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幼女転生から始める異世界解読術  作者: りょう
第9章転生は二人だけじゃない
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第78話 歩みたかった未来、今ここに

 フリス、いや、美冬の言葉は最もだった。彼女からしてみれば、俺達には生きていてほしかったのだろう。だけど、


「苦しんでいたならどうして相談してくれなかった。どうしてもっと頼ってくれなかったの」


「それは……」


「辛かったなら一言でも言ってくれればよかった。そうすれば私達だって支えてあげられた、それなのに」


「……あの頃色々と噂が立っていたでしょ? だから私は二人には迷惑をかけたくなくて、それで我慢するしかなかったのよ。

 でもそれが自分を苦しめて、ついには耐えられなくなった。だから私は、二人を守る為に」


「私達を……守る?」


 当時俺達三人は、幼馴染という関係もあってか、色々周りから言われていたのは鮮明に覚えている。特に色恋沙汰の方の噂は、本当に耳にタコができるくらい多かった。

 けどそれに拍車をかけてしまっまのが、美冬自身の事情だ。これは俺達も知らなかったのだが、美冬の両親がとある事情を抱えており、それによって彼女は酷い仕打ちを受けたという。直接の原因がそれなのかは定かではないが、今の言葉もそこから来ていたと思う。


「苦しむのは私だけでよかった。二人には何も知らないで、生きていてもらえればよかった。私がいなければ二人は……」


 崩れ落ちるフリス。俺はそれをしっかりと受け止めててあげる。、こちらも小さな体なので、少しぐらつくがそこはしっかりと抱きとめてあげた。


「だからって死ぬ事なんてなかったよ。私も奏もそれを望んでいなかったんだから」


「なら何を望んで」


「三人でずっと一緒、それが私達の約束でしょ? 美冬」


「え?」


 何の前触れもなく突然会話に割り込んでくる声。その優しさは先程の狂気とはまるで違う、とても優しくていたと聞いていた声。


(やっぱり付いて来ていたか)


 予想して足を止めたのは正解だったかもしれない。


「かなちゃん、どうして?」


「折角三人が揃ったからね。姿は変わってしまったけど、ちゃんと話をしよう」


「話す事なんてないよ……。私は今全部話したから」


「なら一緒に行こうか」


「え?」


「龍ちゃん、ううん、ユウちゃんはこれから会うんでしょ? アジールちゃんに」


「え、あ、うん。今度こそ協力を得ようと思っているから」


「なら私も一緒に行く。いいでしょ?」


「どうして突然」


「言ったでしょ? 三人でずっと一緒だって」


「い、言ったけど」


 それを今からするのか? いや、それが一番いい選択なのかもしれないが、俺は少しだけ彼女に対して不信感を抱いている。

 それはユニも同じだったようで、


「ユウを殺しておいて、よく付いてくる気になれるね」


「それに関しては、何度謝っても許されることじゃない事は分かっているわよ。でももう事情は変わった」


「事情?」


「それはアジールちゃんに会ってから話す。ほら、だから行こう?」


 と言って勝手に俺を引っ張りながら歩き出す奏。何とも怪しい行動にしか思えないが、奏が決して悪い人ではないのは俺も美冬も理解しているので、ここは大人しく付いて行くことに。


「ユウ、大丈夫?」


「心配な気持ちは私も分かるけど、奏も悪い人じゃないし、それに」


「それに?」


「ずっと三人で一緒にいようって約束したのは本当だから」


 ■□■□■□

 色々あって俺達は四人でノアへと再びやって来た。今回も真っ直ぐに城へと向かったのだが、中へ入ると前回みたいな出迎えはなかった。


「誰もいない」


「アジールちゃんはどこへ行ったのでしょうか」


「あれ、いつもの口調に戻った」


「あ、気づいていましたか? 私があえてそうしていた事に」


「あえてなのかは分からないけど、それが奏らしくていいよ」


「二人とも呑気に話してないで、アジールを探すよ」


 出迎えがなければ探すまでなので、俺達はここで一度二手に分かれて探す事に。で、一緒になったのは……。


「本当にあの二人とは知り合いなんだ」


「知り合いというか、幼馴染だよ」


 奏でも美冬でもなくユニだった。本当はどちらかと話したかったのだけど、二人は二人で話したいだろうしここは我慢しよう。


「まさかこんな事になるなんて思ってなかった。ユドリシアに向かってたらこうはならなかったのかな」


「多分。でも預言されてなかったからこそ、奇跡は起きたと思う」


「奇跡、か」


 俺がこうして生き返ったのも、奏と美冬と再会したのも全てが奇跡だったのなら、それはある意味では納得できる。でも逆に言えば、奏に殺されなければ、フリスが美冬だとは気づかなかったかもしれない。


(やっぱり可能性は沢山あるんだな、人生って)


 それが決めつけられている預言書は、やはりこの世界には必要ないのかもしれない。この世界に本当に必要なのは、今起きたような無限の可能性を作れる世界だ。


「無限の可能性……確かに必要。でもそれだけではこの世界は作れない」


「他に何かあるの?」


「例えば……」


 となにか言いかけたユニは、突然足を止める。何かを気づいた彼女に対して、俺も何かを感じ取った。


「私達の他に誰かいる。しかも複数」

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