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12. 仲違い、互いの思い、理解外

「絶対、私達だけで倒せたのに……」


 また言ってる。

 残りの巡回任務中も帰りの車の中でもずっと言ってたけど、まさか晩御飯になっても言い続けるとは思わなかった。魔生体が倒せたんだから、それで良いじゃん。


 鳥の魔生体を倒してからは普通に巡回任務をやった。

 普通、巡回任務中に大物を倒したら、その死骸を運んだりとか色々後始末があるらしいんだけど、今回は死骸が残らなかったから楽だったみたい。

 太(ぶっと)い光の柱で跡形も残らなかったんだ。


「まぁまぁ、キワ。魔法型(あんなの)を相手に誰も怪我しなかったんだから、それだけで十分じゃない」


「そうですけど、でも!」


 支部には食堂がある。

 そこでは格安でご飯が食べられるから、私は朝以外いつもここで食べてるんだ。

 安いのになかなか美味しいし言うことない。


 フォークをお肉に突き立てかぶり付く。

 まるで本物じゃん。虫から作ってるなんて信じられないよ。


 キワコの視線が痛い。

 分かってるよ、この食べ方は行儀が悪いってことくらい。でも片手なんだからしょうがないじゃん。

 って言い訳ばっかしてないで、もう少し食べ方も工夫してかないとな。

 学校でこんな食べ方したらすごい目で見られそうだし。


「ごめんねぇ。キワが機嫌悪くて。注意はしてんだけど」


「ちょっと先輩!」


「いえ、問題ないです。書類の書き方とか色々とちゃんと教えてくれますし」


「キワはねぇ、SNS活動が夢なんだって。コンプラ研修通らないからできないけど」


「う……」


 ああ、だから任務の動画のできを人一倍気にしてたのか。

 人には勝手に活躍するなとか言っておいて……。

 もしかして、キワコが新人のとき勝手に活躍しようとして問題起こしたのかな。それで私が二の舞にならないように注意してくれたとか?


 マギ隊員のSNS活動は、一部の人にしか認められてない。

 なんか色々条件があるって話だったけど、なるつもりなんてなかったからよく知らないな。

 昔は一切認められてなかったらしいけど、一般人が戦闘を撮影しようとして事故死したとかなんとかで、公式から公開するようになったんだとか。


「だから、鳥を私達だけで倒せてたら広報から動画公開してもらって、あわよくば人気者になってとか考えてたんでしょ?」


「うう……。でも、魔法少女なら誰だって一度は夢見るんじゃないですか!? 強くなって凄い戦いしてランキング載ってネットで有名になって」


 キワコが顔を真っ赤にして言い返す。

 SNS活動は一般人を巻き込まないようにっていう理由でやるものだ。自分達がちゃんと守られてるのか安心したいんだろう。

 私達の危うい戦いを公開するよりも、ホワイトシューターが瞬殺する動画の方が良いに決まってるのに、どうしてそんなに怒ってるんだろうね。

 自分でやらなくても他人がやってくれるのなら、その方が楽で良いじゃん。


「まぁ、そういう子も多いよね~。私も昔は~ってね。で、それが横取りされたから怒りたいけど、横取ったのが憧れのホワイトシューターだったから複雑なんだよね~、キワは」


「憧れ? そう言えば、ホワイトシューターって結局何なんですか? ネットで見たら未登録(のら)だって書いてありましたけど」


「あー、私もよく知らないんだよね。雫(しずく)は知ってる?」


「分からない。強い魔生体が出ると何処からともなく現れて一撃で倒してく。それくらいの認識よ」


「そっかー、だよねー。一般人だけじゃなく魔法少女でも助けられたって人は多いから人気なのは納得できるんだけど」


「ホワイトシューターもSNSやってないんですよね? どうしてキワコは憧れてるの?」


「そりゃだってアンタ、すごく人気じゃない! 強いし。私だってあれくらい強かったらSNS活動もOKが出るのにさ~。ランカーになったらTV(テレビ)CMとかも出れるのよ。やっぴ~♪ パワーの出る美味しさ! これでキミも魔法少女~! ってね。引退したらアイドルとかに慣れるかも」


「引退って、マギ隊の殉職率知ってるでしょ? キワコまだ三年目じゃん。そんなことより生き残ることを考えないと」


 マギ隊は魔法少女適性が出た翌年から十年の防衛義務がある。生きて引退できる人は四分の三もいないって研修で習った。五体満足で十年過ごせる人はもっと少ないハズ。

 今から引退後のことなんて考えてもしょうがないって。


「はぁ? アンタ喧嘩売ってんの? 生き残る(そんな)こと当然考えてるに決まってんでしょ。それとSNS活動とか引退後の夢は別問題でしょうが!」


「でも、マギ隊の活動に本来SNS活動みたいな無駄な業務は」


「無駄って何よ! だいたい生き残るって話じゃ、アンタの方が危ないわ! 怖くないワケ? 普通、配属すぐで魔法型になんて出会わないし、出会っても突っ込んでける奴なんて滅多にいないわ。私は毎回怖くてしょうがないってのに」


 ああ、任務前にキワコの口数が減るのは、怖がってたからなのか。

 施設の絵本にもあったな、死ぬのが怖いって。


「そんなだから腕も失くすのよ!」


「キワ!」


「聞いたわよ。新人研修で大勢死んだそうじゃない。アンタ何も思わないワケ? 頭ん中まで鉄でできてんじゃないの?」


「キワ!! ちょっとこっち来な!」


 む……、いつもと怒り方が違う?

 どうやら盛大に怒らせてしまったっぽい。

 風香先輩に連れていかれるキワコを、私は雫先輩と見送った。


 どうしようか。

 謝らなくちゃダメなのは分かるんだけど、昔似たような感じでクラスメイトを怒らせたとき、理由が分からないままとりあえず謝ったら余計拗れたんだよね。


 うーん。



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