第87話 破滅の秘密 後編
俺達が突き進む未来が絶望
王女はそう語った。その上で彼女は俺にこう提案した。
「私がやろうとしている事は、あくまで未来を掴むためのもの。その為には貴女の力が必要なんですよ。この本を真の預言書とするために」
「真の預言書……」
「貴女がしようとしていることは分かっています。しかしそれが本当に世界の未来の為になるのでしょうか」
「そんなの貴女には関係ない」
「私個人には関係ないかもしれません。それなら、世界はどうなるのでしょうか。果たして世界は受け入れてくれるのでしょうか」
「世界……」
「貴女の望みが果たして世界を救う事に繋がるとは、限らないという事ですよ」
「ならこの世界には何が正しいというの?」
「それは先ほども申しましたよ」
「それが真の預言書……」
この王女が言っていることは決して間違っていない。だけど間違っていないからってそれがすべて正しいとは限らない。俺達がやろうとしている事が、世界に背いているとてして貫くって約束した。
「言っていることは正しいかもしれない。だけど、私達には私達の意思がある」
「ここまで言っても分からないとは……。呆れを通り越して流石と言うべきでしょうか。でも貴女には選択肢などないんですよ。貴女の未来は決まっているのですから、ユウ」
そう言いながら王女は何故か拘束を解くと、俺の体を抱きしめてきた。
「は、離して!」
「ええ、離してあげますよ。ただし」
王女は俺の体をあの巨大な本の中に投げ飛ばす。
「預言書の中にですけどね」
投げ飛ばされた俺の体は、巨大な本の中に入り込んでしまう。
「こ、これは」
「今から数時間後、この国には貴女の仲間がやってきます。それまでに果たして貴女の体は持ってくれるでしょか」
「ユニ達がここに……」
「二時間です。貴女の体がすべて預言書に飲み込まれるまで」
王女は部屋から出ていく。残されているのは本の中に体が半分飲み込まれた状態の俺。残り二時間で俺の体は完全に本になってしまう。そう考えると恐怖で体が震える。
でもユニ達が今この場所に来ていると分かった以上、希望は捨てない。
(そうだ、何を言われたって俺は……)
ユニ達を信じている。
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スービニアを出発してしばらく、私達は目的地であるユドリシア到着目前で、最終確認を行っていた。
「向こうはもしかしたら私達に気付いている可能性がある。それも含めてここからは部隊を二つに分けて動く」
「陽動と潜入ですよね」
「そう。陽動はスービニアの人たちに任せて、私達はその陰でユウを救いに向かう」
「龍ちゃんがどこにいるのかは分かっているの?」
「大方予想はついている。そして私達はそこに急いで向かわなければならない」
「それは何かが起きるからでしょうか」
「そう。そしてそれは、絶対に起きてはいけない。ユウにとっても、私達にとっても絶対に起きてはいけないこと」
ユドリシアの王女はユウが強い意志を貫けば、強硬手段に出てくるはず。ユウと戦うことは避けられても、それはユウを失う事に繋がる。
だから急がなければいけない。
「ねえ、急ぐのはは構わないんだけど、その前に一つ聞かせてユニ」
「どうしたのサシャル」
「ユニはどうして分かったの? 王女が動きを変えたことを」
「特に理由はない」
「特に理由はないなら、どうしそこまで急ごうとするの? あの預言書にはそこまで詳しくは記されていなかったはず」
「私がそう予感しただけ」
「それはちょっと無理があるんじゃないの? 疑うつもりはないんだけど、ユニ何か隠し事をしていない」
「別にしていない」
そう、今の私には隠し事をする理由もない。例えどんなに疑われたとしても、私は貫き通すだけ。
「とにかく陽動隊も動き出したし、私達も急ごう」
「う、うん」
ユドリシアへの潜入ルートは直接城へと繋がっている王国の地下だ。陽動隊が相手を引き付けているうちに確実に侵入して、確実に救出しなければならない。
(ユウ、今貴方がどんな状況におかれているかは分かっている。だから今は少しだけ我慢して。必ず助けに行くから)
間もなく地下への入口にたどり着く。あとはあそこを駆け抜けて......。
「見つけましたよ、我らの反逆者」
しかしその直前で、私たちの歩みを止めるものが現れた。私達囲むように現れたのは、フリスと同じ妖精族。
「どうしてここに」
「貴女を追ってきたからですよ。元王女様」
「元って、私はまだ」
「残念ながら貴女はもう妖精女王ではありません。だから私は反逆者と呼ばせてもらいます」
「反逆者......私が......」
動揺するフリス。彼女が妖精女王なんは知っている。ただ、どういう経緯でこうして現れたのかは知らない。ユウは逃げるように現れたと言っていたけど、それとこれは関係しているのだろうか。
「貴女は先代をその手にかけて、女王の地位を奪った。偽りの女王などこの国には必要ありません」
「それは違う! 貴女達は勘違いをしている」
「問答無用です。貴女達はこの先には向かわせません!」
「どうして...どうしてこんな事に......」




