来訪者
プラチナランクの公表は後日、正式にやるらしい。とりあえずそれまで平穏な日々は保障される。俺は新メニューの開発でもしながら過ごそうと思っていた。そう思っていたのだ。
「ふぅっ。掃除終わり!久しぶりにお店を空けなきゃね。」
私は店の掃除をしていた。やはり自分の店には愛着が湧く。少しでも綺麗にしたいから念入りに掃除してしまう。冒険者の仕事もいいがバーテンダーとしての仕事が好きだ。可能な限り店を続けていきたいと思っている。今日はどんなお客さんが来るだろうか、と考えていると。
コンコンコン
営業前にノックされた。看板はまだ出していない。常連なら時間はわかっているはずだが…
ゴンゴンゴンゴンゴン
ノックが大きくなった。面倒だなと思いつつ、外に出た。そこには…
俺は部屋でゆっくりしていた。最近、働きすぎだ。ゆっくりするのも大事なのだ。
ドンドンドンドン
乱暴なノックだ。俺は狸寝入りをしようとしたが…
ガンガンガンガンゴンゴンゴン
これ以上はドアが壊れてしまう。どうせサクラだろうと思ってドアを開けた。
「ジェイド!大変だ!」
レイナだった。俺は嫌な予感がしたのでドアを閉めようとした。
「なにをしてんのよ!本当に大変なの!」
これはダメだ。真面目な話っぽい。
「わかったよ…で、どうした?」
「やぁ!ジェイド!久しぶりだね。」
レイナの後ろから声をかけられた。獣耳がある。獣人だろうか?特に知り合いはいなかったが。
「はぁ?どなたですか?」
「ちょっと!レイナもジェイドも!なんでわからないのさ!」
「わかるわけがないだろう…ジェイド、とりあえず入っていいか?」
「よくわからんが…ほら。」
俺は二人を部屋に入れた。ふむ、顔もスタイルも悪くない。というか美人である。
「で、誰なんだよ?レイナの知り合いか?」
「…私よりお前の方が知っているはずだが。」
「獣人に知り合いはいない。」
「酷すぎるだろう!共に戦ったではないか!」
「?いつの話だ?」
「つい最近じゃないか!」
「は?」
「それじゃわからないよ…ジェイド、この子はフェンリルだ。」
「ほうほう…フェンリルね…え?」
「失礼だぞ!ちゃんと名乗ったではないか!」
「フェンリル…セスか!」
「やっとわかったか!まったく人間というのは…」
「いや!無理だろ!わからんて!」
「ジェイドでさえわからないんだ…私なんか自己紹介していなかったんだから。」
「ジェイドよりレイナの方が近かったからな!ポーションのお礼もしなければと思ってね。」
変な所だけ礼儀正しい。これは本当にセスのようだ。




