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幼女転生から始める異世界解読術  作者: りょう
第8章光ある未来は少女達を闇へと落とす
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第74話 喪失感への恐怖

 この先の動向について、気になる事が多かったものの、その時どうするかは一度保留となった。


「でもどうして私達が王女を殺すなんて事に」


「それが世界の破滅をもたらす一つという事。私達はそれを何としてでも避けなければならない」


「そうだね。起こる事が分かってしまえば、対策は取れるはず。その辺はユドリシアに向かいながら考えよう」


 俺は明日の準備をするためにユニの元から去る。そして……。


(どうして奏がフリスを襲撃したんだ)


 俺は先程得た情報の中から、どうしても見過ごせない内容を発見した。それはフリスを襲撃した犯人についてだ。

 その正体は、預言書の方じゃない奏の方だったらしく、そのあり得ない事実に俺はまだ戸惑う事しかできない。


(これが本当に起きた事ならば、フリスに確認したいところだが……)


 あの性格の彼女が答えてくれるわけがない。そして恐らく襲撃事件について調べない方がいいと彼女が言っていた本当の理由はそこにあるのだろう。


(ならどうする。真意を確かめるためには奏本人に聞くしかないが……)


 彼女に会えるとしたら、あの古の都が一番確率が高い。フリスに聞けないなら、その方法を取るまでだが、


(明日にはユドリシアへと出発する。なら、いつ行けるんだ)


 ただでさえ危険な未来を予知されているのに、俺が再びあの場所へ向かえる可能性は非常に低い。


(でもここでユドリシアへ向かわずに、あの場所へ向かうとなればどうなる)


 もしかしたら最悪な未来を回避できるかもしれない。


「よし」


 俺は誰も聞こえないように一人で呟いた。ユニは言っていた。俺には未来を変えられる可能性が高いと。なら、預言されている行動と、別の動きをして変えてみればいい。たとえそれが、一人で動く事になったとしても。


(確かめなければ。フリスの事も。そして奏の事も)


 そして彼女に再び会ったら、今度は正直に話そう。今ユウの中にいるのは夏目龍之介だって。


 お前の大切な幼馴染だって。


 そう考えているうちに、俺は気がつけば体を動かしていた。出発するのは早い方がいい。ユニ達には申し訳ないけど、今の俺には別にやる事が出来てしまった。だから自分の身勝手な行動を……。


 ■□■□■□

 許してほしい


 ユウが残した書き置きにはそう書かれていた。私がそれに気づいたのは、出発当日の朝。フリスはちゃんと時間通りにやってきたものの、ユウだけが姿を現さずに、彼女が寝泊まりしている部屋に行くとそれが残されていた。


「え? じゃあユウは勝手に一人でどこかへ行ったの?」


「うん」


 私は書き置きをフリスに渡すと共に、説明をする。どこに向かったかは明記されていないけど、彼がどこへ向かったのかは大方検討がついていた。


(昨日のあの反応、やっぱり……)


 預言書の内容を書き出した時、彼女は一瞬だけ何か別の事に反応していた。そしてそこから考えられる一つの可能性は、


「どうするのユニ。私達だけでも向かう?」


「とりあえずはそうする。ユウがどこへ向かったのかは大体分かるから」


「分かるの? ここには具体的なことは書いてないのに」


「フリス、ユウが二冊目の預言書の内容を書き出しているのは知っているよね」


「うん。昨日私もそれを見たし」


「なら分かると思う。ユウは知らない事を知ってしまった」


「それって、もしかして……私の?」


「そう」


 私の推測が正しければ、ユウが見たのは以前フリスが襲撃された際の犯人について。あの時フリスは誤魔化して隠し通したけど、それが預言されていたとなれば隠し通せない。

 私達預言書は世界の全てだと言われていた通り、全てを見透かしている。奇しくも今回それが仇となってしまった。


「じゃあ今すぐ止めにいかないと! ユウが危ない!」


「どうして?」


「奏と言う人は、ユウの命を奪おうとしているの!だからもし、本人の目の前で名乗ったりなんかしたら」


「もしかしてそれが隠していた本当の理由?」


「そう、だから急がないと!」


 フリスが言っている事が確かならば私達も今すぐ向かう必要がある。そうすれば預言されていたユドリシア王国王女の殺人事件が起きなくなる。恐らくユウの狙いはそこにもあったのだと思う。

 けどもしこの後私達が後を追った事によって、また別の事件が起きてしまったらどうなる。預言も何もされていない事件が。


(もう私が未来を知るすべはない。ならどうすればいい。どちらに動くのが私は正しい)


「どうしたのユニ? 早く行かないと」


「分からない」


「え?」


「何が正しいの?私達はどちらを選べばいいの?」


「ユニ?」


 分からない


 怖い


 どうして今までこんな事感じた事なかったのに、こんなに怖くなるの? 未来が見えない事が。当たり前な事がなくなったら、どうしてこんなにも怖いの?


 体が恐怖で震える。


 今まで感じたことのない喪失感への恐怖。


「しっかりしてよ! ユニ!」


「フリス?」


「未来が見えないのが怖い? 何をふざけた事を言っているの? もうユニは預言書じゃないんでしょ? だったら、そんな事を忘れて、今自分がしたい事を選びなよ!」


「私が今一番したい事?」


 それは……


 ユドリシアへ向かう事ではない


 命の危機に立たされているかもしれない彼女、彼を救う事。それが今の私には大切な事。


「ユウを助けに行こう」


「最初からそう言っているでしょ? 私は道が分からないんだから案内してよ」


「うん。ありがとうフリス」


 おかげで少しだけ不安が消えた。

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