お買い上げ
「では、こちらでお待ちください。」
俺とサクラは館に入った。俺もサクラも奴隷の館に入るのは初めてだった。本来ならば事前準備等が必要なのでは?と思うがサクラが直ぐに行きたがったから仕方ない。
「ジェイド!この紅茶は良いヤツですよ!」
サクラは相変わらずの調子だった。俺の方が緊張してしまう。
「あの白髪の女の子が気になっているだけのことですよ!緊張することありますか?」
「まぁそれは…」
俺達が話していると扉が開いた。
「こちらがお客様が気になったという奴隷です。」
この女の子は白髪で痩せていた。髪が長く顔はよくわからない。なかなか整ってはいると思うが。
「そう!この子です!お名前は?」
その女の子は奴隷商人野方を見ている。なるほど、勝手に発言はできないのか。
「今は商談の場だ。構わないから話しなさい。」
奴隷商人はそう言うがオドオドして話せないでいる。
「はじめまして。俺はジェイドだ。こっちは…」
「私の名前はサクラです!貴女の名前を教えてください。ほら!どうぞ!」
俺の自己紹介に割り込むくらいの勢いでサクラが喋り出した。
「アイリス…で…と申します。」
「アイリスデというのですか!」
「いや、緊張してるんだよ。アイリスだよな?」
「はい。アイリスと申します。」
「では!アイリスを買います!」
「は?」
「え?」
「私はアイリスに興味があるのです!だから買います!」
「お、お客様…まだアイリスについての説明はしておりませんが…」
「結構!私はアイリスを買いますから!」
「お前…値段もわからないじゃねぇかよ。」
「足りなかったら借してください!」
「いま、まずさ…アイリスの値段と説明を…」
「だから買うから必要ありませんて!」
当のアイリス本人は呆気にとられている。それはそうだ。自分の身を値段もわからない女の子が買うと言っているのだ。
「で、ではアイリスをお買い上げということで…」
「はい!間違いないですよ!」
結果としてサクラはアイリスを買った。ディアッカの保障金があったので特に困ることもなく払っていた。
「では奴隷契約を…」
「必要ありません!ではもういいですか?帰ります!」
「は?」
「え?」
サクラはアイリスとの奴隷契約を結ぼうとしなかった。
「いえ、お客様。これは法で定められておりますので…」
「では、ジェイドが契約してください。」
「なんで俺が?」
「私はなんか嫌です!」
意味がわからないが…話が進まないので俺が契約することになった。
「…ではジェイド様がアイリスの主人ということで契約をします。」
「あぁ頼む。」
「アイリスの頭に手を」
俺はアイリスの頭に手を乗せた。キィィィィンという音と共に光が満ちる。
「では契約は結ばれました。ジェイド様はアイリスの主人になりました。…もし解約をする場合はこちらに…」
俺は奴隷契約用紙を貰った。なるほど…税金か…え?俺が払うの?え?
「よし!では行きますよ!」
「え?おいこら!はえーよ…くそ行くぞアイリス!」
「え?あ、はいっっ!」
「…またのお越しをお待ちしております…」
奴隷商人は微妙な顔をしていた。
俺達は奴隷の館を出た。サクラはアイリスを見て笑顔で言った。
「さぁ行きますよ!」
「どこにだよ…ちゃんと説明してくれよ…」
「ご主人様…あの…どうすれば…」
アイリスは困り顔だ。
「俺が主人てことになってるけど買ったのはサクラだからなぁ…」
「あぁそれは問題ないのです!行きますよ!」
サクラはズンズン歩き出した。俺達は呆然としながらもサクラについていくことにした。




