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第2話

再び意識が目覚めた時は、病院のベッドの上だった。


白い天井。消毒の匂い。


体がだるいが、痛みはない。


「・・・・あれ?」


起き上がろうとすると、横から声がした。


「あ、起きた!」


振り向くと、早乙女さんがいた。


コンビニの店員だった彼女は、今や俺の日常の一部。


ラインのやり取りから始まり、家に来るようになり、尽くしてくれる存在。


彼女はトレイにスープを乗せて、笑顔で近づく。


「一週間、寝てたんですよ。心配したんですから」


「一週間?」


驚いて体を起こす。


早乙女さんは優しく肩を押さえ、枕を直す。


「事故の後、高橋さんが救急車を呼んで。交互で看病してました。私が昼で、高橋さんが夜。仕事の合間に」


彼女の目が少し赤い。泣いた跡か。


俺は胸が熱くなった。


「ありがとう・・・・早乙女さん」


「当然です。あなたが私を支えてくれるように、私も支えたいんです」


彼女はスープを匙で掬い、俺の口元に運ぶ。


温かく、優しい味。母親のような、恋人のような——いや、もっと深い何か。


すると、ドアが開き、高橋さんが入ってきた。


彼女は花束を抱え、ほっとした顔をする。


「目覚めたのね。良かったわ。あの時、君がいなかったら私、死んでたかも」


高橋さんはベッドサイドに座り、手を握る。


部長らしい落ち着きだが、声が震えている。


「本当に、ありがとう。君の動き、信じられなかったわ。まるで超人みたい」


俺は苦笑した。エクレアの力だ。


でも、それは言えない。


——ご主人様。お目覚めですか。


耳元で、エクレアの声。


彼女は実体がないが、存在を感じる。


——副作用は、体力の消耗と一週間の眠り。でも、無事で何よりです。これからも、お守りいたします。


高橋さんが続ける。


「会社は心配してるわ。ゆっくり休んで」


早乙女さんが頷く。


「私も、毎日来ます。食事、作りますから」


二人の女性に囲まれ、俺は小さく息を吐いた。


後で聞くところによると、あの事故は物損事故として処理されたらしい。


幸い、俺たち以外に大きな怪我人は出なかったそうだ。


孤独だった俺の人生が変わった。


エクレアのおかげで、嘘を見破り、やり返し、守る力まで得た。


そのうえ、俺には勿体ないぐらいの女性からの支えがある。


これからも、きっと大丈夫だ。


——すべては、ご主人様の意思のままに。


エクレアの言葉が、心に響く。


窓から差し込む光が、優しく部屋を照らした。


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