
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第91話

 ダンダの始末は、島に連れて来るとすぐに終わりました。

 テレポートはワタクシの知る限り魔法として確立はされておらず、ダンダが体験したのは初めてでしょう。急に景色が変わって戸惑っているその隙にくびを切りつければ、ダンダはほとんど抵抗らしい抵抗はできませんでした。

 島の端に連れて行くころにはもう虫の息。最後に胸を刺して島から突き落としました。

 今回のターゲットはこれで終わりですが、ワタクシの仕事が終わったわけではありません。が、もう夜です。

 急ぎの仕事ではありますが一日二日遅れたところで終わる世界でもありません。今日の所は休み、明日の朝から再開するとしましょう。




 そして一夜明けた朝。

 やって来たのはヨーデルヒン王宮のある首都、デルゴナ。ターゲットはフィリア・ヨーデルヒン。ヨーデルヒン王国の女王様です。

 これまで何人もターゲットを殺してきましたが、女王様というのは初めてです。正真正銘、国のトップで、ダンダみたいな軍のトップとは話が違います。

 それを殺すことによって起こる混乱の方が世界の危機になるのではないでしょうか。

 しかしターゲットに選ばれたのであればそこは問題ないのでしょう。

 まったくの余談ですが、デルゴナとはこのヨーデルヒン王国を興したデルゴナ・ヨーデルヒンから付けられたらしいです。

 その頃はまだ亜人排斥主義に染められていなかったらしいですが、いったいいつからこの国はそんなことをするようになったのでしょうか。

 町を見ているとこの国の異常さが目につきました。

 道行く人々が全員揃ってヒト種なのです。ドワーフやエルフどころか、獣人もまったくいません。


「ま、ワタクシも獣人ならこんな町に来ようとは思いませんからね……」


 のっぴきならない事情がない限りは、わざわざ自分が差別されるような国に出向く理由はありません。

 それはともかく、どうにかして王宮へ入り込む手段を考えなければなりません。

 髪の手入れに気を遣い、身を綺麗にして豪華なドレスを着たとしても、急に現れた少女を女王に会わせるような、そんなザルな警備はしていないでしょう。

 かと言って正面から殴り込むわけにはいきません。

 昨日、ダンダと戦う前に何人もの兵士と切り結びました。そして、ダンダ本人と戦っている間にも横やりが入りました。敵陣のど真ん中で戦うということは、そういう苦労があると身に染みたばかりです。

 フィリア本人は女王様ですから、ダンダに比べたら苦労するような相手ではありません。しかしできるなら、派手に戦うことは避けたいのが本心です。

 しかし町の中心に位置する王宮は周囲を深い堀に囲われ、四方の出入り口とそこから架かる橋には見張りの兵士がいます。

 政が行われているので人の出入りはありますが、だからと言って少女が一人素通りできるようなことはないでしょう。


「どうしましょうか……」


 夜になったところで警備がいなくなることはないでしょう。

 しかしここを出入りする人に変装するくらいなら、夜闇に紛れて警備を始末する方が良いでしょう。

 便利と思って交換した変装能力ですが、蓋を開けてみればそれほど便利ではありません。

 誰かに成り代わるのであれば、声と見た目を変えられてもちゃんとその人に関して調べなければなりません。

 それよりも、少女の姿のままでは入りにくいような場所に行く時に変装する方が多いくらいです。それも夜の酒場ぐらいですが。

 とりあえず、夜になるまではどこかで休むとしましょう。

 そして選んだのが、町の外れの方にある宿屋。

 少し小高くなっている場所に建っており、ワタクシが通された部屋からは王宮も見えるので、待っている間に様子を観察することもできます。


「良い部屋ですわね」

「そうですね。最近でもなんとかやれていますよ」

「その口ぶりですと、なにか大変なことでも起きたんですか?」


 宿屋の女将は一つ大きなため息を吐きました。

 そして少しずつ話し始めます。

 ちなみに今回のワタクシは、貴族の令嬢の一人旅ということで宿を取りました。小奇麗にして豪華なドレスを着ているだけで、案外信じてもらえるものです。

「先代のフェリクス王が亡くなられて娘のフィリア様が女王になられたでしょ? あまり大きな声では言えないんですけどねぇ……」


「ワタクシは外の人間ですから言っていただいて良いですわよ」


 そう言うと、彼女はホッとした表情を浮かべてから再び口を開きました。

 きっと、溜まっていたものがあるのでしょう。


「先代に比べると少し……過激な方でね。戦争を仕掛けるとか言われて税金が高くなったんですよ。


 大きな声じゃ言えませんが私は別に亜人だとか獣人だとか、格別嫌っているわけじゃありません。女王様と同じような方々は喜んでましたけど、私としましては戦争をしてまで、なんて思わないんですよ。

 戦争に勝ったからってどうなるわけでもありませんからね」

 当たり前ですが、この国に暮らす誰も彼もが亜人排斥主義者なわけではありません。

 国境近くで常にその脅威に怯えているならまだしも、首都で平和に暮らしている人なんかは特にその傾向が強いでしょう。

 武力を使って近くから亜人を排除するよりも、目下の生活が大事。これは当たり前です。

 しかし女王になってすぐに税金を上げて戦争を仕掛けるとは。神様に脅威と認定されるくらいですから、相当な差別主義者なのでしょう。

 ワタクシは笑っていられるだけですが、女将は最後に「今の話は誰にも言わないでくださいね」と言い残してそそくさと去って行きました。

 これだけ恐れるくらいですから、この国にはきっと秘密警察的な人達もいるのでしょう。

 女将のためにも、早めに始末は付けた方が良いでしょうか。



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