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異世界ポイント生活 ~幼女になって世界を守ります~  作者: グリゴリグリグリ
『リフレッシュとかも必要なのかな? 私にはわからないけど』
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第47話

 それからしばらく、ワタクシはマジラが絵を描き終えるのを待っていました。

 攻撃しても反応されそうな気配があったのもそうですが、単純に仕掛けるキッカケを見失っていたのです。

 話しかけてしまった手前、なにも考えずに、というのも中々踏み切れずにいました。

 せめてなんのためにこの絵を描いているのかくらいは聞いても構わないでしょう。

 ただ待っているのもアレなので、ワタクシはもう椅子を取り出してお茶も淹れています。

 しかし多少は魔力の影響で暖かいと言っても、熱い紅茶が美味しいと思える程度には寒い環境で、厚着をしてようやく快適なくらいです。

 上半身裸でいられるなんて、やはりマジラはどこかおかしいのでしょうか?


「このままだと世界が終わる。神様はわたしにそのことを伝えてくれたのだ」


 ふと手を止めたマジラが、背中越しに話しかけてくれました。

 急だったので、ワタクシに話しかけていたのか一瞬わからなかったくらいです。


「それは……夢の話ですか?」

「そうだ」


 最後のワタクシの質問にようやく答えてくれたようです。

 しかし世界が終わる夢を見たからといって、どうしてこのように絵を彫り続けるのか。そこは繋がりませんでした。

 そして聞き捨てならないのは、神様が伝えてくれた、とのマジラの言葉。

 神様はいったいなにをしてくれたのでしょうか。自分で夢を見せてその相手が世界に対して害を為そうとする。ワタクシの仕事を増やすのは止めて欲しいです。

 もしかしたらワタクシのように、協力者を増やそうとしたのかもしれません。それも失敗しているわけですが。


「あの、世界が終わるからとどうしてここで絵を彫り続けているのでしょうか?」

「これまでなにが起きたのか。これからなにが起きるのか。後世の人々に伝えなければならないからな」

「後世の人々、ですか……」

「そうだ。この世界は終わる。その前に世界の膿を掃除することで人々を救済することができるのだ」


 話が一気に不穏な方向へ向かいました。


「その膿とはどういう物でしょうか?」


 ワタクシが神様から聞いた話も同じような話です。神様は癌と、そう表現していました。


「人類すべてだ。すべての人類を殺し、この世界から膿を一掃する。その後、また新たな人類が生まれ、人々は真の意味で救済されるのだ」

「なるほど……」


 この話もどこかで聞いたことがあります。

 映画とかの悪役は大抵、人間が地球にとってのゴミだとか言って、全人類を滅ぼそうとするわけです。

 それを本当に言ってのける人物が目の前にいるとは、思わず感動してしまいます。

 これは神様のターゲットになるのも当然でしょう。

 そしてターゲットになるということは、マジラの活動によって本当に、世界滅亡に近づくのです。どれだけのことができるかはわかりませんが、人類が大量に死ねば世界に与える影響は計り知れません。

 世界にとっての食物連鎖の中に、人類はもう組み込まれているのですから。そのバランスが崩れてどうなるか想像できないワタクシではありません。

 話すのもここらが潮時でしょう。


「それを聞いたワタクシがどうするか想像できますか?」

「止めるだろうな。わたしも同じ立場ならそうしただろう」


 マジラはこちらを振り返りました。


「それなら話は早いです」


 魔剣ムスニアを抜きます。

 油断するわけではないですが、マジラは戦闘が得意なようには見えません。肉体は鍛えられていませんが大した戦闘力はないでしょう。

 そして、大した抵抗もしなさそうな予感がしていました。


「抵抗しますか?」

「いいや。いずれはわたし自身も世界のために死ぬ運命だ。準備もできているし、今日死ぬのがわたしの運命なのだろう」

「それは結構ですわ」


 近くまで行き、言葉の通りまったく抵抗する素振りのないマジラの首を、ムスニアで突き刺しました。




「お疲れお疲れ。無事にターゲットを倒せて良かったね」


 現れた神様は今回は小さな男の子の姿でした。

 そんな人はいないでしょうが、もしもここに誰かが訪れて来たらビックリするでしょう。なにせ、二人の子供の傍に死体が一つ転がっているのですから。

 神様に一言申したくて、場所を変えずにそのまま呼び出してしまいました。


「マジラが言っていましたよ? 神様から伝えられた、と。それがキッカケで人類を滅ぼそうと決意したみたいですが、ワタクシは神様の尻拭いもしなければいけませんの?」

「なんかそんなこと言ってたねぇ……」

「見ていたのなら話は早いです。他にこういう人はいませんの? 仕事なんで仕方ないですけど……これ以上ターゲットが無駄に増えるのも嫌ですわよ」

「心当たりはないよ。そもそも私は夢に立つとかそういうことはしないからね。どっかの宗教家とかも神から啓示を受けた、なんて言うかもしれないけれど、そういうことはしないよ。やるにしてもアマルちゃんみたいにするしね」


 そういえば、ワタクシも最初は神様に呼び出されて直接話を聞かされていました。

 あの空間は死んだワタクシ限定の措置だったにしても、マジラが本当に神様から協力者として選ばれていたのなら直接話は聞いたでしょう。

 ここは幸運にも、神様が現れることのできる魔力濃度の高い土地ですし。

 ただ、そうであればマジラが見たのはなんだったのでしょう。本当にただの夢だとしたらこうなる結果は少し悲しいですが。


「夢魔にでも騙されたんじゃない?」

「あぁ……」


 真実はより、悲しいことなのかもしれません。


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