安定と安寧
焼肉屋フレイムの売上はどんどん伸びている。冒険者を辞めてもいいくらいに…
「でもなぁブラックランクだからこそ邪魔も入らずにアッサリと店を出せるんだよなぁ。」
ブラックランクの俺はほぼ審査ナシで物件も借りることができるし、新しく商売もできる。本来ならば手続きはかなりめんどくさい。最初に王と話した時の特権の一つだ。
「まぁ魔物はともかく悪魔相手はキツいからなぁ。とりあえず二足の草鞋はしばらく続けるかぁ」
資金はある。だが人材が問題だ。金を持ち逃げしない人間を探すだけでも一苦労である。それに調理もできるとなるとまた少なくなる。
「冒険者としての人付き合いも大事だしなぁ…」
実際にバッカムは元冒険者である。俺は儲けるのも大事だがその料理を手軽に食べたいのが本音である。前世のファストフードのような店も欲しいし、麺類もアリかもしれない。
現状、俺の店は
「焼肉屋フレイム」
「甘味屋ロザリー」
の二店舗である。甘味屋は季節毎に品を変えるが貴族を中心にかなりの売上がある。俺は甘党で前世ではスイーツの食べ歩きもしていた。まさか転生してそれが役に立つとは思わなかったが…
「そろそろ新しいメニューを考えねーとな。」
俺は重い腰を上げて甘味屋ロザリーへ向かう。店長であるシャナは孤児で、スリをしていた所を俺が捕まえ、見た目が悪くなかったのでスカウトした。人は見た目じゃないというが接客は見た目が良いほうが売上は上がる。悲しい事実だ。
「お待たせしました。」
店前を見るとシャナがスカウトしたであろう女の子らが働いている。真面目にやってくれれば雇用は任せると言ってあるからな。ふむ、見た目も接客も合格点だ。シャナは仕事ができる上に教育も上手い。あのままスリをやって衛兵に捕まっていたら実に勿体なかった。
「いらっしゃいませ。何をお求めですか?」
「ごめんね。シャナはいるかな?」
「店長!お客さんが呼んでます!」
「はーい!なんだージェイドじゃん!」
オーナー似向かってなんだはないだろう…でもこれを含めてシャナの良い所だと思っている。
「おぉ商品開発の件で来たんだけど…」
「オッケー私もアイディアがあるからとりあえず中に入ってー。」
「邪魔するよ(俺の店だけど)」
店内にはシャナの他に二人の従業員がいた。
「ロッテ、フィリス!この人がオーナーだよ。ジェイドって名前だから覚えてね。」
「え!すいません!知らなくて。はじめましてロッテです。」
「どうもフィリスです。よろしくお願いします。」
ロッテは売り子をしていた子で愛嬌がある。フィリスはダークエルフ?っぽい。色黒で美人だが冷たい印象がある。
「こちらこそ。はじめましてジェイドだ。ここのオーナーやっている。」
「フィリスは職人を目指してるんだよー。ここのお菓子に惚れて働きたいって言われたの。ロッテは元から友達で仕事を探してたから声をかけたんだ。」
ほう…フィリスは意外と熱いヤツなのかもしれないな。
「オーナー、新商品の開発でしたら私も興味があります。」
フィリスが堂々と喋った。
「商品はあとどれくらいある?」
「うーん1/5ってとこですね。」
昼過ぎて1/5なら上等だ。
「予約がないなら俺が買い占める。今日はこれで閉店にしよう。フィリスだけじゃなくロッテの意見も聞きたいからな。」
「わかりましたー。」
なかなかの手際の良さで閉店準備がされていく。
「さて、こっちも準備するか。」




