【04】 熱気あふれるレース場
丹沢「いゃー、初めて来たけれども素晴らしい所だねぇ」
由利「えーっ、初めてなんだ」
丹沢「それが何か悪い?」
由利「ボーレース場がこんなに近いのに一度も来たことがないなんて信じられない!」
丹沢「由利さんみたいに、ギャンブラーじゃないからね、私は」
由利「ギャンブルは、いいよー。ギャンブルをやってる間は、仕事のことも世間のこともすべて忘れてそれだけに夢中になれるから」
丹沢「それはいい。今は正にその気分だ」
由利「いいかい、ここでは船外機をつけたボートが時速80キロで水面を走っていくんだぞ」
丹沢「スピード違反で捕まるぞ!」
由利「大丈夫。今日はパトカーが居ないから」
丹沢「そうだよな、今日はパトカーも休みだよな。……って、どうやってパトカーが水の上を走るんだよ!」
丹沢が、ノリツッコミの練習をした。
由利「レースの距離は1800m、その距離を6艇のボートで競うんだ」
丹沢「2艇で勝負するんじゃないんだ?」
由利「2艇だと観客全員、舟券が的中しちゃうからな」
丹沢「ふむふむ、6艇ってことは全部で6枠か。中には競馬と間違って『1―8』とか買う客も居るんじゃないの?」
丹沢はギャンブルをしないが、
テレビで競馬中継を見たことがあった。
由利「いない、いない!!」
丹沢「そうか、ならいいが。この世の中、いろんな奴が居るからな」
由利「速水爽香の番号札のことか?」
丹沢「ぐははははは!!!」
由利の言葉が、
丹沢が考えていることの的を射た。
丹沢「レース場に、こんなに人がいるとは思わなかったなぁ。それに女性客が多いのにびっくりしたなぁ」
由利「あぁ、年々女性のファンも多くなるね」
丹沢「へぇー、そうなんだぁ。この観客の中に速水爽香が居たら最高なんだけどなぁ」
由利「居るかもね?」
丹沢「居ない居ない! そんなテレビドラマじゃあるまいし、居る訳がない! 居たってこんなに多くちゃ見つからないよ」




