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2 飛竜部隊のダンガード


 その自信満々の笑みを浮かべた男は、僕に眼を止めると歩み寄ってきた。


「お! お前はクオン・チトー! 前線に出張ってきたのか」

「この男はダンガード。飛竜部隊の隊長だ」


 傍にいたジュール・ノウが僕に紹介する。ダンガードはにっと笑った。


「飛竜部隊隊長のダンガード・エスタだ、よろしくな。一応、お前と同じ獅子王戦騎団(レオン・ヘッド)の一員なんだが」


 あ……そういえば任命式の時、いたような――


「よ、よろしくお願いします」


 僕は頭を下げた。と、ダンガードは愉快気に笑う。


「そう堅くなるな、同格の仲間じゃねえか。――で、どうした陣中見舞いかい?」

「あ、いえ。僕も飛竜部隊に同行させてもらおうと思いまして」


 僕がそう言うと、ダンガードは途端に顔を曇らせた。


「……悪いが飛竜の余りはないんだ。うちは精鋭ばかりで、交替もさせられねえ――貸すことはできないぜ」

「あ、大丈夫です、僕は自分で飛びますから」

「なに!?」


 僕の言葉に、ジュールとダンガードの二人とも驚いた。

 と、ダンガードがその精悍な顔に険しい表情を浮かべて、僕に迫ってきた。


「お前、自分で飛べると言ったか?」

「は、はあ……」

「そんな力も持っていたのか、クオン」


 ジュールが感心したように腕組みをする。


「あ、いえ、スレイルさんが開発してくれたアイテムのおかげで飛べるようになったんです」

「空飛ぶアイテム? そりゃ俺も欲しいぞ!」


 声を上げたダンガードに、僕は慌てて説明した。


「違うんです。アイテムは命力を念動力に変換できる腕輪で、僕は自分自身を軽化できるんで、それで飛べるようになった――わけです」


 ダンガードは少しポカンとした顔をしてたが、口を開いた。


「……ちょっと見せてくれ」

「はい」


 僕は頷くと、自身を軽化し、念動力で浮かす。おぉ、とダンガードが声をあげる。


「じゃあ、行きますね」


 僕は一気に空中へ舞い上がった。まだ、自分でも最大速度で飛んだことがない。

 いい機会だから、少し試してみよう。


 何もない空の中を、僕は最大速度で突っ切る。

 風圧が僕の身体を押し、髪が風になびく。そのまま円運動で上空を飛び、急降下。

 砦の屋上に着地寸前で、制動する。ピタリ、と空中で止まれた。


「……」


 ダンガードが驚きのまま、口を開けている。

 が、ジュールは微かな笑みを浮かべていた。


「凄いな、お前! 自分で空が飛べる奴とは恐れ入った! いやあ、参ったな新人さんはよ! バルギラ戦で活躍したっていうから、どんな奴かと思ってが、見てみると細っこい奴じゃねえか。てっきり魔法が強いタイプかと思ってたが――」


 ダンガードは一気にまくしたてると、突如、僕と肩を組んできた。


「やるじゃねえか、お前! 今の飛びっぷりなら、うちの飛竜隊にもヒケをとらねえ。期待できるぜ!」

「なにせ私は、一度、彼らの合体技に敗れてるからな」


 ジュールの言葉に、ダンガードが驚く。


「なにっ!? あの噂は本当だったのか? あんたが負けるなんて、てっきりデマかと思ってたが――」


 デマと思ってたのかあ。


「クオンは属性変化という不思議な異能の持ち主だ。剣技は素朴だが、戦いに関しては特有のひらめきを持っている」

「なるほど……ダテに獅子王戦騎団に任命されたわけでもない、ってことだな」


 ダンガードは笑ってみせた。と、言葉を続ける。


「じゃあ、俺たちに同行してもらうが、俺たち飛竜隊の作戦は左右への拡散だ」

「左右?」

「ああ。まずジュールが中央に向かっていき、重気界を展開してその範囲の敵を叩く。俺たちは重気界に巻き込まれないように左右に展開し、重気界の外にいる奴を叩くんだ」

「なるほど、判りました」


 僕は頷いた。と、その時、ダンガードの傍に女性が一人やってくる。

 銀髪をポニーテールにまとめ、眼鏡をかけた理知的な印象の美人だ。


「隊長、遠視できました。5km圏内に近づいてます。その数――やはり一万」

「情報通りか。――よし! 迎撃準備にかかれ! 右は俺、左はリディアが先導する。いいか、墜とされるなよ!」

「「「「おう!」」」」


 飛竜部隊の隊員たちが声をあげた。

 ダンガードは僕を見て、口を開いた。


「クオンはどっちに就いても構わねえ、好きにやってくれ。――が、リディアからリンクをもらっといてくれ」

「あ、はい」


 僕が答えると、銀髪美人が傍に来る。


「クオンさん、これを」


 そう言って人差し指を差し出すので、僕はおでこを向けた。

 人差し指が光って、僕のおでこに触れる。と、念話の声が聞こえてきた。


“聞こえますか?”

“聞こえてます”

“副隊長のリディアです。よろしくお願いします”

“こ、こちらこそ、よろしくお願いします”


 恐縮しながらそんなやりとりをすると、ジュールが声を上げた。


「では――私は先に行かせてもらう」


 ジュール・ノウがそう言って動く。

 ジュールは待機していた黒の飛竜の傍に行くと、声をかけた。


「ブラックレイ、頼んだぞ」


 黒い飛竜は、黙ってジュール・ノウを見つめる。

 ジュールがその背に乗った。


「ジュール・ノウ、出る」


 ジュール・ノウの乗った黒の飛竜が一気に飛び立つ。

 それを見送ったダンガードが、声を上げた。


「30秒後に出撃する! ジュールの重気界が見えたら、左右に展開だ!」

「「「「「おう!」」」」


 隊員たちがそれぞれ飛竜にまたがった。


「よし、飛竜部隊、発進!」


 200騎の飛竜部隊が、一斉に飛び出す。それは――壮観だった。

 緑の翼をはためかせ、飛竜部隊はどんどんと飛び立っていった。


「よし、僕も!」


 僕も軽化飛行で飛び出す。

 身体を棒のように直線にして、飛竜部隊の後を追った。


 やがて見えてくる――空中に浮かぶ信じられないくらい数多くの点。

 あの一つ一つが、竜。


 ジュール・ノウの乗る飛竜が、まさにその名の通り黒い光のように飛んでいく。

 と、いきなり黒い飛竜は急降下した。


 その瞬間――紫の霧のような空間が一気に竜軍団の中に広がった。ジュール・ノウの重気界だ。


 恐らく飛竜はジュールが竜軍団へジャンプした瞬間に、急降下したのだろう。

 しかし、それじゃあジュールの足場は?


 そんな事を考えているうちに、僕らも竜軍団に接近する。

 と、念話が聞こえてきた。


“各部隊、左右に展開!”


 一斉念話らしい。と、飛竜軍団が左右に分かれて、重気界の外にいる敵飛竜に向かっていく。


「どうするか――」


 僕は考えて、ダンガードのいる右へと展開した。

 と、その間に携帯珠から棒剣を取り出す。この前、振動刀にした状態のままだ。


「うぉっと――」


 途端にバランスと崩す。というのも、ほんとに軽いものを運ぶ念動力しか使ってないので、棒剣は重かった。慌てて棒剣を軽化すると、僕は飛んだ。


「さて……そろそろ出番だね」


 飛行する僕の前に、黒い飛竜が現れる。僕は棒剣を振動ソードにして突っ込んだ。


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