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異世界ポイント生活 ~幼女になって世界を守ります~  作者: グリゴリグリグリ
『このままだと最終的に三分の一くらい減っちゃうんだよねぇ……』
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第84話

 いつの時代、どんな性格の人でも、二人集まれば争いが始まると言います。

 人類が生きている限り戦争は起こるもので、それは異世界であっても変わりありません。

 ワタクシの目の前には行軍している軍団が。

 現在地はヨーデルヒン王国とゴグドグ王国の国境。そこからゴグドグ王国側に少し入った場所です。

 目の前の軍団はヨーデルヒン王国軍。

 つまり、ゴグドグ王国への侵攻中ということです。


「まったく……。こんなことまでさせられるとは」


 今回のターゲットはどうやらこの軍の指揮をしている人物のようです。

 ダンダ・アリギリ。似顔絵を見る限りとても強そうです。

 しかし戦争を防ぐことまでワタクシにさせるのでしょうか。ワタクシがこの世界に来てからそこそこの時間が経っていますが、いくつか戦争は起きているはずです。

 どの国にも仲の悪い国はあるもので、小さい物から大きい物まで衝突はいくらでもあります。それでも今回この軍団がターゲットになったということは、そんな小競り合いとは比にならないほどの争いになるのでしょうか。

 一つの軍事衝突を機に世界中に争いが伝搬していく。

 しかしヨーデルヒン王国はもちろん、ゴグドグ王国もそれほど世界に影響を与えるとは思えません。

 そもそもこの世界はワタクシがいた世界と比べ――情報的な規模で――狭くはありません。

 戦争が起こっても当事国の間だけで終わるでしょう。


「まぁ、なんとなく想像はつきますが……」


 こう見えて何度も何度も世界に脅威を与えるターゲットを殺してきた女です。それだけの経験があればなんとなく流れというのも見えてくるものです。

 ターゲットのダンダを探す過程で手に入れた情報ですが、ダンダは相当の亜人嫌いとのことです。と、言うよりは、ヨーデルヒン王国自体が亜人排斥の毛色の強い国でした。

 町を歩いていてもヒト種以外の人をまったく見かけませんでした。

 そしてゴグドグ王国はドワーフの国。

 亜人排斥主義の国は程度の差こそあれ、いくつかあります。そしてほとんど亜人だけの国もいくつか。

 亜人排斥主義の最先鋒タルーティア王国とそれに対抗するために亜人諸派が結束したダムニスモ連邦国との争いは百年戦争と呼ばれるほど長く続いていて有名です。

 ゴグドグ王国とヨーデルヒン王国の衝突は、どちらが勝つにせよそれらの国に与える影響は少なくないでしょう。


「しかしドワーフに挑むとは……。それだけ準備をしていたということでしょうか」


 ドワーフが鍛冶や彫金に優れていて、質の良い武器や防具を作ることは有名です。魔法は苦手ですがそれは取引でどうとでもなるでしょう。

 数は少ないが質の良い装備を持つドワーフ。渡り合うためにヨーデルヒン王国軍の装備もそれなりの物が揃えられているようです。

 そのお陰でワタクシの仕事がしにくくなっているのですから厄介なことです。

 ターゲットは軍団長で、この王国軍すべてと戦う必要はないのですが、ダンダを殺すための障壁となることは確かです。

 ゴグドグ王国の軍と衝突するのを待ちましょうか。


「それじゃあダメですね……」


 理由はどうあれ、争いを求めるようになってはいけませんね。そうなると段々と心が荒んでいきますから。

 ヨーデルヒン王国軍の様子を見る限り、戦闘はまだ起きそうにありません。

 ゴグドグ王国は大きな山脈に囲まれた国で、そこから良質な鉱物が採取できます。亜人排斥の他にその鉱物も目的でしょう。

 その山脈の麓をヨーデルヒン王国軍は進んで行きます。

 百や二百じゃ下らない人数が進んでいますので、この中からたった一人の人間を探すのは至難の業です。

 変装して紛れても良いのですが、前の適当な兵士達と違って今回の相手はちゃんと規律の取れた軍隊。しかも敵国の中ということで警戒心も高いでしょう。

 いくら声や見た目まで変装できるとは言え、そんな所に乗り込むのは無茶です。

 しかし遠くからでは双眼鏡を使って探しても見つかりません。


「大方、やる気に溢れすぎて自分も前に出るつもりなのでしょう……」


 亜人嫌いであればその可能性もあります。

 そして、魔法の才能さえあれば一騎当千も不可能ではないこの世界では司令官が前に出ることも十分あり得ます。身体強化の魔法でもそれが得意ならアリでしょう。

 極端ですが身体能力だけで一騎当千のワタクシもいます。

 さてどうやってダンダを見つけましょうか。それとも見つけるのを諦めましょうか。

 ワタクシが現在、ヨーデルヒン王国軍の進行方向に隠れています。山脈の上の方にいるので向こうから見つかる心配はほとんどないでしょうし、ゴグドグ軍の様子もうかがえるはずです。

 まだゴグドグ軍は見えていないので、この二軍の衝突はしばらくないでしょう。

 となればヨーデルヒン王国軍はどこかしらで陣を張るはず。それならば流石に他の兵士と一緒に雑魚寝ということもないでしょうから、ダンダのいる場所もわかるということです。


「それまではしばし休憩ですわね……」


 ワタクシとはまったく関係のない国の話とは言え、やはり軍事行動を目前にすると緊張してしまいます。

 もちろん、ワタクシが死ぬなんてことは考えていませんし、負けることすらあり得ないです。

 ヒュドラと違って人間はすぐに再生したりしないので、戦いが長期化することもないでしょう。


「アレは面倒でしたね」


 再生能力よりも記憶に残っているのは臭さです。

 まぁ、ヒュドラのことを思い出すよりも、ワタクシはワタクシでやらなければならないことがあります。

 いくら戦いが長期化しないだろうと思っていても、もしかしたらあの軍すべてと戦わなければならないかもしれません。ダンダが予想以上に強いかもしれません。

 そんな時のために休憩をしておきたいです。

 食事の準備。少しの仮眠。

 しかしその前に、身の安全を確保しなければならないでしょう。


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