指名依頼
俺はいくつかの依頼をこなし、店やたまにヴァルキリーに顔を出して過ごしていた。ある朝、常宿の部屋の扉が叩かれた。ドンドンドンドン!うるせーな。これは
「うるせぇよ!サクラだろ!」
「お!よくわかりましたね。さすがはジェイド!」
悪びれる顔もせずサクラが言い放つ。
「で、なんの用だ?」
「指名依頼がきたんですよ!指名依頼!」
「そうか…で?」
「それがニ、三日かかりそうなんですよ!魔物討伐で「深淵の森」に行かなければならないのです!」
「深淵の森か…」
深淵の森は魔物の巣だ。定期的に討伐しないと周りの村に被害が出てしまう。今回はヴァルキリーに依頼が入ったらしい。
「アイリスには留守番をお願いしたいのですが…」
「お願いすりゃいいじゃないか。」
「まだアイリスには家事をちゃんと教えていないのです!面倒を見てあげてくれませんか?」
ふむ、まぁ三日くらいならいいか…食事に誘ったりすればいいだろう。
「わかった。ヴァルキリーが出発する日に俺も顔を出すよ。」
「おぉ!ありがとうございます!お土産に魔物の頭でも持ってきますね!」
「いらんわ!」
アイリスはまだ魔物を討伐できるレベルではない。留守番が適役だろう。深淵の森も深くまで行かなければそれほど危険もない。
「では、頼みましたよ!」
サクラは自分の用が終わるとさっさと帰っていった。ゴールドランクは指名依頼がめんどくさいんだよなぁ。基本的に断れないし。
ヴァルキリーが深淵の森へ出発する日になった。俺は朝からヴァルキリーのホームへ来ている。それぞれ準備はしっかりとしているようだ。
「ジェイド!来ましたね!」
「おう、ちゃんと準備はできているみたいだな。」
「そりゃそうよ。深淵の森には何度か行ってるけど、危険な魔物も出るから。」
「そうだね。油断はできない。」
まぁヴァルキリーなら特に問題なく依頼はこなせるだろう。
「ではアイリス。ジェイドのことは頼みましたよ!」
「逆だ逆。」
「冗談ですよ!アイリス!留守番よろしくお願いします!」
「すぐに帰ってくるから大丈夫よ。」
「はい。気をつけてくださいね。」
「じゃあ頑張ってなー。」
少し心配そうな顔をしながらもヴァルキリーは深淵野森へ向かった。俺とアイリスはとりあえずホームでお茶を飲んでいる。
「そういやアイリスは魔法の勉強はどんな感じなんだ?」
「はい。師匠に基本的なことを学んでいます。魔力の通し方を学んだら魔封じの紋を解除すると言っていました。」
「そうか。フレイヤは厳しいかい?」
「優しいですよ。丁寧に教えてくれるのでありがたいです。」
俺とアイリスは話をしたり食事に行ったりしながら過ごしていた。アイリスは家事もちゃんとできるようで俺の出番は特になかった。




