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異世界ポイント生活 ~幼女になって世界を守ります~  作者: グリゴリグリグリ
『強さと権力を結びつけると厄介になるよ』
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第56話

 ワタクシがリーウェンを殺したと知っても、スリットの態度は驚くほど変わりませんでした。

 多少は変化したもののその変化は「アマルちゃんに勝ったら神様に勝ったことになるな」なんて言って笑うような変化。

 ポジティブと言って良いのか。頭が痛くなる気がします。

 そんなわけでスリットがワタクシから離れていくこともなく、大会が始まるまでの間、これまで通りに町の外で二人で過ごしていました。

 スリットは依頼を探しにギルドへ。ワタクシは適当に時間を潰して。

 そして大会当日。

 リーウェンが殺されたからといって大会が中止になることはありませんでした。もちろん、犯人は捕まっていません。

 しかし大会の出場者を殺して回っていた犯人は捕まり、リーウェンを殺したのもそいつということになっています。当然ですが、本人は否定しているらしいです。


「いよいよだな。絶対に決勝まで負けるなよ」

「変なことが起こらない限りは大丈夫でしょう」


 開会式という名目で出場者全員が集められていますが、コートミールの広場は人でギュウギュウです。

 出場辞退者が何人も出ていたようですが、それでも集まったのは百人以上はいるのではないでしょうか。何人かは強そうな人もいます。

 ワタクシとスリットは適当な建物の上に登ってその様子を眺めていました。

 互いに人が集まっているのが苦手ですので、ただの開会式のためにそんな所に行くはずがありません。


「終わったみたいですわね」

「いよいよだ……!」


 人がいなくなり、広場には素早くステージが建てられていきます。あそこで戦うのでしょうか。

 それが済むと、次々と選手の名前が呼ばれてステージへ上がっていきます。

 十数人が呼ばれているので、バトルロイヤル方式でしょうか。開会式でされていたルール説明を二人してまったく聞いていなかったのでわかりません。

 とりあえず様子を見ようと思っていたら、


「アマル・フリステラ選手!」

「呼ばれましたね……」

「頑張れよ!」


 背中を叩かれ、ステージに飛び降ります。

 突如として空中から現れた豪奢なドレスを身に着けた小さな女の子に集まった観客から大きな歓声が上がりました。

 ルールはわかりませんがとにかく相手をステージから落とせば良いでしょう。

 最初はやる気がなく、ただ流されて出場しただけの大会ですが、いざ始まってみればワクワクしている自分がいました。




 キリの良い所でステージに上がっているのは二十人でしょうか?

 ここから生き残った一人か二人が二回戦に出場できると考えて良いでしょう。

 ワタクシの周りにいるのは屈強な男達。ステージ上にいる女性はワタクシを含めても数人だけでした。

 この手の戦いの時は、倒しやすい相手から倒してライバルを減らし、狭いステージで少しでも動ける範囲を広くするのが定石です。そして実力で劣る者はその最初のゴタゴタで自分より強い出場者を落とす。

 ワタクシに関しては戦略を考える必要はないでしょう。

 油断ではありませんが、一回戦で落ちるようなワタクシではありません。そんなようでは神様の仕事は代行できませんから。

 それに、こんな大会に出ている女の子がただの少女のわけがないのに、ニヤニヤとカモを見つけたかのように笑っている人達に負けるはずがありませんから。


「それでは一回戦を始めます!」


 審判だか実況者の声を聞いて全員が拳を構えました。

 武器を四次元ポケットから取り出すのを忘れていましたが、どうやら初めは武器を使えないようですので問題ありません。

 深呼吸をし、集中します。


「開始!」


 ステージ上の出場者の誰が動くよりも早くワタクシがスタートを切りました。

 合図までに、ワタクシのことを狙おうと画策していた人達はチェックしています。とりあえずは周囲の三人。

 三人の内の正面にいる男に狙いを定めます。体格が良く、これまで喧嘩で負けたことなどないのでしょう。どこか油断しているような立ち姿でした。


「ぐほぁっ!」


 その油断していた腹に拳を叩きつけます。感触は、腹筋に僅かの力も込められておらず、ワタクシの拳をそのまま受けてしまったのだとわかります。

 後ろにいた出場者の何人かを巻き込んで吹っ飛んでいきました。

 ステージからは落ちなかったものの、すでに戦闘不能でしょう。

 まだスタートの合図が出されていなかったかのようにステージ上の時が止まっていました。


「あら? もう始まっているのではなくて?」


 左右から襲い掛かって来た二人の攻撃はジャンプして躱し、顔と顔とをぶつけます。

 これくらいの動きに身体強化の魔法は必要ありません。全員がこの程度の実力であれば、ワタクシのライバル足り得るのはスリットくらいでしょうか。

 ここでようやく他の出場者も動き出しました。しかしワタクシの周りからは人が消えました。

 ステージの方々で戦いが繰り広げられていますが、まるで台風の目のようにワタクシの周囲は静かでした。

 戦いを挑めば確実に負けるとわかっていて勝負を挑むほどの馬鹿はいないでしょう。

 まだ一回戦ですのでそんな無理をするような場面でもありません。

 枠が二つ以上あるのなら、ワタクシを倒さなくても二回戦へは進めます。いずれは戦うことになると思うのですがそれは考えないのでしょうか。

 と、ここで心が弛緩していたことに気づきます。


「スリット以外に敵はいるかもしれません。油断は禁物、ですわね」


 二回戦進出は決まっていますが、時間をかけることはありません。

 少しでも強そうな人は残念ですが、ここで落ちてもらうとしましょう。




 まず最初に出場を決めたのはワタクシを含めて三人。どうやら一回で三人が二回戦へ進むようです。

 もちろん、次に呼ばれたスリットも楽々二回戦進出を決めました。


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