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嘘告の功罪 ~「本当は好きだった」は免罪符にならない  作者: 紡里


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気付かない 二人目

短いです。約800字。

 職場の飲み会に誘われた。

 三人以下ならしゃべれるのだけど、四人以上いるとタイミングがわからなくて会話に加われなくなってしまう。

 誘いを断って雰囲気を悪くするほど、飲み会が嫌なわけではない。

 ご飯を食べに行くのだと割り切って、参加することにした。


 酒も進み席を交換する人たちが出る頃、魔術師の男性から手招きされた。

「見てもらいたいものがあるんだ。ちょっといいかな?」

 少し気の弱そうな、線の細い人だった。賑やかに盛り上がるのが苦手な者同士で、何度か隅の方で会話したことがある。

 盛り上がる人たちが放置した食事を摘まみながら、たわいのない話をするのだ。


 店の外に出ると、辺りはすっかり暗くなっていた。

 ポケットから何やら取り出して、手のひらに置いた。「よく見ていてね」とニコリと笑った。

 ヒュ~、パン。

 小さな打ち上げ花火だ。頭の少し上に、頭と同じくらいの大きさの光が咲いた。

「もう一つ」

 今度は違う形の花火だ。


「わぁ、すごいですね。きれい。かわいい」

 単純な言葉しか出てこないが、感動した。


「いつも花火大会は主催側のお手伝いで、ゆっくり見たことがないって言ってたでしょ」

 照れて、頭をかきながらポケットにしまった。


 自分のためだけに作ってくれたとは思わないが、わざわざ見せてくれるのが嬉しい。

「ありがとうございます。あの、花火の音が本物みたいで、よかったです」


「そう言ってくれると、作った甲斐があるよ」

 お酒で赤くなった顔で、その人は目を細めて優しく微笑んだ。


 ここまでは、今日の飲み会に参加して良かったと思えた。


「あの……僕と付き合いませんか?」

 と言われた。


 すうっと冷めた。

 酔ってからかうなんて、ひどい。いい人だと思っていたのに、本当は意地悪な人なのね。

 ――そんな言葉が湧いてきた。


「あの……そろそろ、戻りませんか」

 私は聞こえなかったふりをして、そう提案した。

 酔っ払いなんて大嫌いだわ。

 真面目な告白だと思えないので、返事もしなかった。

 ――だって、好きとか言われてないし。


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