【18】 走行指示違反と爽香の苦悩
5艇は最後3周目に入った。
5艇の順位は変わらなかった。
4艇がレスキュー艇の外側を走り抜けた、
だが最下位を走る6号艇速水爽香だけが
レスキュー艇の内側を走り抜けた。
由利「あれっ!」
不思議そうに声を出した。
丹沢「どうかした?」
由利「いえ……?」
由利が首をかしげた。
少しして先頭の艇がゴールした。
後続も次々ゴールした。
場内アナウンス、
「1番ゴールイン、2番ゴールイン、3番ゴールイン、5番ゴールイン。なお4番は落水により失格、6番は走行指示違反により失格です」
丹沢「あれっ? 6番ゴールインしたよね?」
由利「うん、ゴールインした」
丹沢「なのになぜ失格なんだ?」
由利「6号艇は最後、レスキュー艇の内側を走ったからね」
丹沢「レスキュー艇の内側を走ってはいけないの?」
由利「うん、事故の状況にもよるけれど、レーサーは救助の邪魔をしないように、レスキュー艇の外側を走らなければならないんだ」
丹沢「そうなんだ」
事故状況により、レスキュー艇の内側を走行するのか、
外側を走行するのか、ランプ(航走指示灯)により指示が出る。
由利「もちろんレースも大事だけれど、何より大事なのはレーサーの命だからね」
丹沢「それはそうだ。命より大事なものはない」
由利「うん」
丹沢「それにしても、さすが由利さんだな。ボートレースのことはなんでも知っているんだね」
由利「とんでもない、まだまだ知らないことがだらけだよ」
爽香がレース場のピットに戻ってきた。
爽香(またやっちゃった、失格だ。しかも、現在まですべてのレースで最下位。こんな新人いるのかしら? こんなことを考えながら走っているからレスキュー艇の外か内かを走る指示灯を見落としちゃうのよね)




