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異世界ポイント生活 ~幼女になって世界を守ります~  作者: グリゴリグリグリ
『同じ人間じゃないからやりやすいのかな?』
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第82話

 ヒュドラの体から出ると、やはり体はヒュドラの血塗れです。肌がピリピリするということはやはり血液まで酸性なのでしょうか。

 あまり内臓らしい内臓はありませんでしたがヒュドラの体はどうなっているのでしょうか。

 これだけ大きい体にも関わらず内臓は小さいのか。それともそもそもの体の構造がワタクシ達とは違うのか。

 気にはなりますがそれより先にやるべきことがあります。

 外に出てからもこれまで通り、ヒュドラに傷をあたえていましたがやはり再生速度は落ちているようです。


「それならば……」


 ヒュドラの首を一本落とします。また一本。そしてまた一本。

 頭が一つになり、胴体が無駄にデカいだけのドラゴンになってしまいました。それでも最初に切り落とした首はまだ再生しきれていません。

 最後の一つがワタクシへ噛みつきに来て、それを蹴り飛ばします。

 これまでの攻撃を弾くだけの手加減した一撃ではなく、相手が相手ならこのまま首を千切り飛ばせそうな本気の蹴りです。

 見事、ヒュドラの頭は飛んで行きました。首もそちらの方へ行き、あたかも岸へ橋がかかったかのようです。

 それを伝って陸に上がり、首を思い切り引っ張ります。


「さっきのリベンジですわ!」


 今度はもう首を噛み千切るようなことはできません。


「んなあああああああ!」


 これを逃すと魔力を回復してまた万全のヒュドラに戻ってしまいます。

 ワタクシの魔力もほとんどないに等しく、ハイになっているとは言えキツイものはキツイです。今すぐベッドに戻って眠りたいほど。魔力が尽きかけて頭の中もボンヤリしているような気さえしてきます。

 ここが正念場です。


「これでさ、い、ご!」


 これで本当に魔力は尽きます。その最後の最後までを振り絞り、ヒュドラの首を引っ張り上げます。

 頭がすべてなくなっているにも関わらずヒュドラはまだ抵抗してきます。

 しかしついにその時が訪れました。ワタクシにとっては待望の瞬間です。

 最後の力を振り絞り、後先考えなかった本当の身体強化で引っ張り、背負い投げのような体勢になったので、フッと周囲が一層暗くなりました。夜だというのに、月明かりを丸っと隠してしまうほどの巨体が宙を舞ったのです。

 ヒュドラの胴体が地面に落ちた瞬間、ワタクシの体が一瞬浮き上がるほど。


「や……やりましたわ……!」


 ようやくやってやりました。しかし達成感に包まれていますが、ここが終わりではなくまだ通過点

に過ぎません。

 初めて見たヒュドラの胴体は想像していたよりもずんぐりとしていました。

 四本の足もそれほど長くはなく、泳ぐためでしょうか。ヒレのような形状になっていました。これでは陸上で戦いたがらなかったのもうなずけます。

 しかしこれだけ大きかったら湖の中を泳ぎ回るということもなかったのではないでしょうか。

 とにかく、これで思う存分、ヒュドラに攻撃をすることができます。再生されない内に終わらせてしまうとしましょう。

 すでに再生はできなくなっているので、大剣はしまってここからは魔剣ムスニアだけにします。いつ力尽きてしまうかわかりませんから。

 さっきまでの激しい戦い――それでもほとんど一方的にワタクシが攻撃をしていただけですが――と違い、ここからはただの作業になっていきました。首を落とされ湖から引っ張り出されたヒュドラは抵抗らしい抵抗もできませんでした。

 腹を裂き、足を切りつけ、首が再生しそうになったら切り落とす。その繰り返しです。

 ヒュドラの大きさに対して魔剣ムスニアは小さかったので苦労しましたが、その苦労も面倒臭いといったそういう方向です。

 気分はマグロの解体を果物ナイフでやっているような物。

 今更ヒュドラになにができるとも思えません。

 いつしかヒュドラはまったく動かなくなっていましたが、それでも念には念を入れて魔剣ムスニアを突き立てていきます。

 内臓を一つ一つ取り出し、肉を切り分け、首を落とす。

 ウロコはギルドに買い取ってもらえそうなので、いくらか確保しておきます。血液も錬金術とかで使うかもしれません。毒がありそうなので瓶に詰めてしっかり蓋をします。

 ポイントでこちらの世界の現金と交換はできますが、それだけに頼るのもアレなのでちゃんと冒険者として稼げる時には稼ぎます。


「そういえば……」


 ヒュドラの討伐の証はどこでしょうか。

 魔物の討伐依頼だと、その魔物を倒した証として鼻だとか尻尾だとかを獲るのですが、ヒュドラはどこがその証なのか聞いていませんでした。

 そもそも、首を落としてその首が再生すると、落とした方の首は消滅しました。これでは討伐の証も取れないでしょう。


「まぁ、なんとかなるでしょう」


 これだけ大きなヒュドラです。周囲に毒が蔓延していても、遠くから確認できるはず。

 そうでなくとも、ウロコと血液を持って行けば信じてもらえるでしょう。


「では、帰りますか!」


 一旦、休むなりお風呂に入ったりしたいところですが、ヒュドラと戦ったのにこざっぱりとした様子で報告しては怪しまれるでしょう。

 とりあえずこのまま報告に帰ることにします。

 ロープで括ったヒュドラのウロコと瓶に入れた血を四次元ポケットに放り込み、テレポートでコートミールの近くまで飛びます。そしてウロコと血をまた取り出して、町へ入るために門まで進みました。


「待った! それ以上近づくな!」

「……どうしてでしょうか?」


 いつも通り、ギルドカードを見せようとしたら、番兵に止められてしまいました。

 この町のために――本当は神様のターゲットだから――ヒュドラを苦労して倒したのにこの仕打ちですか、と少し苛立ってしまいました。早くお風呂に入りたかったからというのもあります。

 しかし番兵がワタクシを止めたのは至ってシンプルな理由。


「アンタ、臭いんだよ!」


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