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嘘告の功罪 ~「本当は好きだった」は免罪符にならない  作者: 紡里
第三章 新しい場所

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リハビリ

 王都より北の少し涼しい場所で、私は新しい生活を始めた。

 女子寮に入り、二週間は療養休暇。その後一か月ほどは午後だけの出勤で、体を慣らしていく。

 そんな優雅な生活を見て、不愉快になるなと言う方が無理だろう。


 食堂で夕食を取っているときのこと。

 背中を押されて、私はパンを落としてしまった。

「あら、ごめんなさい。ろくに働かなくてもお腹は空くのかしら。どんなコネを持っていたら、こんな好待遇で異動できるのか教えてよ」

「ずいぶんと優雅な生活よね。心にもゆとりがあるでしょうから、許してくれるでしょ?」

 刺々しい言葉をぶつけられた。だが、とても表面的で、幼稚だと思う。もっと心をえぐるような言葉でなければ、刺さらない。

 彼女たちの顔をちらりと見たけれど、特に覚える必要もないかとテーブルに向き直った。残りのスープを食べて、部屋に戻った方がよさそうだ。


「なんでこんな性格ブスがいいのよ。男に媚びて、やな感じ」

 舌打ちが聞こえた。

「幼なじみだって? そんなの勝てないじゃない。ズルいよね」

 まだ私のことを話題にしているのだろうか。しかも、また「幼なじみ」? 私のことだとしたら、いったい何人、自称「幼なじみ」がいるのだろう? 真相は、武芸大会で何度か会っただけとか、そんな程度の話じゃないかな。

 思わずため息を吐いてしまい、それが勘に障ったらしい。


「何? あたしたちのこと馬鹿にしてるの?」

 肩をぐいっと引っ張られて、スプーンが手から落ちた。カシャンと音がして、注目を集めてしまう。

「申し訳ないけれど、何を言われているのかわかりません」

 肩をぎゅっと掴まれているので、その親指を握って、本来曲がらない方に引っ張ってやった。

「痛てててて。何すんのよ」

「私も痛いから、放してほしかっただけです」

 とっさに体が動いた。幼い頃に習った護身術が、また体に染みついているのか。そんなことをぼんやりと考えた。


 いや、ぼんやりしていてはいけない。彼女たちに釘を刺さないと。

「聞こえてきたお話をまとめると、あなたたちが好きな男性が、私に好意を持っているのでしょうか? それが気に入らなくて私に嫌がらせをするというのは、おかしいですよね」

 メンタルを整えるための薬で頭の働きがゆっくりなので、言葉をオブラートに包めない。きっと、今、ストレートに言い過ぎている。


「ちょ、ひどくない?」

「ぶつかってきたり、因縁を付けたりする方がひどいと思います。それに、幼なじみに意地悪をしたら、言いつけられると思わないんですか? お相手からの評価は、だだ下がりですよ」

 心に余裕がなくて微笑めない。私は無表情だと怖いらしい。言われている方は怖くないのかな。まるで他人事のようにそう思う。

 薬を飲むと辛い気持ちが軽くなるのだけど、世間との間に薄い布がかかっているみたいになる。


「ぷっ」

「そのとおりだね。墓穴掘ってる」

 そんな言葉が周囲から聞こえた。

 ああ、やっぱり言い過ぎた? 今まで黙ってやり過ごしてきたから、言ってしまうと加減がわからない。


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― 新着の感想 ―
黙ってやられてるより適度な反撃する方が周りの反応良いのね。 いじめてきた相手嫌われてたのかも?
 マイナートランキライザーって字面はカッコいいよね字面は。  お薬飲まなきゃいけないレベルの人居るんだから職場内で周知とかサポートとか⋯⋯あかんまた現代基準やしここ異世界や。
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