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クノテベス・サーガ  作者: 落花生
三章 簡単な冒険も大事にしよう
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一話 ウェスタン

「冒険に行きたいです」

「まだ二ヵ月だぞぉー」

 

 先生はぷりぷりと怒っている。前回の冒険では散々だったから仕方がない。

 それでも、私にとっての二ヵ月は長い。エルフである先生には、一週間くらいの感覚なのだろう。


「フェンフェンも屋敷が窮屈だそうです」

「……クゥ~ン」


 フェンフェンは、私の横で悲しそうに吠える。アルベーデン辺境伯領にはダンジョンがないので退屈なのだ。


「仕方ないなー。ここ行ってきなー」


 すんなり通った。怪しい。

 私は先生の机に近づいて、広げられた地図を見る。


「前に通ったアイーダの街さ」


 アルベーデン辺境伯領の隣にリナート男爵領がある。さらに、その隣の街だ。

 三ヵ月前、ジマーリ男爵領に向かう途中で一泊した。帰りは、素通りだった。なので、どんな街か記憶にない。


「四つ先の街に行ったのに、二つ戻ってます」

「知らないよ。そんなこと!?」


 四歩進んで、四歩下がって、二歩進む。よろしくない。


「明日の朝、トムたちが出発するから。一緒に行くかどうか、今決めて」


 急だ。

 それでも、私は即決した。冒険がしたいのだ。例え、小さなものでも。



 次の日。

 私は馬車に揺られている。

 二泊三日の旅なので、前回のような見送りはなかった。

 トムさんと執事さんたちは、アイーダの街で何らかの会談を行うようだ。誰も話さないので、内容は知らない。とりあえず、私は適当に遊んでいいと思う。


 ジマーリ男爵領に着いて、カフェで休憩した。

 それから、すぐに馬車は出発した。

 気にしてなかったけれど、馬車が速い。前世で自動車に乗った記憶があるので違和感を感じなかった。

 これなら、お昼前にアイーダの街に着く。到着は明日だと思っていた。遊ぶ時間が増えて嬉しい。



 アイーダの街に到着した。

 前回は夜に着いて、朝早く出発したので街の様子を見ていない。まずは、観光することにしよう。


 街は全体的にウェスタンだった。カウボーイが歩いていてもおかしくない。

 目の前をタンブルウィードが転がった。この草は実際の西部劇の時代には存在しなかったらしい。でも、ここはゲームの世界なので、お構いなしだ。


 ゲームでは、西方のどこかに大きな西部劇風の街があった。カウボーイもいた。

 トロッコのミニゲームがやたらと難しかったのを覚えている。

 走行中にジャンプしてメダルをゲットする。しかし、トロッコのスピードが速過ぎた。反射神経だけではどうにもならないので、アイテムがある場所を記憶してボタンを押さないといけない。

 7個くらいでクリアだったはず。私はそれで限界だった。すべてのメダルを取ると、強力なアイテムが手に入るとNPCが話していた。


 ここは小さな街なので、トロッコのイベントはないと思う。あったらあったで、先生が事前に注意したはず。


 街の中を歩く。

 建物は三十件くらいだと思う。そこそこの大きさの街だ。

 停留所の周りに商店と宿屋があり、奥には住居と工房があった。

 街の周りは、柵と木の板の防壁で囲われている。マナの関係で、この辺りにはほとんど魔物が出現しないそうだ。


 しばらくして、私たちの泊まる家に到着した。空き家を借りたらしい。

 私は領主へ挨拶に行かなくてもいいと言われた。早速、遊びに行く。

 まずは、お昼ご飯を食べよう。フェンフェンがグイグイとリードを引っ張る。お腹が空いたのか、馬車の中が窮屈だったのか。

 

 また停留所に戻ってきた。途中で人には会わなかった。工房から音がするので、住人は仕事中なのだろう。

 目をつけていたレストランに入る。店の前に花がたくさん飾っていたので、荒っぽい人はいないと思う。

 中はピカピカするくらい綺麗だった。西部劇風の酒場を想像していたけれど、現代風のレストランだ。洒落た絵や置物、旗などが飾ってある。手配書はなかった。


 優しそうな年配の女性が接客してくれた。

 私はオススメのカルボナーラを注文する。豆料理は苦手なので、こういうのがあるのは助かる。

 フェンフェンはチキンの照り焼きだ。


 すぐに料理が運ばれてきた。

 食べる。まずまず……そこそこ……微妙。


 すると、おばさんが意味深な目で私を見てきた。


「……まずいでしょう?」


 そんなにはっきり言われても困る。適当に返事を返す。


「……少し刺激が足りない気もします」

「そう、その通りよ」


 当たってしまった。嫌な予感。


「ここのダンジョンの特産品でね。"傲慢マイティこしょう"というアイテムがあるのよ。それをたくさん入れたのが本来の名物の"傲慢マイティカルボナーラ"よ」


 どうやら、イベントが発生したようだ。

 ここのダンジョンは初心者向けの簡単なものらしい。普通に探索しても退屈なだけだ。こういう人助けのイベントを受けておくのも良い。

 二度も続けて大事にはならない……はず。

新章を始めてみようと思います。

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