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異世界ポイント生活 ~幼女になって世界を守ります~  作者: グリゴリグリグリ
『このままだと最終的に三分の一くらい減っちゃうんだよねぇ……』
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第87話

 全員に武器が行き渡った途端、さっきまで強気だった兵士達が更に強気になり、一斉に飛び掛かって来ました。


「覚悟しやがれ!」


 投降しろ、とか言っていたくせにもうその気はないようです。

 やはり心のどこかで亜人に対する差別意識があったようで、同じ人間としての扱いをする気はさらさらないのでしょう。

 しかしワタクシはドワーフ種でもなければヒト種であもありません。

 見た目だけならヒト種なのでしょうが、生まれの経緯が経緯だけに断言することもできません。

 まぁ、ワタクシがどんな人間なのかを説明できるはずもなく、そしてここまでなると兵士達も聞く耳を持っていないので無駄でしょう。

 目測で一メートル以上はあった距離もすぐに詰められてしまいます。

 ワタクシに切りかかって来た兵士は五人。しかしそれが武器を持っている最大人数ではなく、ザっと見回しただけでも十人近くは武器を持っており、まだまだ運んで来るでしょう。

 剣を持った兵士の攻撃よりも先に、包囲の向こう側に控えていた兵士からの魔法の攻撃が先に届いてきました。


「合体魔法……!」


 一人で行う魔法は才能差があり、才能のある者が放つ魔法に一般人の魔法は及ばない。

 その常識を覆すために生まれたのが合体魔法と言います。

 原理は簡単で、それぞれがそれぞれに魔法を発動させてそれを合体させるだけです。火球が二つになれば単純に魔法は強力になります。

 しかし魔法とはイメージによって発動させるもので、そのイメージがズレていてはちゃんと発動させることはできないでしょう。

 合体魔法とは単純でありながら難しい魔法です。

 ワタクシはただの魔法すら発動させられないので知識として知っているだけですが。

 合体魔法としか言えないほどに巨大な火球がワタクシに迫ります。

 すぐさま合体魔法を発動させられるとは、流石は軍隊ということでしょうか。どういう魔法を発動させるのか訓練の時から共有して、兵器として使えるようにしているのでしょう。

 しかし太陽とも見紛うほどに巨大な火球は、この包囲の輪そのものを崩しかねませんが、味方を巻き込むのは考えていないのでしょうか。きっと大丈夫なのでしょう。

 正面から切りかかって来た兵士をタックルで弾き倒し、そのまま包囲の輪も同じように突破します。

 直後、後ろで巨大な爆発が起こりました。

 魔法の規模に比べて悲鳴は少なかったです。耐えられるとわかっているからこそあれだけの魔法を放ったのでしょう。

 それは、すぐさまワタクシを取り囲んだことからもわかります。誰一人爆発を気にしていません。


「全員かかれ!」

「おう!」


 一斉に切りかかって来たのを、大剣を振り回して牽制します。

 いくらワタクシを取り囲んでいる人数が多くても、一度に攻撃して来るのは限られた人数。三人くらいまでであれば同時に多方向から攻撃されてもなんとか対処できます。

 ヒュドラの九つの頭を考慮して、ただ剣を振り下ろすだけの兵士なら九人くらいまでは対処できるでしょう。

 ただの人間には必要ないので魔剣ムスニアはしまいます。

 前方から三人。後ろから二人迫っているのを感じます。

 まずは前の三人を大剣の一振りでまとめてなぎ倒します。こういう時は巨大な武器であるのに感謝ですね。

 そして後ろから迫る兵士の片方を後ろ蹴りで倒し、もう一人の剣を避け、大剣を突き刺します。そのまま振り回して攻撃を仕掛けようとしていた兵士に投げつけます。

 ここまで来て加減をする必要もないでしょう。

 相手はワタクシを殺そうと遠慮の欠片もなく、これだけの人数を相手にして全員を殺さずに済ませるなんて、ワタクシはそこまで聖人君子ではありません。侮られたこともありますし、死んだら死んだで仕方ないでしょう。

 再び放たれた合体魔法。

 そこで伸びていた兵士を火球に投げつけ、空中で爆発させます。


「くそ! 油断するな!」

「あら、油断していたんですの?」


 方法はどうあれ、単身で基地の中に飛び込んでくるような敵を侮るとは。

 今更ながらに気を引き締めても時すでに遅く、叫んだ兵士はワタクシの大剣の錆になってしまいました。

 迫って来る兵士を大剣でまとめてなぎ倒し、振り下ろされた剣はガントレットで受け止めます。

 考えてみると、ワタクシがこの世界に来てからずっと使っている大剣とガントレットです。

 毎度の戦いで傷ついていますが今でも現役です。神様はただの剣とガントレットだと言っていましたが、これだけ丈夫だとやはり特別なのでしょう。

 手入れは独学ですが一度ちゃんとしたお店に頼んでみましょうか。

 しかしどれだけ仲間が倒れても彼らの攻撃は止まることがありません。

 ワタクシがドワーフだと勘違いしているからでしょうが、逃げたところでワタクシが追いかけるとでも思っているのでしょうか。

 ダンダさえ殺せれば他の人達はどうでも良いのですが、やはり司令官を差し出すことはできませんか。

 しかし少しずつ心も折れているようで、


「死ねぇ!」


 切りかかって来た兵士の剣を避け、足を引っかけてそのまま転ばします。


「一人で突出しても無駄ですわよ!」

「うるさい!」


 二人目もまた同じように地面に転ばします。


「だから言いましたのに……」


 段々と兵士達の連携も乱れてきています。

 どんなに強がっても、攻撃を仕掛けた仲間が次から次へと倒され、戦い続けているのにワタクシに一撃も加えられていないのですから、士気を維持できる方が異常なのです。

 ここらが頃合いでしょうか。

 まさか全員を戦闘不能にできるはずもなく、どこかでこの包囲を抜け出せないかとタイミングを見計らっていました。

 今ならあまり追って来ないかもしれません。

 ちょうど良く切りかかって来た兵士の腕を掴み、そのまま投げ飛ばします。


「うおっ!」

「待て!」


 その兵士を受け止めて気が逸れたその頭上で飛び超えます。

 思っていたよりも兵士の包囲は厚かったようで、着地した先にも多くの兵士がいましたが、向かって来る兵士は切りつけ、それ以外は無視をしてダンダの下へ。

 ダンダがいると思われるテントはもう目の前です。


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