メイとリゼ
私は双子の姉のメイだ。両親が早くに亡くなってしまったのでコネで王城のメイドをしている。だが妹のリゼが気弱でミスが多く、解雇になりそうだった。そんな時、声が掛かった。
「冒険者の方の専属メイドですか?」
私達は実質の左遷だと思った。王城で安定した生活を目指していたのだがそれも終わり。絶望していた。だが、
「こ、ここですか?」
リゼが呆然としていた。無理もない。私も呆然としている。冒険者のメイドということだがここは貴族邸だ。どういう人なのだろうか?
「そうですね。ここは元貴族邸です。広いので掃除はよろしくお願いしますよ。」
執事のブランドールさんはいかにもって感じの方だ。仕事できそう。怖い人じゃなければいいけど…
「おぉ双子のメイドなのか!よろしくな。」
「はい、こちらこそよろしくお願いします。」
主人であるジェイド様はなんというか…変わった方だった。家事は任せると言いながらも私達とキッチンに立ったりする。
「よし、これでヨシだ!」
「こんな料理は初めて見ました!」
「す、スゴいです!」
リゼは掃除より料理が得意だ。ジェイド様と最初に仲良くなったのはリゼだった。気弱で人見知りなリゼが懐くとは思わなかった。
「部屋は二部屋の方がいいか?あ、風呂も使っていいからな。これからはここが自分の家だからな。」
私達はさすがに遠慮して一部屋にしてもらった。最初は絶望していたが、ジェイド様は優しくお友達の方々も良い人ばかりだった。ここなら私達も安心して暮らしていけるかもしれない。
私は双子の妹のリゼだ。私は人見知りで掃除が苦手だ。王城では掃除がメインの仕事だったのでメイの足を引っ張ってばかりだった。だから冒険者の方の専属メイドになると聞いて私は遠回しな解雇だと思っていた。
「ここでしょうか?」
冷静なメイが呆然としていた。無理もない。貴族邸とはいえここは大きかった。ちゃんと掃除できるだろうか?私は不安しかなかった。
執事のブランドールさんは見た目より優しかった。
「よろしくお願いしますね。」
「は!はい!よろしくお願いします!」
私は緊張しっぱなしだった。
「お?双子メイドは料理ができるのか!よろしく頼むな!」
ジェイド様は変わった方だ。冒険者らしいが料理好きで、しょっちゅうキッチンに来ている。話を聞くと甘味屋ロザリーのオーナーでもあるらしい。私は最初は緊張していたがジェイド様が手際が良いと褒めてくれるのでいつの間にか自然体で会話できるようになっていた。メイも笑うことが多くなった気がする。
「ヨシ!服を買いに行くぞ!」
てっきりご自分の服を買われるんだと思っていたが違った。
「うちのメイドである以上、可愛くいてほしい!」
「可愛くですか?」
「既に可愛いんだけど着飾ってほしいの!」
本当に変わっている。私達は王城にいた時より良い暮らしをしている。そして、楽しい。ジェイド様と私達の暮らしを守るためにできることをちゃんとしようと私は決意を固めた。




