ギルドマスターの実力
静かな夜だ。俺は裏口からギルドに入った。今夜はエイミーもいないはずだ。俺は二階にあるギルドマスターの部屋へ向かった。
「こんな夜中に女性を訪ねて来るとはな。」
ノックする前に声をかけられた。俺はドアを開ける。そこにはギルドマスターのフレイヤがいた。少し酒を飲んでいるようだ。
「ん?これか?もう仕事は終わっている。ちょっと考え事をしていたのさ。飲むか?」
「いや、遠慮しとく。」
「つまらないヤツだ。で、なんの用だ?ヴァルキリーの新メンバーが元奴隷だった件について…か?」
「よくわかったな。」
「このタイミングだとそれしかないだろう。魔封じの紋があったしな。」
俺はアイリスの件を全て話した。フレイヤには味方でいてほしいからだ。
「なるほど…特に問題はないが…サクラが一目で気に入るほど、魔法の才がある奴隷か…ふむ。」
「なんか経緯が気になるんだけどさ。サクラが気にしないって言うからアイリスには聞きにくくて。」
「まぁわからんでもないが…ヴァルキリーのホームに住むんだろう?ちゃんと調べた方がいいと思うがな。」
今夜からアイリスはヴァルキリーのホームに住んでいる。ゆっくり眠れているといいが。
「それは軽く調べておこう。適性検査を受けさせるのは問題ない。まぁ、こっそりやる形にはなるがな。」
「頼むよ。」
「師匠はつけないのか?」
「え?師匠って?」
「ヴァルキリーには魔法使いがいないだろう?誰が教えるんだ?」
「一応、ホワイトファングのクインには話を通しておいてるけど。」
「馬鹿者。適性が合わないことだってあるだろう。例えば、火と水では教え方も違う。普通の魔法使いで教えられるのは手ほどきのレベルだ。」
「うーん。困ったな。…やっぱり難しいの?」
「お前は…本当に…サクラは雷、カエデは火、モミジは風だろう?しかもほぼ身体強化しか使用していないのにどうやって魔法使いを運用するのだ?」
よく考えたらそりゃそうだよな。
「とりあえず適性検査をやってからだな。師匠探しは。」
「そうだな。」
「アテはあるのか?」
「ないよ。」
「…」
フレイヤは呆れている。ヴァルキリーの新メンバーなんだからヴァルキリーでアテがあるかもしれない。
「俺は部外者だからさ。サクラ達が知っているかもしれない。」
「…カエデとモミジに期待しよう。」
フレイヤもサクラに魔法使いの知り合いがいるとは思っていないようだ。
「そうだな。じゃあ俺はこれで…」
フレイヤのお説教が長くなる前に俺はギルドを後にした。フレイヤ自身が超一流の魔法使いだから気になるのだろう。俺が唯一、模擬戦を途中で止めたのはフレイヤだけだ。あれ以上続けていたらどちらかが死んでいた。というか美人相手に戦いたくない。




