第4話 タワーマンションの新生活
意識を失い、体調を崩した俺は、高橋さん、早乙女さん、そして霧島玲の三人に世話を見てもらっていた。
霧島玲は、あの日から何度も頭を下げた。
俺もすぐに許せたわけではない。
それでも、彼女が本気で俺の側にいようとしていることだけは、少しずつ分かってきた。
家に三人が揃う日が増え、狭い部屋が息苦しく感じるようになった頃、高橋さんが切り出した。
「ねえ、支社長。いっそのこと、同じ家に住まない?」
早乙女さんが頰を赤らめて、
「実は・・・・私も、前から思っていたんです」
霧島玲が、妖艶に微笑みながら、
「私、都内で良い物件のタワーマンションを持っているわ。セキュリティも完璧で、眺めも最高よ。どうかしら?」
俺は驚いて、
「タワーマンション・・・・?」
三人は目を輝かせて、
「どう?」
「一緒にいたら、もっと安心できるわ」
「ご主人様の側に、いつもいられます」
俺は喉を鳴らした。
想像するだけで、胸が熱くなる。
広々としたリビング。
朝、早乙女さんがキッチンで朝食を準備してくれる。
高橋さんが、仕事の相談に乗ってくれる。
霧島玲が、夜の時間を優雅に彩ってくれる。
だけど、
「・・・・いや、さすがにそれは」
俺はあまりの展開の速さについていけず、
「世間体とか、大丈夫なのか」
と心配の声をあげるが、最終的には三人の声に押されて決めることになった。
数週間後、俺たちは都心のタワーマンションに移った。
最上階の角部屋。
大きな窓から、東京の夜景が一望できる。
リビングは広々として、ソファセットもダイニングテーブルも高級感がある。
キッチンはアイランド型で、早乙女さんが嬉しそうに料理をする。
朝、目が覚めると、早乙女さんがベッドサイドに温かいお茶を置いてくれている。
「おはようございます。今日も頑張ってくださいね」
高橋さんは、朝食を食べながら、
「今日のスケジュール、確認した?支社の報告書、私がまとめておいたわ」
と、資料を差し出す。
霧島玲は、夜になるとワインを用意して、
「今日は、私がマッサージしてあげましょうか」
そう言って俺の肩に手を置く。
三人とも、俺の生活を完璧に支えてくれる。
孤独だった俺の人生が、こんなに満たされるなんて。
窓の外の夜景を見ながら、俺は小さく息を吐いた。
——ご主人様。
エクレアの声が、優しく響く。
——新しいお住まい、とても素敵ですわ。
——三人の想いが、ご主人様を包んでおります。
俺は三人を見回した。
高橋さんの真剣な瞳。
早乙女さんの優しい声。
霧島玲の妖艶な微笑み。
これが幸せというやつか。
そう思ってこの気持ちよさを噛み締めていると早乙女さんが、
「うふふ、今日は霧島さんが一緒にいてあげてください。私たちは先に休んでいますね」
そう言って、高橋さんと部屋を出ていく。
霧島玲が妖艶さを増した笑みでゆっくりと俺に近づき身体を預けた。
(暗転)
タワーマンションの夜は、静かでいて、思った以上に熱かった。
——すべては、ご主人様の意思のままに。




