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49.二本の斧



「アンタ、アタシの斧作れる?」


 桜木さんの頼みとは、どうやら桜木さんの斧を再現することだったようだ。


「やってみます」


 俺は斧を想像した。右手に桜木さんの斧を再現した。


「便利な能力だね。よし、アタシが奴を誘導する。五十嵐、アンタは奴の動きを止めな。一ノ瀬、アンタはその斧で全力の一撃を叩き込みな」


 すると、転がる隙を与えずに桜木さんが攻撃を仕掛ける。


 アルマジロUMAはすぐに丸まり、尻尾を使って飛び跳ねて回避する。

 そして桜木さんの攻撃で敵の移動先を制限して五十嵐さんの方へと誘導していく。


 しかし、尻尾で自在に回避するため、徐々に五十嵐さんから離れるように回避していく。


(まずい、これじゃ奴の逃げ先を制限できない。俺もやるしかない)


 桜木さんの攻撃の後、俺も攻撃を仕掛けて誘導していく。

 そして、ついにその時が来た。


 五十嵐さんのそばに着地した瞬間、五十嵐さんが距離を詰める。


「五十嵐、そいつを止めとけー!」


「了解」


 アルマジロUMAの動きを止めようとするが、跳ねて飛んできた勢いで五十嵐さん一人では止めきれなかった。

 体勢を崩しかけたところに、すかさず桜木さんも止めに入る。


 二人がかりで、やっと動きを止めることに成功した。


 俺は斧を思いっきり振って攻撃する。

 しかし、全力で振った斧は外殻で弾かれてしまった。


 アルマジロUMAは前足で二人を突き飛ばした。

 アルマジロUMAの拘束が解けて自由になってしまった。


(まずい、また振出しに戻ってしまう)


 俺は再度斧を振りかぶり、斬りかかるが、尻尾で斧を弾かれてしまった。


「しまっ——。」


 俺は頭突きを食らって吹き飛ばされた。

 吹っ飛ぶ中、さっき弾かれた斧を桜木さんがジャンプしてキャッチしているのが見えた。

 そのまま岩から岩へと飛び移り、UMAとの距離を一気に詰めていく。


 五十嵐さんが吹っ飛ぶ俺とすれ違い、桜木さんと同じようにUMAの方へと走っていた。


 ズザザザザザアァアァァーー!


 勢いが収まり、俺は二人が戦っている様子を遠目に見た。


 五十嵐さんがUMAへ攻撃を仕掛ける。

 UMAは丸まって攻撃を防いでいた。


「そいつを全力で抑えろ五十嵐!!」


 岩場を素早く跳び移って移動している桜木さんが叫ぶ。


 すると五十嵐さんは大剣を手放した。

 素手でUMAを両脇から掴んで押さえつけている。


 動けずにもがいている間に、桜木さんが大きく空中へ飛び、すさまじい速度で回転した。

 遠心力を極限まで高めながらUMAへと急降下して突っ込む。


「ふんっ、ぐううぅぅぅぅあああぁぁぁぁっっっ!!」


 五十嵐さんの両腕が張り裂けんばかりに筋肉が膨れ上がる。

 しかし、五十嵐さんはUMAを抑えきれなかった。


 前足で動きを抑えていた両腕を振りほどかれ、頭突きで吹き飛ばされてしまった。

 アルマジロUMAは上空から迫る桜木さんを見た。


 そして——。




 ドズウゥゥゥーーーンッッ!!




 足場が激しく揺れた。

 二本の斧が外殻に深々と突き刺さり、その巨体が地面へと叩きつけられた。


 外殻を貫通することはなく、叩きつけられた勢いで胴体が大きく押し潰されていた。

 

(倒した……のか!?)


 アルマジロUMAは口を大きく開き、白目をむいたままピクリとも動かなかった。


「どうやら……終わったようだね、ふぅー」


 桜木さんはその場に尻餅をついて座り込んだ。


「あぁー、しんどい相手だったぁ」


(こう見ると、見た目はほんとにただの子供なんだよなー桜木さん)


 大の字になって仰向けに寝そべる桜木さんを見て、五十嵐さんが代わりに討伐完了報告をした。


「こちら五十嵐、討伐完了しました」


『ん?ご苦労。桜木はどうした?』


 三神隊長は、小隊長である桜木さんが報告しなかったことに違和感を感じたようだ。


『えっとー、その。戦闘のダメージというか疲労というか、いろいろ溜まってまして代わりに……』


 三神隊長はそこで深く聞くことをやめた。


『そうか、ひとまず無事で何よりだ。帰還してくれ』


『了解』


 俺は動こうとしない桜木さんをお姫様抱っこして飛空船まで運んだ。




 帰還後、俺は再現した武器を振り返っていた。


(大鎌はかなり扱えていた。だけど今回再現した鎖と斧はまるで使えなかった。でも、俺が再現した斧を桜木さんは最後に使っていた。しかもオリジナルと同じ威力だった。俺の再現した斧の出来が悪かった訳じゃない。単に俺が使いこなせなかったってことか)


 今度は再現した武器をちゃんと使いこなせるように訓練した。



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