【05】 舟券師のすすめ?
由利「もし、速水爽香に遇ったら丹沢さん、顔わかるの?」
丹沢「もちろん、わかるよ」
由利「もう何週間も顔を見てないのに覚えてる?」
丹沢「それは忘れないよ、あれだけ揉めた相手だから」
由利「なるほどね。でも、それだけが理由なの? 結構、丹沢さんの好きなタイプだったりして?」
丹沢「とんでもない、誰が好きになるかって! 嫌な女さ、うるさくて、攻撃的で」
由利「そんな女性なんだ」
丹沢「ただ、それでも私は、会う人誰でもみんなを好きになろうと努力はしているんだ。年齢とか、外見とか、性格とか関係なく」
由利「丹沢さんは、ストライクゾーンを広げようと努力しているんだ」
丹沢「そう言うことかな、まぁ窓口業務を長年やってきたからなぁ。この仕事を続けるためには、誰でも好きになることが必要なんじゃないかな?」
由利「もし速水爽香に会ったら50mぐらい離れていてもわかるかい?」
丹沢「多分ね」
由利「そんなに離れていてもわかるんだ。丹沢さんは視力がいいんだな」
丹沢「両眼とも視力は1.5だけれど、」
由利「それはすごい、実はボートレーサーも視力が良くないとボートレーサーにはなれないんだ」
丹沢「へぇーっ、視力って大切なんだ」
由利「うん。そうだ、丹沢さん市役所やめたらボートレーサーになってみては? きっと良いレーサーになると思うな」
丹沢「それはいい情報だ、でも年齢制限は大丈夫かな?」
由利「あっそうか、ダメだ。なら、ボートレースの予想を極めて、舟券師になればいいんだ」
丹沢「舟券師って?」
由利「ボートレースの舟券を買って、的中させ、それだけで食べていく人」
丹沢「そんなすごい人間がこの世の中には居るんだ。舟券を買って食べていくんだ。舟券ってそんなに美味しいのか?」
由利「ちゃうちゃう」
丹沢「お前はチャウチャウ犬か?」
由利「舟券をそのまま食べる訳がないだろう。マヨネーズとケチャップをかけて食べるんだよ」
丹沢「そうか、マヨネーズとケチャップをかけて食べるのか、そこにマスタードもかけたいな……って、そんな訳ないだろ!」
丹沢が由利の胸を軽く叩いた。




