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幼女転生から始める異世界解読術  作者: りょう
第9章転生は二人だけじゃない
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第77話 三つの顔を持つ妖精

 その絶望はあまりにも大きかった。


 失う事がないと思っていた時間、そして場所。それを一度全て失った時、俺は生きる理由も何もかも全てを捨てた。


「龍ちゃん、馬鹿なことを考えちゃダメだよ! 私達はあの子の分まで生きないと」


「その生きる事に俺は意味を見出せないんだよ」


「ど、どうしてそこまで……」


「大切な存在だったから。俺にとっては心の拠り所だったから」


「っ! じゃあ私は違うの? 私は龍ちゃんにとって何なの?」


「奏も一緒だよ。俺にとっては二人ともとても大切な」


「一緒車なんかじゃない! 龍ちゃんはいつもいつも、美冬の事ばかり考えていて、私の事を見てくれなかった」


「違うんだ奏、俺は奏の事を……」


「もう知らない!」


 そして奏も俺の元から離れて、俺はいよいよ一人になってしまった。俺は彼女を傷つけるつもりなんてなかったのに、美冬を失ったショックから、彼女から目をそらした。

 それが俺の弱った心に追い打ちをかけて……。


「思い……出した。俺は……大切な人を失って、それで……」


「そうです。自暴自棄になってあなたはその命をいとも簡単に絶ったんですよ」


「じゃあ奏も俺と同じで」


「彼女も相当苦しんでいました。短期間で二人も幼馴染を失ったのですから」


「何もかも俺のせいなんだな……。美冬も奏も……」


「そしてあなたは二人を今も縛り付けているんです。姿、形が変わっても」


「そうか、二人を……え?」


 二人? 奏はともかくとして、美冬は違うのではないか?


「もしかしてまだお気づきではなかったのですか? 転生したのは二人だけではありませんよ?」


「まさか……美冬もなのか?」


「はい。そしてあなたは既に出会っています。まあ、本人は名乗り出してはいませんが」


「もう会っている……だと」


 記憶を辿るがそんな気配がある人物なんて一人もいない。そもそもおかしいのは、俺はともかくとして奏や美冬までもがああして異世界にいる事だ。

 死んでしまったとはいえ、こんな事望まなければ転移なんてすることもない。


「なあどうして二人は」


「そろそろ時間ですね」


「時間?」


「これであなたと会うのは最後になるでしょう。その命、今度こそは大切にしてください」


「もう転生するのか? まだ話したい事が」


「いえ、今度は転生するのではなく」


 目の前から神様さが姿を消す。そして同時に俺の視界は光に包まれ……。


「……え?」


「ユウ……? 嘘……」


『私のサービスで生き返らせてあげます。これが本当に最後ですからね』


 奏達の目の前で目を覚ました。


 ■□■□■□

「よかった! よかったユウ!」


 俺が再び目を覚ました事に一番最初に喜んだのはフリスだった。


「どうしてまた……。龍ちゃん……」


「まさか生き返るなんて……。これもまた、誰かの力が」


 そして奏、ユニがそれぞれの反応を示す。俺はというと、まさかまた生き返るだなんて思ってもいなかったので、しばらく呆然とする。

 特にあの神様の言葉がずっと気になっていた事もあり、すぐに言葉が出てこない。


(もう既に会っているって言っていたが、本当に美冬はこの世界にいるのか? それならどうして)


「どうしたのユウ。さっきから黙って」


「あ、ごめん。色々ありすぎて困惑してた」


 俺はあえて奏の方に目を向ける。事情は分からないが、奏は俺の命を奪った。一体何が彼女をそこまで突き動かしたのかは分からないが、少なからずそれは俺にある事は理解している。

 だがそんな俺を無視して、奏は何も言わずにその場から立ち去ろうとする。


「待って奏。話がしたい」


「私は話すことなんてない」


「こっちは聞く権利があると思う。一度殺されたんだから」


「……」


 俺は彼女に呼びかけるが、彼女は結局どこかへ去ってしまった。残された俺達は、ここから近くにある古の都へと向かう事にした。


「フリス、聞きたい事がある」


 その道中、そう口を開いたのはユニだった。


「何?」


「奏は言っていた。あなたがミフユという人物であるという事を。それはどういう意味?」


「え?」


 そして次の彼女の言葉に反応したのは俺。まさかユニからその名前が出てくるなんて思ってもいなかった。


「ミフユ? ユニ、どうしてその名前を」


「奏がその名前をフリスに向けて言っていた。だから私は聞いただけ」


「フリス、どういう事なの?」


「どういう事? それは私の方が聞きたいよ。私はそんな名前じゃない。ましてや妖精女王でもない」


 フリスは淡々と答える。けど、その言葉の端々が微かに震えていた。


「フリス、君が本当に美冬ならば教えて。どうして美冬まで転生したの?」


「だから違うって言っているでしょ!」


 フリスはその小さな手で俺に掴みかかってくる。俺は彼女を優しく受け止めながらも、ちゃんとした言葉で彼女に尋ねる。


「私隠し事は嫌だよ。ちゃんと話ができるなら、フリスと、美冬と、ちゃんと話がしたい」


「だから私は関係ないって」


「そしてちゃんと謝りたい。あの時の事を」


「っ! なら、どうしてあなたまで死んじゃったの。二人にはちゃんと生きてほしかったのに、どうして!?」


「フリス?」


「どうして自分の命を捨てるの? ねえ、どうしてよ」


 フリス、いや、美冬は矢継ぎ早に言葉を並べる。それに対して俺は、夏目龍之介は……。


「それはお前も一緒だろ! 美冬」


 久しぶりに素の自分の声を彼女にぶつけた。


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