異変
ヴァルキリーが深淵の森へ行って五日が経過した。依頼内容によって延びてしまうことはよくある。だがこれは単純な定期討伐だったはずだ。
「みんな遅いですね…」
アイリスが心配そうに言う。彼女にとってヴァルキリーはもう家族なのだ。
「なにかあったのでしょうか?」
「…アイリス。俺はギルドへ行ってくる。大丈夫。ちょっと話を聞いてくるだけだ。」
「なら私も!」
「ダメだ。アイリスはまだ冒険者じゃないからな。俺に任せて留守番していてくれ。ヴァルキリーが戻ってくるかもしれないからな。」
「っっ…わかりました。お願いします。」
俺はギルドへ向かう。無意識のうちに早足になっていたようですぐ着いた。俺はエイミーを探す時間も惜しく、二階のフレイヤの部屋へ向かった。扉を開ける。
「…ジェイドか。ヴァルキリーの件だな。」
「あぁ深淵の森へ行ったにしては遅すぎる。単純な定期討伐の依頼だったんだろ?」
「あぁ。それは間違いない。」
「期間が延びてしまうことはよくあるが…」
「わかっている。だが捜索に行こうにもパーティの空きがないのだ。」
「こんな時に…なら俺が行く。」
「ジェイド…お前はシルバーだろう?公的に依頼を受けているヴァルキリーの捜索にソロでシルバーのお前が行くことは許されない。」
「ならギルドを通さずに行く。」
「いい加減にしろ!私だっていろいろと考えているのだ!」
フレイヤにしては珍しく声を上げた。俺は冷静になるためにフレイヤの部屋に置かれた水差しから水を飲んだ。
「一つ、提案がある。」
「なんだ?」
「プラチナランク候補が一人いる。そいつにお前の事情を話して臨時でパーティを組んでもらう。」
「…なるほど?」
「プラチナランクは公表する。そいつはお前と同じくソロだ。プラチナランクならシルバーランクとパーティを組んで捜索に行っても問題はないはずだ。」
「事情を話すというのはどこまでだ?」
「お前がブラックランクということだろうな。」
「信用できるのか?」
「荒くれ者ではない。知的なヤツだ。」
「誰なんだ?」
夕暮れ時、俺はある店の前にいた。プラチナランク候補のヤツはここにいるはずだった。こんな形で来ることになるとは…俺は扉を開けた。
「あら?いらっしゃいませ。まだちょっと早いけど…どうぞ。」
「…今日は違うんだ。プラチナランク候補の冒険者、レイナに用があるんだ。」
レイナは黙って店の外に出た。看板を引っ込めたようだ。
「ふぅっプラチナランクっていきなり仕事が入るのね。おちおち商売もできないわ。」
レイナは妖艶な笑みを浮かべていた。
「で、貴方はギルドに言われて来たの?」
「違うんだ。俺と臨時でパーティを組んでほしい。」
「パーティ?貴方はシルバーランクでしょ?さすがに…難しいわよ。」
「これから言うことは国家機密だ。」
レイナの顔色が変わる。
「俺はブラックランクなんだ。」
俺はレイナに事情を話した。




