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異世界ポイント生活 ~幼女になって世界を守ります~  作者: グリゴリグリグリ
『リフレッシュとかも必要なのかな? 私にはわからないけど』
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第40話

「はぁ……はぁ……」


 顔面に巨大な刃を突き刺されてもすぐには力尽きなかったイエティ。

 トドメを刺すこと自体は大した労力もかかりませんでしたがどれだけの生命力を持っていたのか。それなりのプレッシャーとしてワタクシに圧し掛かっていました。

 最後の一撃として首に刺していた大剣を抜くと、思わずへたり込んでしまいます。

 最前線でイエティを引き付けてくれていた冒険者は寝転がるほどです。

 しかし流石にお尻が冷えて来たので立ち上がります。同じタイミングで行商人もワタクシ達の下へやって来ました。


「二人のお陰で助かったよ……。このイエティは私が買い取らせてもらうよ。もちろん、ギルドよりも高い値でね」


 商売で身を立てているだけあって抜け目ないです。

 護衛依頼や、その他魔物の討伐の依頼をしていると、今回のように目的外の魔物に襲われることがあります。

 そういう時に倒した魔物の素材は冒険者ギルドが買い取ってくれて、依頼の報酬とは別の臨時収入となり、めずらしい魔物や薬草等を見つけたら積極的に狙っていくのが賢い冒険者のやり方です。

 その素材は商人ギルドに買い取られ、そこから競売で各商人に売られていきます。

 ワタクシ達としては冒険者ギルドより高い値段で売れたとしても、この行商人にとっては競売で落とすよりも安い値段で手に入れられるのでしょう。

 しかし高く買い取っていただける分にはなにも文句はありません。

 個々人で商売人とやり取りしている冒険者もいて、それが違法ということもないです。

 行商人の指示とカシカの解体を近くで見ていた経験を駆使してイエティを解体していきます。

 できる限りは傷をつけないように気を付けていましたが、足元で戦っていた冒険者にその余裕はなく、下半身と顔の周辺の毛皮はズタズタです。

 それでも有り余るほどの量があり、それだけ巨大なイエティと戦っていたのだと戦慄します。

 肉も切り分け、荷台に乗せます。

 更に臭く、狭くなりましたがこれもお金のためですから仕方ありません。

 その後は特に魔物に襲われることもなく、目的地であるアートゥに着きました。新鮮な肉の匂いに釣られてまた魔物に襲われるかとも心配していましたが、そういうことも一安心です。

 町は雪の壁で囲われていました。上から少し覗いていた木材から、元々は木の柵であったことがわかります。

 昨日まで滞在していた村と違い、アートゥではちゃんと家が建てられています。

 それだけなのになんだか新鮮な気持ちになっていました。


「お嬢ちゃん、ここまでで良いのか? 俺はもう少しデカい町に行くつもりだから乗せてっても良いんだぞ?」


 イエティの代金を冒険者と折半し、それを受け取っている時に行商人はそう提案してくれました。

 ここ、アートゥはそれほど大きな町ではありません。

 マジラを探すための準備をするなら、それこそもっと大きな町に行った方が色々と手に入りやすいでしょう。しかしここを離れると今度はマジラを探すのが大変になるので、ワタクシとしてはアートゥがちょうど良いのです。


「ありがとうございます。しかしここまでで十分ですわ」

「そうか。じゃあ俺らはもう行くな。ありがとよ」


 冒険者とも簡単に挨拶を交わします。

 ちょっとした休憩だけが目的だったのか、行商人と冒険者はそれぞれに少し買い物をして町を出て行きました。

 さて、とりあえずは温かい物でも飲むとしましょう。

 入ったのは小さなパブ。それでもカシカの店に比べれば大きいです。

 常に吹雪いていて天気が悪いので、店内にはまだそんな時間でもないのに灯りが点されています。数人の先客がいて、その内の半分くらいはすでに赤ら顔でした。


「お嬢ちゃん見ない顔だな。注文は?」

「えーっと……シナモンティーを一つ。買い出しに来ましたの」


 カップにお湯が注がれる心地良い音。そしてシナモンの甘い香りが漂います。暖炉でもパチパチと薪が爆ぜていて、さっきまでの寒さに比べたら天国のように安らぐ場所です。

 出されたシナモンティーも満足のいく味。

 この後また外に出ることは考えたくありません。


「お使い、って感じじゃないよな?」

「ええ。ワタクシ、こう見えて冒険者ですので。依頼の関係でこの辺りに来ていますの」

「ほー……。そうは見えないがな。人は見かけによらない、ってわけだ」

「オススメのお店ってありますか?」

「オススメもなにも、ここにゃそういう店は一つしかないよ。うちの隣だ」

「そうでしたか。ありがとうございます」


 場所がわかったからといって、紅茶をグイと飲み干してすぐに向かう、なんてことはしません。

 もう少しこの暖かさを満喫して、シナモンティーの美味しさを堪能して。それからでも遅くはないでしょう。

 ああ、炬燵が恋しくなります。


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