焼肉奉行
俺は肉をひたすら焼いている。まさかこんなに気に入るとは思わなかった。サクラやカエデはもちろん、普段はそこまで食に興味がないモミジまでしっかりと食べている。
「すいません!コメおかわり!」
「私も!」
「僕もお願いします。」
食が細めのモミジが食べてくれるのは嬉しいが他の二人は食べ過ぎではないだろうか?カエデはグラマラスな体型だからまぁ納得はするがサクラはどこに入っているのだろう?
「何を見ているのですか!はっ!ようやく私の魅力に気がつきましたか!」
「いや、口元にコメ付いてる。」
「もう…サクラったら子供みたいに…」
「ありがとう!お母さん!」
「違うから!」
「ジェイドさん、厚切りと普通のタンはどうして分けてあるのですか?」
突然、モミジから質問された。
「タンは弾力があるから薄切りでも美味いんだけど厚切りのタンは歯応えがまた違って美味いんだ。」
「なるほど…味だけではないのですね。僕は今まで料理に興味はなかったのですが…面白いですね。」
こういう質問は嬉しい。サクラとカエデも見習うべきだ。
「ふーっ食べました!ここはいいですね!次の打ち上げはここにしましょう!」
「お腹いっぱい…そうね…でも人気店だから。」
「ジェイドさん、オーナー席っていつも空けているんですよね?」
普段は大人しいカエデやモミジもなかなか図々しいことを言ってきた。
「…バッカム…ヴァルキリーもオーナー権限で席を使わせてやってくれ…でも奢らないからな!自分達で払えよ!」
「やったー!並ばず食べられる!この優越感!」
「私、ジェイドさんの知り合いで良かったわ!」
「ここの料理は抜群に美味しいので僕も嬉しいです!」
まぁヴァルキリーはゴールドランクパーティだから宣伝にもなるだろう…ほんとかな?
「はいよ!オーナー、デザートはどうする?」
「オレンとリモーネの氷菓子、シャーベットがあるがどうする?」
「食べます!どっちも!」
「お腹壊すわよ!二つずつにしましょう。」
「氷菓子もあるんだ…」
シャーベット等のデザートはここで試験的に出している。好評だったら別に店を出すのもアリかもしれない。
「んー美味しい!ぐっ!頭が!」
「急いで食べるからよ。ほんとにもう…」
「ジェイドさん…これ美味しい。さっぱりしてて焼肉の後にピッタリ。」
まともに味の評価をしてくれるのはモミジだけである。よし、今度から味見役にしよう。
「ごちそうさまでした!また来ます!すぐに!」
「またね。バッカムさん。」
「ありがとうございました。いつでもどうぞ。」
俺達は店を後にした。四人で食べるとなかなかの額である。これが前世でいうパパ活なのか…
「ジェイドさんてもしかしてお金持ち?」
カエデにいきなり言われた。
「だってここ繁盛店だし、あの言い方だとメニューを考案したのもジェイドさんでしょ?」
「ぐっ…まぁ多少はゆとりがでてきたかなーってくらいだよ。」
「これはまだ隠していますね!出資している店はここだけではないでしょう!」
サクラのこの鋭さはスキルなんだろうか?迷惑すぎる。
「俺にだって秘密はあるさ。機会があったら少しずつ教えてやるよ。」
「言いましたね!ちゃんと教えてくださいよ!」
「美味しい物だったらまた食べたいです。」
「私の予想ではデザート系に手を出していると思う。」
モミジが鋭いからこの話は終わりにしよう。
「旦那にちゃんとした稼ぎがあると妻としては安心です!よし!結婚しましょう!」
「ジェイドさんは自分で料理しないんですか?」
サクラは放置しておこう。
「んー試作品を作ったりはするぞ。宿では迷惑だろうからしてない。」
「少しでも料理できるのはいいですね。」
「サクラも見習って料理教わりなさいよ。」
「私は食べるのが専門だ!中途半端に台所に立つのも迷惑だろう!」
まぁ言ってることはわかるが完全に放棄するのはどうなんだろうか?
「ヴァルキリーではカエデとモミジが作ったりするのか?」
「はい。私達も簡単な物しか作れませんが…」
「主にスープですからね。」
まぁスープとパンでも野営ではいいのか。本格的に作れると士気も上がるんだが。
「でも焼肉を食べてみて少し、料理に興味が湧きました。」
「そうね。簡単な調理であれほど美味しくなるならね。」
「簡単そうだが肉のカットは難しいぞ。食べやすくスジを避けたりタレは今でも改良を続けているからな。」
でも、興味を持つことはいいことである。
「そうね。あのタレは簡単なようで難しそうね。」
「あのタレとコメだけで食べ続けられそうだ!」
前世にもいたな。こういうヤツ…




