↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/59

21.一斉駆除作戦



 これで引き返すことはできなくなった。しかし、背後からアリ型に襲われることはなくなり、三人で正面から襲ってくるアリ型に集中することができる。


「一ノ瀬、先頭に立て。そのフレームで奴らの攻撃を防げ、倒すのは俺たちに任せろ」


「了解」


 今度は俺が先頭に立ってアリ型の猛攻を受け止める。そして、真一さんと真二くんが仕留めていく。ものすごい勢いで突っ込んできて耐えることができない。後ろの真一さんと真二くんが支えてくれて、何とか持ちこたえながら二人の反撃で一匹ずつ倒していく。


 少しずつこの道を進んで行き、しばらくして出口に続く光が見えた。


「出口が見えてきたぞ!」


 真一さんが力強く言った。俺たちは出口に繋がっていたことを知って、希望が湧き力も湧いてきた。


「こちら十和田、出口を発見。アリ型が追ってこないように出口の通路を封鎖しました。現在出口までの道を封じるアリ型と交戦中、しばらくしたら脱出できそうです」


 真一さんが出口に続く通路であることを確認し、現状を三神隊長に報告する。


『了解。地上へつながる通路をすべて封じられたか、如月班と山方班で確認頼む』


『了解』


 山方小隊長と如月さんがすぐに行動に移る。


「もう少しだ、踏ん張れ。あの光が指しているところまで出られれば、あとは地上だ。無理に正面から戦う必要はなくなる」


 真一さんが俺と真二くんを鼓舞する。


(あともう少しで地上に出られる。やっと出られるんだ)


 消耗した体から力を振り絞ってアリ型の突撃をこらえる。



 そして、ついに地上に出た。


「おらぁ!」


 真一さんが勢いよく鎌を振り周りのアリ型を一掃する。


「ついに、ついに地上に出られましたね!」


「こちら十和田、地下から脱出完了。地上に出られました」


『了解。まだ戦闘中のようだな。そこにいるアリ型を倒したら、他に出口がないか探してくれ』


「了解」


 三神さんへの報告を終えて、俺たち三人は地上にいるアリ型を討伐していく。地上に出られたことで、あの地下から解放されたと思うと体が軽い。


 押し寄せてくるアリ型をすべて討伐した。そして俺たちは地上に繋がる別の通路があるか探索を開始した。三人で手分けして1時間ほど探索したが、地上に繋がる通路は見つからなかった。


『各員、状況報告を頼む』


 三神隊長が地上に続く別通路がないか確認をする。


『こちら十和田班、地上に繋がる通路は見つかりませんでした』


『こちら山方班、同じく別の通路は見つかってねぇ』


『こちら如月班、同じく通路発見できず』


『了解。では、これから新たな作戦を伝える。アリ型UMAが霧状の可燃性の液体を、地下で大量に放っていることは真一から聞いている。報告を聞いてから2時間近くは経過している。気化するには十分な時間だ。気化して空気中に可燃性ガスが充満しているはず。まずは全員で一か所の通路に集まってくれ』


 指定の通路に三神隊長と桜木さんを除くメンバー全員、総勢10名が集まった。


「こちら山方、全員揃ったぜ」


 三神隊長に全員集合の報告を告げる。


『了解。では、作戦の最終段階だ。一ノ瀬のパイルバンカーの火花で引火させれば、地下で大爆発が発生することになるはず。もし、上手くいかなかった時は出口を開くことになる。地下空間の爆発が不発で終わった時は、全員で地下のアリ型を討伐してくれ。一ノ瀬、通路を封じている壁に向かってパイルバンカーを打ち込め』


「了解」


(本当にガスが充満しているのだろうか?もし充満していなかったら地下にいるアリ型と戦闘になる)


 最悪の場合を想像して不安になるが、それを察してか


「おい、一ノ瀬。準備ができたなら、さっさとやれ。三神の作戦なら大丈夫だろう。うまくいかなくても大丈夫だと判断して作戦実行に移ってるはずだ。」


 山方小隊長が余裕そうな態度で言い放つ。おかげで俺も安心して実行に移れる。これだけの強いメンバーが10人も集まっているのだ。俺は通路を封鎖した岩の壁の前に立った。


 そして、パイルバンカーを構える。


(頼む、ガスが充満していて爆発してくれ!いっけぇ!!)



ドッガァァァァーーーーーンッッッッ!!!



 通路を封じる壁は破壊された。そして壁の向こうの空間が引火して燃える。


(失敗した?)


 一瞬引火しか起きず、地下空間がガスで充満しておらず失敗したと思った。


しかし、遅れてそれはやってきた。






ドゴゴゴゴゴゴゴゴオオオォォォォォッッッッッン!!!!!




 凄まじい地震が発生した。その揺れの大きさから、地下で爆発が発生したことを告げる。



 地震の後地面が隆起し始めた。周りのアスファルトは地割れが起き、木々が揺れ、支えとなる地盤が崩れたことで次々と倒れていく。そして最後に、ものすごい爆風が吹き荒れた。



「どうやらうまくいったようだな。・・・こちら山方、作戦完了。地下施設は爆発した。アリ型UMAの生き残りがいるか確認するか?」


『あぁ、すまないが地下で生き残りがいないか探索してくれ』


 爆発でアリ型を一網打尽にできたか確認を進める。


 崩れた瓦礫や土砂を払い除け、地下への道を開いていく。地下の様相は来た時とまるで変わっていた。


 辺り一面焼け焦げており、アリ型UMAの体は粉々に吹き飛んで、原型をとどめずバラバラになっていた。広間から繋がる道を手分けして探索して行き、アリ型UMAは1匹残らず駆除できたことが確認できた。





「こちら山方、地下の確認を完了した。アリ型の生き残りはなし、これより帰還する」


『了解。各員、ご苦労だった』


 災害に抗うような戦いを終えて帰還する。真一さんがほとんど戦闘を引き受けてくれた。パイルバンカーの使用回数制限は、こういう大勢の敵が相手の時は、厳しい武器だということを痛感した。




 地下でアリ型の親玉との戦闘をして、一番ダメージを負っている十和田班が、飛空船の簡易治療室で治療を受けることになった。


「真一さん、ありがとうございます。真一さんのおかげで何とか乗り切れました。」


 真一さんは少し間を空けてから、こちらを見ずに話す。


「・・・お前も、よくあの地下の戦闘を耐え切った」


(俺も、真一さんに少しは認められたってことで、良いのかな?)


 重いような、どことなく変な感じの沈黙が流れ、立花さんの治療と共にその沈黙は終わりを迎えた。


「はい、応急処置完了!大きな怪我はないけどあちこちボロボロだから、しばらく大人しく過ごすんだよ」


(みんな大きな怪我もなく無事でよかった。また一歩前進できたかな。少しずつだけど、確実に俺も役に立ててる)


 今日の戦果を俺は誇らしく思いながら、ガイアへと帰還した。






 ガイアに到着してスーツを脱ぎ、立花さんに言われた通り自室で大人しくしていたら、突如体が全身筋肉痛のように痛み出した。


(なんだ!?めちゃくちゃ体が痛い!全身の疲労感がヤバい。何が起きてるんだ!?)


 何が起きているのか気になったが、全身痛い上に疲労もすごく、安静にしておくように言われたこともあり、俺はそのままじっと横になり眠りについた。







          翌日







 目が覚めると肉体の痛みと疲労がまだ残っていたが、だいぶマシになった俺は、真二くんの部屋へと向かった。


「おぉ、タクマか。どうした?」


「それが、体がめちゃくちゃ痛くて疲労も半端なくて、何が起きてるのかわかる?」


「まぁ、とりあえず中入れよ」


 そして、真二くんから何が起きているのか話を聞いた。


「これは反動だな。戦闘中はスーツを着てるおかげで、俺たちの体はスーツ内のUMA細胞と繋がり、体が強化されてるのは知ってるだろ?」


「長月さんの戦いの時に見たけど、細胞が体の中に入ってきて繋がってるアレのこと?」


「そう。そのおかげで、本来出せない力や耐えられない衝撃に耐える体になってるけど、それってものすごい筋肉使ってて負荷がすごいんだ。それを可能にしてくれているのがUMA細胞。スーツを脱いだ後はそのUMA細胞との繋がりがなくなるから、耐えていた疲労や痛みだけが後からやってくるんだ。」


「じゃあ、スーツを着て無茶な戦いをするたびに、体にすごい負担をかけてた分後から一気に来るってこと?」


「まぁ、そんな感じだ。スーツ着てる時は何でもなかったことが、スーツを脱いだ後だとオーバーワークになってくるんだ。」


「じゃあ、真二も今筋肉痛みたいになってるの?」


「あぁ、今もめちゃくちゃ痛い。連戦が続いたら、疲労が回復するまではスーツを脱がない方がいいかもな」


「なるほど、じゃあUMA細胞の同化を抑えられる心身の状態なら、スーツ着てる方が良いのか」


「でも、スーツだけで40キロ近くあるから、周りに気をつけろよ」


 キツイ戦いが続いた時や長月さんくらいの重症の時はスーツを脱がないでいた方が安全なようだ。


(そういえば、長月さんは大丈夫なのだろうか?)


「昨日のアリ型の討伐は大変だったな。でも、タクマもかなり活躍してたし、珍しく兄貴も褒めてくれてたな」


 笑顔で真二くんがそう言った。真一さんのあの言葉は、褒めてくれてたのか。


「兄貴不器用だからな、あれでもだいぶ褒めてる方だぜ。そもそも、滅多に他人のこと褒めないし」


(そうだったんだ。俺ちゃんとやれてたんだ。よかった!少しは真一さんに認めてもらえた)


「そうなんだ。アリに流された時、持ち場も守れなくてまだまだだなって思ったけど。頑張ってきた甲斐があったよ!」


 俺はウキウキな気分で真二くんの部屋を後にして自室へと戻った。


(しばらくは安静にして痛みがなくなってきたら、また真二と訓練だ!)




コン、コン


 そんなことを思っていたら誰かが部屋に訪れた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。