24.難攻不落の要塞亀
討伐メンバー全員でブリーフィングルームへ移動した。
三神隊長がモニターに映像を映す。そこには口から高圧水流のビームを放つ化け物が映っていた。
「対象は二足歩行で背中に甲羅のある、亀型UMA。場所は湖畔山麓だ。見たところ動きは鈍く、口から高圧水流のビームを発射している。その威力は地形を変化させる威力で大地を裂き、山に穴を穿つほどだ」
(また怪獣のような破壊力を持った敵が相手なのか)
俺は長月さんを追い込んだサイ型を思い出す。
「まず奴の射程外からの狙撃を試みる。もし通用しなければ接近戦に作戦変更。甲羅がある以上、重量武器に頼ることになる。では、メンバーを発表する。」
(さっきまで一緒に訓練場にいて、みんなと同じタイミングで敵の情報を得たのに、作戦を立てるのが早い)
三神隊長はすぐに映像から敵を分析、作戦立案まで素早くやってのけてしまう。
「俺!如月!真一!真二!五十嵐!一ノ瀬!以上!」
「了解」
すぐさま出撃準備に取り掛かる。今回は予備の弾薬を携帯できるようになったから、6発まで使える。
(よし!訓練の成果を発揮する時だ!うまく連携して確実に命中させるぞ)
合同訓練の成果を出そうと息巻く。
出撃準備を終えてロビーで待機した。如月さんがアンチマテリアルライフルを抱えてやってきた。
飛空船に乗り、湖畔へと向かう。
「近接戦に移行した時の作戦を伝える。五十嵐が壁役を務めて真一と真二が同時攻撃、その後一ノ瀬のパイルバンカーで畳み掛けるぞ」
三神隊長から二つ目の作戦内容を説明された。
(できれば狙撃だけで終わって欲しいな)
ついつい楽な方に考えてしまう。
まずは如月さんの狙撃で対象にダメージを与えられるかどうか、山の中腹に陣取り林の中から狙撃することになった。
「こちら三神、如月、準備はいいか?」
『こちら如月、準備OK』
「よし、では狙撃準備・・・撃て!」
三神隊長の合図で如月さんが狙撃を開始した。
ダン!ダン!ダン!
「・・・こちら三神、狙撃やめ!近接戦に作戦変更!」
どうやら如月さんの弾丸はこの距離では威力が足りないようだ。流線型の体のせいで弾が流れて衝撃が逃げてしまうらしい。
「如月、狙撃ポイントを変更して、前衛の援護が可能な地点についてくれ」
『了解』
飛空船から様子を見ていた近接メンバーが降下していく。俺も続いて降下する。
あまり近すぎれば着地した瞬間水流ビームを喰らうため、今回は結構離れた地点に降下した。
「奴のビームを五十嵐が防ぎながら間合いを詰める。これが可能ならそのまま作戦通りいくぞ」
三神隊長が合図して、五十嵐さんが前に出る。その後ろを俺と真一さんと真二くんが一列に並ぶ。
「よし、いくぜ野朗共!」
五十嵐さんが大剣を構えて真っ直ぐに突っ走る。亀型は五十嵐さん目掛けて水流ビームを放った。しかし、五十嵐さんはこれを防ぎながら前進している。
(ビームに耐えられている!これなら作戦通りに進むぞ)
三神隊長の作戦通りに、俺たちは五十嵐さんの後に続いて前進した。
そして、そのまま順調に前進していった。
(よし、もう少しで攻撃の間合いに入る!)
俺はいつでも攻撃に移れる体勢で進んだ。そして、ついに間合いに入った。
「よし、いくぞ真二」
真一さんが合図を出す。二人は同時に五十嵐さんの後ろから飛び出して、左右から攻撃を仕掛けた。
亀型はこれを両腕でそれぞれ受け止める。しかし、攻撃は確実に決まり、真一さんの鎌が左腕に突き刺さり、真二くんのハルバードの斧が右腕に食い込んでいた。
両腕で防いだことで、ボディががら空きになったところをすかさず踏み込んでパイルバンカーを構えた。
(これなら確実に入る!)
亀型のボディにパイルバンカーを直撃させた。
ドゴオォォォォーーーーーンッッッ!!!
直撃はした。腹部に突き刺すことはできたが、表面が硬くて傷は浅かった。俺はすぐに間合いをとって、五十嵐さんの後ろまで下がる。
「許さんぞ、人間!」
亀型は至近距離で真一さんから真二くんに向けて、横一直線にビームを放った。
ズバッッッ!!
ビームが鋭く二人を貫く。武器が両腕に食い込んでいたこともあり、二人は回避が間に合わずに直撃してしまった。
「グハッ!」
「グワァッ!」
二人は武器を離して吹っ飛んだ。五十嵐さんだけは大剣でガードしていたため、これを防げた。そして五十嵐さんも大剣で追い打ちをかける。
「くらいやがれっ!!」
斬馬刀程の大きな剣を横一文字に大きく振る。亀型が両腕でこれを防ぐ。しかし、その質量と勢い、そして五十嵐さんのパワーで、すでに深くまで切り傷を負った両腕は弾け飛んだ。
ブシャッっ!!
しかし、亀型はこれに怯むことなく五十嵐さんにビームを放った。五十嵐さんは咄嗟に大剣を振った慣性に任せて横に飛び退いたが、間一髪間に合わずにビームが右肩をかすめた。
五十嵐さんは間合いをとって体勢を立て直す。真一さんと真二くんは倒れたまま起き上がらない。
「真一さん!真二!」
俺はすぐに立ち上がらない二人が心配になり大声を上げた。
「こちら五十嵐、十和田兄弟がビームに直撃。二人とも倒れたまま。俺は右肩をかすめ、坊主は無事。それと、奴さんの両腕を切り落とすことに成功しました」
五十嵐さんが一度目の接触による戦況を、三神隊長へ報告する。その間も、亀型は激しく水流ビームを放ち続ける。
『了解。作戦継続可能か?』
「可能だが、俺が壁で坊主しか攻撃できない。討伐出来るかどうかはわかりません」
『・・・敵は今、両腕を失っているんだよな?』
「はい」
『ならば作戦継続、一ノ瀬のパイルバンカーで倒しきれ。ここで引いたら立ち上がらない二人が確実にやられる』
(そうだ、二人とも起き上がらないのにここで引いたら終わりだ。必ずこいつを倒して救ってみせる!)
「了解!・・・よし、いくぞ坊主!さっきと同じように俺がこのまま距離を詰める。間合いに入ったら仕掛けろ!」
五十嵐さんは負傷した肩で大剣を支え、ビームを受けながら前進する。この間俺に出来ることはただ待つだけ、仕掛けられる間合いに入るまでひたすら待つ。
(ただ待つことがこんなに苦しいことだなんて!訓練の時とは違う。仲間の命がかかっているから、待つだけのこの時間が長くて苦しい!)
俺は必死に、早く仕掛けたいという気持ちを抑えて、確実に攻撃が決められる距離に迫るまで我慢した。
そして、ついにその間合いに入った。
(くらえ化け物!次で仕留める!)
俺は全力で亀型の懐へと突っ込んだ。しかし、亀型はそれを予測していた。俺が懐まで迫りパイルバンカーを撃ち込む。
その瞬間!
亀型は一気に体を甲羅の中へと仕舞い込み、閉じこもった。俺のパイルバンカーは甲羅の側面に当たったのだ。
そして
亀型は勢いよくその場で回転した。俺のパイルバンカーがそのタイミングで勢いよく作動し、パイルが射出される。
ドゴオォォォォーーーーーンッッッ!!!
しかし、亀型の回転でフレームは勢いよく弾かれてしまい、俺の攻撃は空振りしてしまったのだ。
「なに!?」
俺は予想外の出来事に対応出来ずにいた。
「距離を取れ坊主!」
五十嵐さんが叫んだその時、亀型は回転しながら水流ビームを放った。回転で周りが見えていないのだろう、ビームはあちこちに放たれ乱射していた。
回転に巻き込まれないように俺と五十嵐さんは一旦間合いを取る。そして、五十嵐さんがビームを防ぎ、振り出しへと戻った。
「すみません、いなされてしまいました」
「仕方ねぇ、もう一度やるぞ」
「でも、甲羅に閉じこもって回転してますよ!?」
「確かにそうだな。・・・こちら五十嵐、奴さんに再度仕掛けましたが、殻に閉じこもって回転され、攻撃を防がれてしまいました。今、敵は回転しながらあちこちにビームを撃ってます、どうしますか?」
五十嵐さんは自分ではお手上げとなり、三神隊長に現状報告した。
『あちこち?敵は、こちらがどこにいるのか見えていないのか?』
「はい、おそらく見えていません」
『そうか。ならば、回転の中心である甲羅のど真ん中を一ノ瀬のパイルバンカーで撃ち砕け』
「了解」
(甲羅のど真ん中に当てるってことは、上から攻撃するのか)
空中では踏ん張る必要がなくなるが、反動が返ってきた時に吹っ飛んでしまう。
「五十嵐さん、俺がパイルバンカーの反動で吹っ飛んだ時は、キャッチしてください」
「おし、任せろ!」
今度は甲羅を打ち砕くために、亀型へと間合いを詰めていく。
「坊主!俺の背後からじゃ、事前に相手の位置がわからないだろ。ジャンプする時は一度俺の肩に乗って、敵の位置を確認してから仕掛けろ!その方が確実だ」
「了解!肩、借ります!」
助走をつけてジャンプするため、五十嵐さんの少し後方で待機した。
そして間合いが詰まったようだ。五十嵐さんから合図が出た。
「よし、いいぞ坊主!お前のタイミングで飛べ!」
(この一撃、必ず決める!)
俺は助走をつけて五十嵐さんの肩へと飛び乗り敵を視認した。そして、亀型の甲羅を狙って飛び掛かる。上空からしっかり甲羅の中心目掛けてパイルバンカーを放った。
「砕けろぉぉぉーーーっっ!!!」
ドゴオォォォォーーーーーンッッッ!!!
俺は空中で放ったことで、その反動で体が吹っ飛んだ。




