↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
3/13

03. 配属、出会い、埼玉で

 病院から退院してすぐ、埼玉支部への正式配属が決まった。

 本当ならもう少し新人教育が続く筈だったんだけどね。実地訓練後は実戦的な教育をするって聞いてたけど、この前の実地訓練で被害が出たから色々予定が変わったらしい。


 新人研修に参加するためにマギ隊をまとめてる機関の寮に引っ越してたんだけど、正式配属でまた引っ越しだ。


 埼玉支部でも寮はあるらしいけど、機関の寮だと他の子達とのやりとりが思ったより大変だったんだよね。もともと住んでた施設の子達は結構静かだったのに。

 それに、腕がなくなった状態で寮に住んでたら皆に迷惑かけそうだし。


 だから思い切って一人暮らしすることにした。

 腕が無くなったからってもらったお金もあるし、これからはマギ隊のお給料もある。安い物件を選んだ上に、学生割引に加えてマギ隊特約もついて家賃もかなり安い。贅沢しなきゃ家賃の心配はいらないかな。


 それにしても、不動産屋の人は変な人だった。内見のとき、場所によっては家までついてこずにだいぶ遠くから見てるだけだったんだけど、何だったんだろう。

 笑顔もだいぶ不自然だったし、もしかしてここって曰(いわ)く付き物件なのかな?

 マギ隊員ならぜひって勧められたんだけど、どうしてマギ隊員ならお勧めなのかは説明されなかったんだよね。

 まぁ、住めれば何でも良いか。賃貸マンションの二階で駅も近いし言うことなしだね。


 引っ越し自体はすぐに終わった。バッグに着替えとかを詰めて運ぶだけだったし。むしろ大変だったのは手続きとかだよ。手が無いってのにやたら書類を書かされるんだもんね。引っ越し手続きだけでも大変なのにマギ隊の書類もいっぱい書かされたんだから。

 利き手じゃないから大変ってのもあるけどさ、字を書くときに紙を抑えるもう片方の手がないのが思ったより大変なんだよね。重しを置いてもなんかズレてくし。


 引っ越しついでに思い切ってパソコンを買って、インターネットにも繋げた。

 これで色々調べられる。施設にあったパソコンは共同だったからなかなか使えるタイミングがなかったんだよね。


  ◆


「詳細は聞けなかったけど、大変だったみたいね」

「詳しくは言えないけど、まぁ、色々」


 少し遠くに引っ越すから、私を育ててくれた児童養護施設に挨拶にきた。母親代わりでもある浅井さんが出迎えてくれる。

 浅井さんは私の右腕を見て少し悲しそうにした。


「そう……。それで、後方支援担当に?」

「いえ、まずは普通にやってみようかと。無理なら後方支援に」


 魔法少女は人を救ってこそって教えられてきた。

 それに、この施設の子達は親を魔生体に殺された子が多い。皆のためにも一体でも多く魔生体を駆除できればなって。

 私の親も魔生体に殺られたらしいしね。ま、顔すら覚えてないけど。


「何か困ったことがあったら、いつでも連絡しなさい」

「ありがとうございます。お世話になりました」


 そう言って私は施設を出た。


  ◆


 埼玉支部は三階建ての普通の建物だった。思ったよりこじんまりしてる。

 埼玉の中心地って言われる場所からだいぶ北にあるからか、すごく長閑(のどか)な感じがする。

 職員さんに連れられて会議室みたいなところに入ると、中には四人の子が座っていた。この人達が私が一緒に戦うことになるマギ隊員か。


「ん、来たね」


 くせ毛ロングの人が立ち上がって笑いかけてくる。ちょっとワイルドな感じで、なかなか迫力がある人だ。

 私の右腕を見てもあまり反応しない。たぶん事前に知ってたんだろうね。


「はじめまして、小林唯(ゆい)です。よろしくお願いします」


「ん、よろしく。私は犬飼(いぬかい)焔(ほむら)。この第三補助隊の隊長だよ」


 第三補助隊。私が所属することになる隊だ。

 補助って言っても後方支援とかそういう意味じゃなくて普通に戦闘もする。メイン部隊の手の届かない細かい任務のうち、比較的危険度の低い任務をこなすって聞いてる。


「前衛担当、主な能力は火を出せる。詳しいことはまた追々ね」

「はい」


「ファーリー先輩は凄いんだから! なんてったって魔法少女名持ち! ランカーなのよ!」


 魔法少女名。

 実力や話題性がないと付かないヤツだ。焔隊長は結構すごい人なんだろう。

 それにしてもこの子は?


「えーと……?」


「私は佐藤極子(きわこ)! アンタの教育係よ! それで、ファーリー先輩は魔法少女フレイムファーリーっていう」


 デコ出しツインテールの子がまるで自分の事のように焔隊長のことを言う。仁王立ちで両手を腰に当てて、すごく得意そうだ。


「キワ、ちょっと落ち着いて」


「う……、はーい」


 うーん、なんか思ったより軽い感じだな。

 新人研修のときも思ったけど、マギ隊ってどこもこんな感じなんだろうか。大丈夫なの?


「キワが言ったように、一応私にはフレイムファーリーという名前が付いてる。まぁ、一般の人が付けた非公式の名前だけどね。だから任務中はファーリーと呼ばれることもあるけど混乱しないように」


「はい」


 魔法少女名には非公式と公式のがある?

 まぁ、あんまり気にしなくても良いか。必要なら説明されるだろうし。


 それにしてもキワコってすごい名前だな。

 女の子が産まれたら良い魔法が使えるようにって強い能力にちなんだ名前を子供に付けるって聞くけど、それにしてもあんまり聞かない名前だよ。

 キワコだからキワって呼ばれてるのか。


「本人が言うように、キワには君(キミ)の教育係になってもらう予定だ。分からないことがあればキワに訊くと良い。一つ上の中学二年生だから、学校のことも色々教えてくれるだろう」


「分かりました」


「それから、そっちの二人は水瀬雫(しずく)と早瀬風香」


「水瀬雫だよ、よろしくね。能力は水だよ」

「早瀬風香、よろ~。能力は風」


「よろしくお願いします」


 雫先輩は文学少女っぽい雰囲気だ。ロングストレートの髪型が真面目っぽい感じする。風香先輩は茶髪セミロング。

 二人ともたぶん高校生かな。


「ちなみに私の魔法は磁力よ!」

「あ、はい」


 ツインテール子は磁力の魔法を使うらしい。

 あんまり聞かない魔法だけど、どんな使い方をするんだろう。


「アンタは剣を出す魔法だって? 名前はあんまり剣って感じしないけど」

「まぁ」


 名前にちなんだ能力になる子が多いって言っても全員じゃない。自分でもどうしてこんな能力になったのか分からないし。

 どうせなら安全に魔生体を倒せる遠距離攻撃タイプが良かったんだけどなぁ。


「ん、自己紹介はこんなところで良いだろう。さっそくだが、これからの詳細を説明していくぞ」


「はい」


 これからこの部隊で私の活動が始まる。

 足を引っ張らずにしっかり貢献していかないとな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。