【12】 お騒がせの代償とハズレ舟券
そこに場内警備員2名が
かけ足でやって来た。
警備「あなた、何やってるんですか!!!」
警備員が水面に浮かんでいる
丹沢を指さしながら言った。
丹沢「はぁ、えー、まぁ、そのー」
由利「丹沢さんは、転覆して落水したレーサーを助けるために飛び込んだのです」
警備「丹沢さんて言うのね、この人?」
丹沢「はい、そうです」
警備「丹沢さん見えますか? あそこにレスキュー艇という船がいるのを」
警備員が落水したレーサー付近を
指さしながら言った。
丹沢「えっ?」
転覆したレーサーの近くに
レスキュー艇が停まっていた。
警備「ボートレース場には、事故があったときのために、常にレスキュー艇が待機しているんです。ご存じないのですか?」
丹沢「それ、早く言ってくれる?」
警備「それ、早く聞いてくれる?」
警備「まさか、あなた、レースを妨害するために飛び込んだんじゃないでしょうね?」
由利「丹沢さんは、本当に落水したレーサーを心から心配して飛び込んだのです!」
警備「怪しいな?」
由利「そんな言い方をしなくても。丹沢さんは『純粋』なんですよ!」
警備「『純粋』なのか、『アホ』なのか、良くわからないなぁ?」
由利「『アホ』かも知れませんが、こんなに純粋な人は滅多に居ないんです!」
警備「わかった、わかった。今回は見逃すから早くそこから出て!」
丹沢は水面から陸へと these 這い上がり、
フェンスを登ってスタンド側に戻ってきた。
丹沢が出てきたことを確認すると
警備員2人は戻って行った。
丹沢はボートレース場内のトイレに行き、
濡れたポロシャツを良く絞り、
手洗い場のハンドドライヤーで乾かし始めた。
由利もそれに付き合った。
丹沢「ところで今のレース、1、2着は?」
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『ボートレース戸田』 4日目 1レース 予選 男女混合一般戦
【出走表】
1号艇 柳田 肇 32歳 A1級 勝率6.76 成績141551
2号艇 野川 孝弘 47歳 B1級 勝率4.60 成績6 2 22
3号艇 三上 昴 24歳 B1級 勝率5.47 成績536 21
4号艇 森尾 真紀 39歳 B1級 勝率4.89 成績2 3441
5号艇 天崎 智一 35歳 B1級 勝率5.36 成績22534
6号艇 山田 修二 27歳 B1級 勝率5.16 成績F 6 6
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由利「1着1番、2着5番、3着4番」
丹沢「あれっ3番はどうしたんだ?」
由利「転覆したのが3番だよ」
丹沢「なーんだ。じゃあ掛け金が戻ってくるのか?」
由利「いや、転覆は失格となりお金は戻ってこない」
丹沢「ってことは、ハズレってこと?」
由利「早い話がそうなる」
丹沢「遅く言ってもそうだろう?」
由利「まぁ」
丹沢「なんだ、それなら助けに行くんじゃなかった」
由利「まぁ、変わり身の早いこと!」
丹沢「冗談だよ、ははははは」
由利「ははははは」




