第84話 女子会再び
話は少しだけ戻って、スービニアへと帰ってきた翌日の事。ユドリシアへ攻撃を仕掛ける作戦を練っている中で、サシャルが私にこんな提案をしてきた。
「女子会?」
「そう。ユウが来た頃に一度やったけど、あれからしてないかなって思って」
「この状況で?」
「この状況だからこそ、だと思う。特にユニには聞きたい事があるし」
「答えれる保証はない」
「無くても、皆聞きたいと思うよ」
「ありがた迷惑なんだけど」
何を聞きたがっているかなんて言わなくても分かるし、それについてはまだ私は悩んでいる段階。答えられるわけもなかった。
(まあ、でも)
それを除けば別に皆でやるのは悪くはないかもしれない。切羽詰まりすぎると、モチベーションも下がってしまうだろうし、私自身も昨日奏に無理しない方がいいと言われてから、適度に休みを取るようにはしていた。
「その事について私は何も答えられないけど、女子会を開くのは悪くはない」
「なら今すぐ皆を集めて、色々準備をしたら開こう!」
「うん」
こうして私達はユドリシアとの戦いを前に、今いるメンバーで女子会を開く事になったわけだけど、
「それでユニは本当に龍ちゃんのことが好きなんですか?」
「昨日も言ったけど、今の気持ちは言葉にできない」
「でもどう考えてもそれとしか考えられないんだけどなぁ。どうして正直になれないの?」
「どうしても何も、分からないだけであって」
「なら私は告白してみようかな。龍ちゃんの今の気持ちを聞きたいし」
「え? それは」
「嫌なの?」
「ち、違う、そうじゃなくて……」
案の定というべきか、行われたの女子会というよりは私への尋問という言葉の方があっていた。
(これじゃあ息抜きどころか……)
もっと精神的に疲れてしまう気がする。
■□■□■□
そんな私とは裏腹に、ユウに対しての話は続いていく。
「でもさ、ユウが誰を好きなのかって、イマイチはっきりしてないよね」
「そういえばそうですね。まだ生きていた頃も、結局龍ちゃんの気持ちを私は理解できませんでしたし」
「やっぱり男の人ってなんだか難しい。特にユウは何を考えているか分からない時がある」
「あー、それは分かる。たまに変な事考えていたりするし」
「そういえばフリスは人の心を読めるのよね。だったら、誰が好きなのかとか分かるんじゃないの」
「それが全然分からないの。その他は何を考えているのか分かるんだけど」
「じゃあ誰が好きとかは特にないとか?」
「それは……なんか困る」
ラーヤの言葉に対して、私はつい言葉を滑らしてしまう。こんな事私は考えた事なかったのに、もう自分がおかしくなりすぎて頭が痛い。
「やっぱり困りますよね、特にユニは」
「ち、違う。今のは、私が言ったんじゃなくて」
「やっぱり分かりやすい。龍ちゃんも罪な男だよ、こんな子をここまでさせて」
「だ、だから違う……」
言葉とは裏腹に頬が上気しているのを感じる。同時に心臓の鼓動も早まり、私が私でなくなってきている。
「でもそれよりも、まずは私達で何としてもユウを助けないと。その辺りの勝算はあるの? ユウ」
それに対してサシャルが助け舟を出すように別の話題を出してくれる。
「勝算は今のとこはある。なければ、ユウを助けることはできない」
「龍ちゃんは今どうなっているんですか?」
「恐らく王女に精神操作をされている可能性がある。言うことを聞かないなら、無理矢理でも力を貸させるために」
「それってつまり」
「洗脳」
私の言葉に皆が固まる。私としてもこんな言葉を使いたくなかったのだけど、最も可能性が高い事として言葉にするのならこれくらいしか浮かばなかった。
「それじゃあ本当にユウは私達の敵に」
「戦わないといけないの?」
「それも全てはユウ自身にかかっている。私もそれに負けない事を信じてはいるけど、この世界の洗脳は簡単には破ることはできない」
「そんな……」
「もしそうなってしまった場合、私達がユウの洗脳を解かなければならない。そのために一番力が必要なのは奏とフリスの二人」
「私達ですか?」
「一番親しいのは二人だけだから。言葉でも何でもいい、もしユウの身に何かあったら、二人が救い出してあげてほしい。私達はそれをサポートするから」
私達のどんな言葉よりも、彼女の心に届く可能性が高いのは二人の言葉。その点に関しては、悔しいけど私に叶うはず道理がなかった。
(幼馴染……私なんかよりももっともっと深い関係)
そんな二人が少しだけ私は羨ましい。
「でも洗脳系の魔法を解くのって、簡単じゃないんじゃないの? そもそもこの世界では禁止されている力だし」
「それでも二人の言葉の力と、ユウの精神の強さを信じる以外に道はない。その代わりに私達は、ユドリシア王女と戦う」
それが今回の作戦の中で、最も重要な部分で、最も難しい箇所。けれどそれを乗り越えれば、きっと私の作戦はうまくいくはず。
「ユドリシア王国の王女、サラスティアと同盟国のはずの国の王女、いったいどんな事をしてくるのか……」
「同盟国、そういえばそうなんですよね。それなのにどうしてこんな事を」
「それはきっと」
私は少しだけユドリシアの事を調べた。その中で得られたのは、サラスティアとユドリシアの同盟の裏にある私達預言書を巡る深い因縁。
「二つの国、ううん、スービニアも含めて三つの国の因縁があるからだと思う」




