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19/19

【19】 接触不可の鉄のルール

レース場のスタンドで、

丹沢「よし、速水爽香を見つけたから、ボートレース場の事務局に電話して、本人に連絡を取ってみる。『念には念を入れよ』だ」


丹沢は、そう言うとすぐに電話をした。

丹沢「事務局ですか?」

事務局「はい」


丹沢「私、美浦市役所の丹沢と申しますが、実は速水爽香選手に連絡を取りたいのですが、この電話をつないでいただけませんか?」

事務局「速水爽香は開催期間中、確かに当宿舎に寝泊まりしておりますが、」

丹沢「良かった!」


事務局「ボートレースの規則により開催中は選手に連絡を取る事は一切できません」

丹沢「えーっ! なんでよー」


事務局「誠に申し訳ないのですが開催が終了しましたら直接本人に連絡してください」

丹沢「そんなぁー、緊急なんですが!!」


事務局「緊急かも知れませんが、誠に申し訳ございません」

丹沢「本人確認をしたいのです」


事務局「すみません。電話等いっさい受付しておりません」

事務局員がそう言うと、

電話は一方的に切れてしまった。

丹沢「あれっ! 切れちゃった」


由利はそれを聞いても微動だにしなかった。

そんな様子を見ていて由利が言った。

由利「話には聞いていたが、やっぱり、いっさい電話は受付していないんだな」

丹沢「それってどういうことなの?」


由利「ボートレースは、全国のファンがパソコンやスマホで舟券を購入するだろう。だから選手は八百長やそれに関して疑われる行為をしてはならないんだ。そのため開催中、選手は外部の人間と一切連絡が取れないんだ」

丹沢「そうか、そのぐらい厳しくしないと観客に信じてもらえないし、公正なレースはできないからなぁ。納得」


◇


その後、由利は丹沢と別れて自分の部屋に戻ってきた。

由利の部屋には、契約して取っているスポーツ新聞が床に置かれていた。


スポーツ新聞には『ボートレース戸田』の、本日のレースと出場メンバーが載っていた。

新聞は出場メンバーが載っている面が見えるようにして折られていた。


そして新聞の第3レース、

速水爽香の名前が由利によって、

しっかりと赤線で囲まれていた。


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【後書き】

本作をお読みいただき、誠にありがとうございます。


物語の舞台となったのは、埼玉県戸田市にある

「ボートレース戸田」です。ここは全国でも珍しい

「漕艇場(ボート競技のコース)」を共用している

レース場で、水面が細長く、独特の緊張感が

ある場所として知られています。


公務員という「お堅い」仕事に身を置く丹沢と、

どこか食えない同期の由利。


二人の軽妙なやり取りは、まるで漫才のようですが、

その根底には「人を信じること」や

「一生懸命に生きる人々への敬意」

というテーマを込めました。


作中、丹沢が転覆したレーサーを助けようと

水面に飛び込むシーンがあります。


ルールを知る人から見れば「アホ」な行動

かもしれません。

しかし、損得勘定抜きで誰かのために

動ける丹沢の純粋さは、殺伐とした現代において、

一つの救いのように描きたかった部分でもあります。


一方で、ヒロイン(?)の速水爽香は、

デビューしたての苦境に立たされています。


「水面のクズ」と罵声を浴びせられながらも、

彼女はハンドルを放さず、水上という戦場で

必死に生きています。


役所の窓口で起きたあの「531番の奇跡(?)」が、

ボートレース場という全く別の場所で

丹沢とどう繋がっていくのか。


ギャンブルとしての面白さだけでなく、

そこに人生を賭ける人間たちのドラマを

感じ取っていただければ幸いです。


最後に、専門用語やルールの解説に

付き合ってくれた(そして丹沢を

ボートレース場へ連れ出した)由利源吾の

「深謀遠慮」が、この先どのような結末を

手繰り寄せるのか。


二人の物語はまだ始まったばかりです。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

【作者よりお願い】

最後まで読んでいただきありがとうございます!

丹沢の「救助(?)劇」、いかがでしたでしょうか。


「丹沢、そこは飛び込んじゃダメだろ!」と

ツッコミを入れたくなった方、

あるいは「由利さんの解説、助かるわぁ」

と思った方は、ぜひページ下部の

**【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして**、

ポイントで応援していただけると嬉しいです!


皆さんのポイントが、丹沢の「不運」を

「幸運」に変えるエネルギーになります。

よろしくお願いします!

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

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