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皇女殿下の飛空艇~皇女殿下は鬼畜な艇長にしごかれています~  作者: うにおいくら
第5章 トウイの国

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昔の話

 話は十年以上前に遡る。

シバとアキトがこの国へ初めて訪れた時に、二人はこの道場に副島八雲の紹介状を持ってやって来た。


 紹介状を対応した道場生に手渡すと二人は奥の間に通され、今日と同じように正座して真刀斎を待っていた。

入って来るなり二人を一瞥した真刀斎は


「お主らは一体何者だ?」

と眼光鋭く聞いた。二人から漏れ出る膨大な魔力を見て思わず口から出た台詞だった。


「今はユベリア大陸の西の果てのモルタリア帝国の住人で、シバと申します。もう一人はアキトと申します」

とシバは答えた。


「単なるモルタリア帝国の住人とな?」


「はい」


「西側の人間とは思えぬ風体ではあるが?」

と真刀斎は怪訝な顔で聞いた。

漏れ出る膨大な魔力はさておき、シバとアキトはどう見てもこのトウイの国の人間といった方が自然だった。シバとアキトは元々は日本人だ。この国ではどこにでもいる顔つきだった。


「ただ単に今モルタリアに住んでいるだけで、そこで生まれた訳ではありません」

と真刀斎の疑念を察したシバが答えた。


「なるほど……相分かった。が、このトウイの国の生まれ……という訳でもなさそうじゃな」


「はい。違います。この国どころか、この世界に我ら二人の故郷となる国はありません」

とシバは答えた。


「それはどういう事じゃ?」


「ご理解いただけないかもしれませんが、我々二人はこの世界の人間ではありません。異郷の国からこちらにやってきました」


「異郷じゃと?」


「はい。まあ言ってしまえば『神の気まぐれで、他の世界からこの世界に落とされた』みたいな……」


「ふむ。それは神仙島みたいなものか……?」


「それはどういったところですか?」

シバは聞いた事もない島の名前を言われて聞き返した。


「うむ。そこは、この国から遥か東方の海にあり、不老不死の仙人が住む島と伝えられている」

と真刀斎は答えた。どうやらその島の話は、誰もが知るような伝説らしい。


――それって史記か何かに出て来た『蓬莱山』の事じゃないのか? どこにでも似たような話はあるんだな――


とシバは古代中国の伝説に出てくる桃源郷の話を思い出していた。


「まあ、そんなところです。不老不死の仙人はいませんが、魑魅魍魎のような蒙昧な輩は沢山おりましたが……」

とシバは詳しく説明するのも面倒なので、その話に乗っかることにした。


「なるほどのぉ……まさか『神仙島』が実在するとはな」

と真刀斎は驚きを隠せないでいた。

単なる神話だと思っていたのでにわかに信じるわけにはいかないが、目の前にいる二人から発せられる膨大な魔力を見るに、彼らの言い分を信じるしかなかった。


「して、そのモルタリア帝国の住人がこの道場に何をしに参ったのだ?」


――よくこの魔力を持って普通にモルタリアで生活ができたな。隠し通していたのか?――


と思いながらそれ以上の詮索をするのはここでは控え、改めてシバに聞き直した。


「この国へ来たのは偶然ですが、この道場へ参ったのは、一手お手合わせをお願いしたく参りました」


「ほほぉ。道場破りか? この国で我が道場を破りに来るとは不届きな」

と真刀斎は不敵な笑みを浮かべた。


「いえ。違います。教えを乞いに参りました」

とシバとアキトは慌てて畳に額をこすりつけて嘆願した。


「なに? 教えを乞うだと?」

と真刀斎は訝しがりながら聞いた。


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