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34.戦場跡連戦



 推進機構のバランスを保つ訓練に加えて、長月さんから指摘されている基礎訓練を毎日するようになった。


 推進機構を使う時のバランスは保てるようになってきた。しかし、その後パイルバンカーを撃った反動で踏ん張る際にバランスを崩してしまう。


(ここの感覚を掴めたらかなり進展するんだけどな。実戦で使えるようにするには感覚を掴まないと)


 一人で合同訓練場で推進機構の訓練をしていたその時だった。




ウーーーッ!!! ウーーーッ!!!




 大音量のサイレンが鳴り響いた。



『——緊急警報、緊急警報。戦場跡にUMA出現。繰り返します、戦場跡にUMA出現』


 スピーカーからアナウンスが流れた。


『全討伐部隊員は、速やかにブリーフィングルームに集まってください』


(数日前に狼UMAを倒したばかりなのにまたUMAが発生したのか。しかも戦場跡って、場所も同じ!?)


 俺は何か嫌な予感を抱えながら、ブリーフィングルームへと急いだ。




 全員がブリーフィングルームに集合した。三神隊長の表情がいつもより思い詰めているように感じた。また同じ場所にUMAが現れたことで、俺自身少し考えすぎているのかもしれない。


(流石に、気のせいか)


 俺は考えることをやめた。そして、三神隊長は発見されたUMAの映像をモニターに映した。


「再度戦場跡地にUMAが発生した。今回発見したUMAはトカゲUMAだ。硬い鱗で覆われている、大型武器で討伐にあたる」


(今回のUMAも人の形じゃないのか)


 今まで人型UMAが当たり前だったから、少し珍しく感じた。


「出撃メンバーを発表する。五十嵐、真一、真二、一ノ瀬、長月、桜木。以上」


 すぐに出撃準備に移り、広間に集まり戦場跡へと飛空船で向かった。



 目的の場所に到着して、目標を発見した。


「よし、私がやろう。復帰戦だ」


 どうやら長月さんが一人でやるようだ。


「長月、アンタがピンチになった瞬間横槍入れさせてもらうよ」


 桜木さんが、いつでも加勢に入れるように準備をする。俺も長月さんの戦いを見学しながら加勢できるように構えた。


 上から降下してきた俺たちを警戒して、トカゲUMAは前に立った長月さんをじっと見つめたまま動かない。


 長月さんが大きく、そして素早く息を吸い込みトカゲUMAへと一瞬で間合いを詰める。


 ビュンッ!


 振るった刀が空を斬る音が聞こえる。トカゲUMAは反応できずに直撃した。しかし、鱗が硬く直撃したものの致命傷には至らなかった。


 斬撃を受けながら反撃をするトカゲUMA。しかし、長月さんはその攻撃を刀で弾き、そのまま攻撃を続ける。


 トカゲUMAは長月さんへの反撃ができず、一方的に攻撃を受け続ける。


 鱗で斬撃を弾いていたが、次第に鱗が砕け散っていき斬撃が通り始めた。


(すごい。一人で戦っているのに一方的だ。相手に何もさせないほど、素早い斬撃を連続で繰り出してる)


 俺は長月さんの戦いに見惚れていた。そして——


——ズバッ!


 トカゲUMAの手が斬り飛ばされた。さらに斬撃を続けてトカゲUMAの体が切り刻まれていく。


 そして、ついにトカゲUMAの首をはねた。


「討伐完了だ」


「アタシらの出番はなし、か。まぁ、予想はしてたけど」


 桜木さんは構えていた斧を背負い直した。


「こちら桜木、討伐完了。これより帰還する」


『了解、特に異常はなかったか?』


「ん?異常?特になかったけど、どして?」


『いや、それならいい』


 桜木さんが三神隊長への報告も終えて、俺たちはガイアへ帰還する。


(三神隊長は何を心配してたのかな?)


 そんなことを考えながら俺は飛空船に乗った。







          翌日






(長月さんのように、一人でも圧倒できるくらい強くなれたらなー)


 俺は昨日の長月さんの戦いを忘れられず、基礎訓練に励んでいた。訓練相手に真二くんを誘って二人で訓練をしている。


「それにしても長月さんすごかったよなー。一人で圧倒しちまって、俺たち出番なかったな」


「そうだね。敵も反撃してたけど、全部刀で弾かれたり叩き落とされたり受け流されたりで、一回も長月さん被弾してなかったね」


「刀で受けてるから、あの守りが攻めにもなってるんだよな。刀って実はめちゃくちゃ強いんじゃね?」


「斬り落とせたら敵の戦力落とせるし。刀身で受けるから、ガード範囲も真二の斧槍と比べて広いよね。刀は刺突も斬撃もできるしね」


「突きに関しては槍の方が優れてるけど、斧槍だとガードがキツイんだよなー」


「でも斧槍は近づけさせなければいい話だよ」


「それもそうだな」


 二人で基礎訓練を続けていたら、またあの音が鳴り響いた。




ウーーーッ!!! ウーーーッ!!!




 大音量であのサイレンが鳴り響いたのだ。



『——緊急警報、緊急警報。戦場跡にUMA出現。繰り返します、戦場跡にUMA出現』


 スピーカーからアナウンスが流れた。


『全討伐部隊員は、速やかにブリーフィングルームに集まってください』




 俺は耳を疑った。昨日戦場跡でUMAを討伐したばかりだったからだ。


(え?またUMAが発生?昨日倒したばかりなのになんで)


 俺は困惑しながら、真二くんと共にブリーフィングルームへと向かった。




 全メンバーが集まり、三神隊長がモニターに発見したUMAを映す。


「戦場跡でUMAが発見された。今回はゴリラUMAだ。出撃メンバーを発表する。山方、九十九、桜木、如月、真二、真一。以上だ」


 出撃メンバーは準備に取り掛かった。


(今回は俺の出番はなしか)


 待機してるメンバーはこの間は何をしているのか、俺は気になって長月さんに質問した。


「飛空船からUMAの映像を撮っているんだ。その映像がモニターに映し出される。それを見る者もいれば、訓練する者もいるし、食事する者もいれば、自室に戻る者もいる。要はみんな好きにしている」


(特に何かするってことはないのか)


 いつでも出撃できるように準備しておかなければいけないのかと思っていたため、少し安心した。俺はそのままブリーフィングルームで戦闘映像を見ることにした。


 三神隊長と十条さんはすでにブリーフィングルームにいなかった。部屋には俺と長月さんと清乃女さんと五十嵐さんが残っていた。


(三神隊長はいつもブリーフィングルームで映像を見ながら、無線で報告を受けて作戦を立てていたのかな)


 しかし、その場に三神隊長の姿はなく、俺はどこへ行ったのか気になっていた。


 すると、飛空船からの映像がモニターに映し出された。そして討伐へ向かったメンバーも映った。


 山方小隊長が鎖で攻撃を仕掛け、ゴリラUMAとの力勝負を繰り広げている。腕が塞がっている間に真一さんと真二くんが攻撃を仕掛けた。


 ゴリラUMAは山方小隊長の鎖を引っ張り、その鎖で攻撃を受けた。しかし、その後時間差で懐まで迫った桜木さんの攻撃に対応できずに右腕を斬り落とされた。


「見事な連携だな。一度二人同時に襲わせることで、敵に同時に対処を迫らせた。それに気を取られて、時間差で攻撃を仕掛けていた桜木の攻撃に反応しきれずやられた」


 戦闘の様子を、長月さんが俺の隣で解説してくれる。


 ゴリラUMAはすかさず後方へと飛び退き間合いをとった。しかし、ゴリラUMAが急に変な体勢で動きを止めた。そこを如月さんが狙撃して、ゴリラUMAの頭部を弾丸が貫いた。


ゴリラUMAの全身から力が抜け、ダラリと崩れ落ちた。その瞬間、俺は気づいた。九十九さんのワイヤーに囚われて体を拘束されていたのだ。


「山方の連撃と捕縛で力比べをしている間に、九十九のワイヤーをUMAの後方に張り終えていたようだな」


(そうか、勝てる盤面を作るための時間稼ぎをして、準備が整ってから攻撃開始したのか。桜木さんの作戦だ!)


「見るのも勉強になりますね」


「ふっ、君は真っ直ぐだね」


 長月さんははにかんだ笑顔を見せた。


「無事討伐完了したようだし、私は部屋に戻るよ」


 長月さんはそう言って自室へと戻っていった。


(俺も自室に戻ろうかな)


 そう思い、ブリーフィングルームを出たところで三神隊長と出会った。


「一ノ瀬、ちょうどよかった」


「隊長どうしたんですか?」


「影浦さんから言伝だ。左腕のパイルバンカーが完成したようだ」


 ついにもう片方のパイルバンカーが完成した。これで左右バランスの悪さは解消される。そして、両方の腕で戦うことができる。


「ありがとうございます。すぐに受け取りに行きます」


 影浦さんの元へ訪れ、俺はもう片方のパイルバンカーを受け取った。推進機構も左腕に追加されており、右腕の物と同じ性能が備わっている。


(明日から左腕にも装着して訓練するぞー)


 俺はパイルバンカー完成に浮かれつつ、やる気をみなぎらせた。


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