魔法習得①
ボボッ! ボッボッボッボッ! ボーーーッ!
「出たー!火出たー!」
木々に囲まれた森の中、新米魔女が師匠同伴で魔法を使っていた。
魔女の話をきいて改めて魔女であることを確認してここ数日、書斎でこれでもかといわんばかりの魔導書を読み、魔法の仕組みや種類等をひたすら覚えさせられたメアは、今日から初めて実際に魔法を使い始めたのである。
初めて自分で出せた魔法をキラッキラとした瞳で見ていたのだが、次第に様子がおかしくなっていき・・・
「あ、あれ?なんか火の玉がだんだんおっきくなっていってる気が・・・」
「ずっと魔力が出続けてるからよ。まだ魔力操作も覚えてないし、下級魔法の基本だから普通の場合はちっちゃい火の玉で終わるんだけど、魔女は魔力が尽きないから他と比べ物にならないくらい強力になるのよ。そのままいくと魔力暴走起こしたりするから早めに消しなさいね。」
「け、消すって、ど、どーやって?」
「消すって普通にこう・・・ あ、教えてなかった?かな?」
「教えてもらってないですよ!あ、どんどん大きくなってる!これヤバイんじゃないですかー!?」
あわあわしながらモアをみたメアは助けを求めたのだが、モアは一歩下がって、
「ごめん!」
「えええぇぇぇぇーー!!!」
ボンッ!
魔法には威力や規模の大きさで段階がある。
下級魔法・・・ 基本中の基本の魔法。手のひらサイズの火の玉やバケツ一杯分の水などが出せる。魔力があれば誰でも使えて、日常生活などで主に用いられる。
中級魔法・・・ 冒険者などが小型・中型魔物を退治するときによく使われる。下級魔法の十倍程の威力が出る。長年の鍛練を積めば扱えるようになる。(主に魔力量の増大)
上級魔法・・・才能のある人でないと使えない。魔道士と呼ばれる人々が大型魔物を退治するときに使われる。回復魔法や治癒魔法、強化魔法などの特殊な魔法のこと。
超級魔法・・・才能のある超一流魔導師が生涯を魔法の鍛練に捧げてやっと使えるようになる魔法。辺り一帯を火の海に変えたり、大地を凍らせたり出来る。戦争や争い事で使われたり、超大型魔物の撃退などで使われる。
絶級魔法・・・超一流魔導師が束になってやっと使える魔法。雷の雨を降らせたり、通り過ぎるだけで全てを吹き飛ばす竜巻や自然災害と同等の力を出せる。魔女の変質魔法も絶級魔法である。
段階に応じて使用する魔力が跳ね上がっていくため、上級魔法が今現在の使用できる最高位魔法とされている。
魔女の場合、魔力量を気にすることがないため、一度魔法を覚えてしまえばどの魔法でも自在に扱える。
加えてこの世界には、限られた一部の者及び、一種族において固有能力、すなわちスキルというものが存在する。
魔女は特殊な種族故にいくつかのスキルを持っている。そのいくつかのスキルの中に【無限魔力】と【魔法威力増大】というスキルがある。
【無限魔力】 魔力が尽きない
【魔法威力増大】 魔法の威力が上がる(階級一個分)
二つ目のスキルのせいで威力が上がってしまうため、魔力操作が出来ないメアは、制御しきれず(モアが教え忘れたせいで)爆発を起こしてしまったのだ。
黒い煙が晴れて、あちこちをプスプスと焦がして倒れているメアがいた。
「…ひどい。」
「ご、ごめんね?大丈夫?」
「大丈夫です。ええ。大丈夫ですとも。あちこち焦げてますが私は元気です。フ、フフフフフフフ」
「あ、あははは、は、は」
半分虚ろな目をしてちっちゃくなってるメアにモアがおそるおそる語りかけ、ちょっとおかしくなってる弟子に師匠が苦笑いする。
その後、モアがひどく落ち込んでいる弟子を復活させるために「マホウコワイ」とカタコトになってるメアに、励ましたり派手な魔法を見せたりと頑張ったため、なんとかメアの機嫌も直った。
「ゴホン、とりあえずさっき魔法を使ったときに体からなにか出ていくような感覚がなかった?」
「あったような?気がします。一向に減っている気配が無かったのであんまりピンとこないのですが。」
「それは私達の種族特有のスキルのおかげで魔力が減らないからね。とはいえ、一応感覚は分かってるみたいね。その体から出たような感じのなにかが魔力よ。」
「あれが魔力ですか。」
「そうよ。私達以外の他種族は魔力量が限られているから階級の通りに魔法が出せるのだけど、あなたは魔女だから体から際限なく溢れる魔力のせいで階級通りにいかないの。魔力操作が出来ないとさっきみたいになってしまうのよ。」
「なるほど。じゃあその魔力操作ってどうすれば出来るようになりますか?」
ここでメアの顔色が変わった。どこか気まずげな様子に。
「…回数を重ねて、魔力の流れを止めたり、逆に威力を上げるために多く魔力を送り込んだりが出来るように、感覚が掴めるまでひたすらやるのよ。」
「そ、それは、また爆発した、り?」
「するわね。」
「ほ、他の方法は…」
「練習あるのみ!」
「そ、そんな。」
「それにね、メアの今後の為にもね、覚えなきゃいけないと思うの。」
「魔力暴走起こして爆発してまで覚えるメリットっていったい…」
「まー色々あるけど、例えば自由に身体の成長を変化させたり、とかね。」
「覚えます!私は魔力操作をマスターします!」
「…あ、うん。」
(なんて変わり身。)なんて思いながらモアがジト目を向ける。
とはいえ、覚えてくれる気になってくれて良かったと思い、モアは安心していた。
実は、魔女にはどうしても覚えておかなければならない魔法があり、それを使う過程で魔力操作は避けて通れないものなのだ。
とにかく今は魔力操作である。
「ほら、いつまでも休んでないで、回数を重ねなきゃいつまでたっても身につかないわよ!」
「はい!私、大人びた外見になれるよう頑張ります!」
「うん。」
ボッ、ボッボッボッボ ボワッ!!!
「あ、」
ボンッ!
どうやら道のりはまだまだ長いらしい。
読んでくれてありがとうございます。




