意外な客
今日は甘味屋ロザリーの新メニュー「プリン」の発売日だ。ヴァルキリーの面々からは好評だったので心配はしていないが、たまには直でお客の反応を見てみたいと思った。カエデには伝えてあり、今日はサービスとして後でヴァルキリーのホームに届けてやる予定だ。
しばらく歩くとなにやら騒がしい。この辺りは揉め事など起きることは少ないのだが…
「すいません!ロザリーのお客様はこちらにお並びください!」
え?まさか?
俺が列の方を見るとロッテがいて、三十人ほどの人数が並んでいた。少し前から告知しているとは聞いていたが…いつの間にこんなに人気店になったんだ。
ロッテに声をかけるのは止めて、店の裏口に回る。
店内ではシャナとフィリスがバタバタと準備していた。
「すげぇ並んでるな…」
「ジェイド!来てくれたのね!」
「さすがジェイドさんですね。」
え?なに?
「いや〜並ぶとは思ってなくてさ。ロッテが列の方へ行くと売り子がいないんだよね。」
「そりゃそうだな。」
「お願いします。ジェイドさん。」
俺はロッテに代わり行列をさばくことになった。まぁ女の子にさせるのは危険かもしれないからな。
「はーい!ここが最後尾でーす!」
「ちゃんと並んでくださいねー!」
まさかこの世界でこんなことをするとは思わなかった、と考えていると…見知った顔がいた。
「あれ?グレイにフリード?」
「げっっ!ジェイド!」
「あ、ジェイド。」
フリードはやや慌てていた。
「なんでお前がここにいるんだ!」
「ここは俺の店だし。」
「そうなんですか。ここ美味しいですよ。」
「二人とも甘党なんだな。」
「違うわ!甘党なのはグレイだけだ!」
「そうなのか?じゃあフリードはなんで?」
「うるせぇ!ほっとけ!」
フリードはなぜか怒ってしまった。こうなるとグレイは無口な方なので話すことがない。とりあえず並んでもらって俺は列をさばこう。
しばらくすると列が落ち着いてきたので俺は店の方へ向かう。先頭ではフリードとグレイが会計をしていた。
「フリードさん!いつもありがとうございます!」
「お、おう。今日は忙しそうだな。」
「そうですねー。ここまで並ぶとは思ってなくて。」
あれ?もしかして?
「そうなんですよね。フリードがロッテさんに惚れてしまって…」
グレイに突然、話しかけられた。手には結構な量のお菓子がある。
「あ、僕は普通のお客さんですよ。」
「なかなかの量だな…ありがとう。」
どうやらフリードはグレイに付き合ってこの店に来て、その時にロッテに接客されて惚れてしまったらしい。
「店の迷惑にはならないようにさせるので…」
「え?あぁ…ロッテが迷惑じゃないなら別にいいけど。」
グレイもフリードもそれなりの立場だから変なことはしないだろう。とりあえず俺は店の裏口に…
「あ、ジェイド!次の新メニューで味見役が必要なら呼んでくださいね!」
考えておこう…




