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幼女転生から始める異世界解読術  作者: りょう
第8章光ある未来は少女達を闇へと落とす
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第71話 存在証明

 カナデに突きつけられた課題は、簡単なように見えてとても難しい事だった。何故ならいくら本を読んで、調べたところで未来の事が分かるはずもないのだ。


(薄っぺらい内容だったら、絶対に納得するわけもないし、困ったな……)


 でもそれを証明する事は、この先の事にも大変関わっているのもまた事実だ。この先この問題は俺一人で済む話ではなくなっていく。

 これから俺達は個人の相手ではなく、世界を相手にしていかなければならない。これから俺がやる事は世界を大きく変える事。


「こんな所にいたんだね、ユウ」


 スービニアにある書物庫でうーんと唸っていると、フリスがやって来た。


「どうしてフリスが?」


「来ちゃ駄目だった? 明後日出発なのにこんな所に引きこもってたら、心配だってするよ」


「心配させたなら謝るよ。でもギリギリまでここで読み漁るつもりだよ」


「そんなに難しい話なの? 未来の話を証明するのって」


「難しくなかったら、こんなに悩んでない」


 俺は本を読みながら会話を続ける。するとフリスは何もためらわずに俺から本を取り上げた。


「ちょっと、何を」


「本ばかり読むから難しく考えちゃうんじゃないの? ユウは」


「でも本を読まないと、何かを見つけられないし」


「本が全てじゃないんじゃないの? それに、こんな本を読んでも、未来の事なんて載っていないんでしょ?」


「相変わらず人の心を読むんだね」


「好きで読んでいる訳じゃないんだけど」


 仕方がないので俺は一旦休憩を取る事にする。フリスはお茶と茶菓子を持ってきてくれていて、俺はそれを頂きながら改めてフリスとカナダの事を話した。


「誰もが安心して進む事ができる未来の証明、かぁ。ユニ達は私達とはやっぱり違うんだね」


「人の形はしているけど、元は一冊の本だからね。でもカナデが言っていることは間違っていないから、余計に悩んでいるの」


「存在意義の話だっけ。でも確かに、今ユウがやろうとしている事は、預言者を捨てるようなものだもんね」


「ようなじゃなくて、その通りだからね」


 アンジュールもカナデも自分達が世界から必要とされない事を嫌っていた。でもこの世界が明るい未来を進むためには、その選択を選ぶしかないのだ。


「ユウはその意思を貫きたいんだよね」


「うん」


「なら、どんな手でも使ってでも協力を得るしかないんじゃないの? 納得してもらえないなら、納得するまで説明でもなんでもする事が一番なんじゃないかな。こんなところで本を読んで答えを探すより」


「やっぱりそうなるのかな」


「だってユウはこの先、沢山の人達を相手に意思を貫かないといけないんだよ? その度にこんな所で引きこもるの?」


「……」


 確かにフリスの言う通りだ。動かなければ何の意味もない。時間がないなら時間がないなりに、足掻くところまで足掻いて、それでも駄目だったら、納得してもらえるまで俺は……。


(アンジュールの時も、それが足りなかったんだよな俺は)


 ユニが言っていた通りだ。俺には言葉が足りなさすぎたんだ。


「ねえフリス、一つ頼まれてくれないかな」


「何を?」


「カナデに納得してもらうために、とても大切な事」


 ■□■□■□

 その日の夜、

 俺はカナデとユニ、


「どうしたのユウ。こんな夜に話があるなんて」


「私そろそろ寝たかったんだけど」


「ごめん、でも今から話すのはとても大切な事だから」


 そしてラーヤとサシャルをを一箇所に集めた。フリスは別の準備で席を外してもらっている。


「ユウ、用意できたの? 納得ができる説明」


「うん。今私ができる事を皆には聞いてもらいたかったから、こうして集まってもらったの」


「ふーん、一日でそんなの準備できるんだ。まあ、信じられないけど」


「そう思ってくれていても構わないよ。簡単に納得してもらえるとは思ってないから」


 あれからそんなに時間は経っていないから、ちゃんとした内容を用意できていないのは確かだ。けど、これから俺がする事は、内容が問題ではない。


「説明って何のこと? ユウは何かするの?」


 何も知らされていないラーヤが質問をしてくる。その質問が丁度いいキッカケになったので、俺はその質問に答えるように全てを始めた。


「するよ。これから」


「何をするの?」


「世界を変える」


「え? もう一度言って」


「私はこれから世界を変える。ユニやカナデ達預言書の力を借りて」


 俺はまだちゃんと言っていなかった二人に向けて宣言する。


「勝手に私を仲間に入れないでよ。協力は絶対にしないって言ったでしょ」


「でも納得いく証明をしたら、協力してくれるんでしょ?」


「ええ。でもどうせ、私が納得いく証明なんてできないでしょうけ」


「勘違いしないでほしいけど、私がこれからカナデに説明はしないよ」


「何を言っているの? なら、時間の無駄じゃない」


「未来の証明はしない。けど、私はカナデに言葉を伝える」


「言葉を伝える?」


「フリス」


「うん」


 俺はフリスに声をかける。すると彼女は、何枚かの紙を持ってきて、それをカナデに渡す。


「これは?」


「ちょっと卑怯な手かもしれないけど、スービニアの人達の心の声を聞いたの。ちゃんと質問をした上で。これはそれをまとめたもの。読んでみて」


 カナデは紙に目を通す。そしてしばらくした後、彼女は震えだした。


「ど、どうしてこんな事が言えるのよ」


「まだ世界中の人が同じ意見というわけではないけど、少なくともスービニアの人達はそう思っているって事。だからこの世界から預言書が忘れられる事は絶対にないし、きっと存在意義は必ずどこかにあると思う」


 俺達がスービニアの人達に聞いた事はたった一つ。


 この世界から預言書がなくなったら、あなたはどう思うのか?


 そしてその答えがこの紙には記されていた。フリスが聞いた心の声と一緒に。



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