定番商品
甘味屋ロザリーの定番商品は和菓子風の物が多い。俺は和菓子が好きではあるが詳しい製法はわからないので、なかなか苦戦した。でも小豆みたいな豆や砂糖、粉類もあったのでシャナと二人でめちゃくちゃ作った。結果として餅系のお菓子や饅頭っぽいのは再現できたのだ。みたらし団子が一番売れているらしい。
「で、今回はどんなのを作るんですか?」
シャナは楽しみ半分憎しみ半分のような顔をしている。そりゃ味見中にかなり太ったらしいから仕方ない…
「これを使う!」
俺は寂れた港町で見つけた棒寒天を取り出した。
「なんですかこれ?」
「これを煮て溶かすんだ。」
「それだけ?」
「とりあえずミルクと煮るぞ。」
じっくりコトコト煮込んだ物がこちらです。
「で、器に入れて冷やす。」
俺は氷魔石で作られた冷蔵庫に入れた。その間に黒蜜を作ろう。
「次はこれ。」
「黒い塊?これなんです?」
「黒砂糖っていうなんつーか雑な砂糖みたいなもん、たしか。」
「オーナーっていつもこんな感じなんですか?」
「アイディアはあるのよ。雑だけど…」
こちらも水とじっくりコトコト…よしトロミがついた。
「で冷やしたヤツにこれをかけて…と。」
「めちゃくちゃシンプル…」
「さあ、おあがりよ!」
「いただきます…」
ちょっと不審な目をしながらも三人は口に運ぶ。
「あ、美味しい。」
「さっぱりしてていいですね。」
二人からは好評である。フィリスは…ちょっと悩んでいる。
「これ、ちょっと酸味がある果物とか入れてもいいですか?」
「おぉいいぞ。果物を入れるなら黒蜜は使わないでちょっとミルク自体を甘めにすると合うかもしれないな。」
なるほど…フィリスは使えそうだ。
「フィリスは元々、なにをやっていたんだ?」
「姉のバーを手伝っていました。今でも夜はたまに手伝っています。」
「マジか!王都にあるのか?」
「え?はい。」
「連れてってくれよ!」
俺はバーにも興味があった。でも落ち着いたバーってあんまりないんだよな…
「いいですよ。でも夜しか営業していないので…」
「そりゃそうだよな。じゃあ夜に…」
「いえ、今夜はこのレシピについて考えたいので…明日の夜はどうですか?」
「よし、じゃあ明日で頼む。」
フィリスはちゃんとオーナーに対しても自分の意見を言えるタイプのようだ。これはいい。
「さて、今回の甘味の話に戻ろう。ベースはこんな感じだからあとは好きにやってくれ。来週くらいには商品としての味見をするからな。」
「はいよ。今回はそこまで太らなそうだからよかったわ。」
「ちなみにそれぞれにアイディアがあったらいつでも言ってくれ。売上に応じて給金出すから。」
「本当ですか!頑張ります!」
「わかりました。自分でもいろいろと考えてみます。」
俺は美味しい物が食べられればそれでいい。
「じゃあ俺は行くからな。あとはよろしく。」
俺は1/5の売れ残りを持って冒険者ギルドに差し入れに行く。こういうのも大事なのだ。




