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異世界ポイント生活 ~幼女になって世界を守ります~  作者: グリゴリグリグリ
『同じ人間じゃないからやりやすいのかな?』
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第83話

 言われた瞬間、顔から火が出るかと思いました。もしかしたら本当に出ているかもしれません。魔法の使えるこの世界であれば、顔面が炎に包まれていたとしてもおかしくはないです。少なくとも、それほど、ワタクシの顔は熱くなっていました。

 見た目は女の子。転生前はただのおっさんで、その意識を引き継いでいると言っても精神は段々と体に引っ張られ、心も女の子と言ってほとんど差し支えありません。

 少なくとも、汗やら血やらで全身ぐちゃぐちゃで、更に異臭まで漂わせて平気でいられるような神経は持ち合わせていません。

 戦っている内に忘れていましたが、ヒュドラはものすごく臭かったです。

 そんな相手と半日以上一緒にいて、返り血も浴びまくりでしたから臭いも移るでしょう。

 ワタクシ自身の鼻がバカになっていて気づきませんでした。

 とりあえず、


「ギルドの方を呼んでいただけますか……」




 ヒュドラを討伐したことを伝えるとすぐに番兵はギルドの職員を呼んで来てくれました。

 やって来た三人の職員は一様に鼻を押さえましたが、仕方のないことでしょう。むしろヒュドラの毒がワタクシに残っていて、それで町が壊滅、なんてことにならなくて良かったです。

 一先ず簡単に報告し、一人はウロコと血の査定。残る二人はまたギルドへ戻って行きました。応援を連れてヒュドラの死骸を確認しに行くようです。

 これで報酬をもらえれば終わりなのですが、こんな状態で町に入るわけにもいきません。

 自分で言うのもなんですが町を救った英雄でもあるので、報酬を渡してハイ終わり、というようにはギルドの職員も番兵もしたくないようです。

 とりあえず、町の公衆浴場を貸し切ってくれることになりました。

 英雄に対する配慮の反面、ワタクシが臭かったので他の人が使えない、なんて理由でもありましたが。


「なんにせよ、無事に終わって良かったですわ……」


 念入りに三回体を洗ってようやく湯船に浸かります。

 ちなみに服は、また同じのを着るわけにはいかないのでテレポートで家に置いてきました。臭いが落ちなければ捨てるしかないでしょう。

 小さい体になって良かったことは、こうして存分に足を伸ばしてお湯に浸かれることでしょうか。公衆浴場なので大人でも伸ばせると思いますが。

 そう言えば我が家には風呂場はないので、神様にお願いしてみても良いかもしれません。


「どうして作らなかったのでしょうか……」


 神様に入浴の文化がないのは当たり前ですが、ワタクシもこれまで気にしませんでした。

 テレポートでいつでもお気に入りの公衆浴場へ飛べるので、わざわざ家に作る必要性を感じなかったのかもしれません。

 しかし改めて一人で湯に浸かっていると、一人でゆっくりするのも良い気分です。

 ヒュドラを倒してまとまったポイントも入ることですし、帰ったら頼んでみましょう。

 最後にもう一度体を洗い――髪の毛は更に念入りに――お風呂を出ることにします。

 本当はもっと浸かっていたいのですが、流石に長々と使っていては逆上せてしまいますし、ギルドの方を待たせるのも良くありません。

 四次元ポケットから替えのドレスを取り出します。


「お待たせいたしました」


 外にはギルドの職員が待っていました。

 わざわざ出迎えを寄越してくれるとは、なんだか偉くなったような気分です。


「お着替えは……」

「用意していたので大丈夫ですよ」

「そうでしたか。報酬をお渡ししますのでギルドに行きましょう」


 ヒュドラ討伐の報酬が五十万リリンでしたか。これだけあればしばらく生活には困りません。それに加えて素材の買い取り分。いくらになるのか楽しみです。

 最初に来た時と同じくギルドには数人の冒険者が暇を持て余しているようでした。

 ただ、その時と違ってワタクシを見る視線が違っていました。少しむずがゆいです。

 そのまま受付ではなく、ギルドの二階の小部屋に通されました。


「すいません。流石に他の人がいる所だとやり辛くて……」

「わかりますわ」


 ヒュドラを倒すような冒険者ですから、お金を盗るにせよたかるにせよ、ただの冒険者には厳しいでしょう。

 しかしさっきむずがゆく感じたように、注目されるのは慣れません。


「まずヒュドラ討伐の報酬が五十万リリンですね。ウロコが一枚八千リリンで買い取りとして、えっと……十三枚あったので十万と四千リリン。ヒュドラの血液は一瓶五千リリンで三本なので一万五千リリンですね。全部で六十一万九千リリンです」

「それはそれは……」


 金額を数えている職員の声はどこか震えているようでした。聞いているだけのワタクシも落ち着かないので仕方ないでしょう。

 六十万なんて大金、一回の依頼で手にしたことはありません。

 今この場にはまだ現金はありませんが、いったいどんな光景が見られるのでしょうか。


「ヒュドラのウロコと血液は我々でも取り扱ったことがなくて……金額に不満があれば他所の冒険者ギルドや商会ギルドに持って行っていただいて構いませんが……」

「いえ。十分過ぎる金額ですわ」

「ありがとうございます。振込にしますか?」

「せっかくですので今受け取りますわ」


 これだけの大金を受け取れる機会なんてそうはありません。

 振込にしてもギルドカードに記録されるのでどこのギルドでも引き出せるのですが、それではつまらないです。

 一応、用意はしてあったのか、職員の動きは早かったです。ただ、どこか引きつっているような表情でしたが。

 そしてすぐに小袋を持って戻ってきました。


「ご確認ください」


 袋から出てきたのは金貨が十一枚。それより一回り大きな大金貨が一枚。銀貨が九枚でした。

 枚数だとそこまでではありませんが、やはり大金貨はそれ一枚ですごい迫力です。


「大丈夫だとは思いますが大金なので気を付けてくださいね」

「ありがとうございます。襲われてもヒュドラよりは楽な相手ですわ」

「それもそうですね」


 なんとワタクシのためにささやかなパーティが予定されているそうです。なんとも手回しの早いことですが、報告をしたら領主様自らがここに向かって来ているとのことでした。

 あまり騒ぎになるのも御免ですが、なによりもワタクシのことが有名になってはこれからターゲットを倒すのが大変になります。

 とりあえず外の空気を吸いたいと外に出ました。

 ギルドの方々には申し訳ないですが、


「帰っちゃいましょうか」


 家に帰ってポチとお祝いすることにしましょう。


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