シバの頼み
「なんとのぉ……そうであったか。しかしだ……その皇女殿にお主らと同じ力を感じるのは何故じゃ?」
と真刀斎は首をかしげながら聞いた。ソフィアのステイタス隠蔽のスキルは見破られていた。
「それは彼女は我々とは違い、我々と同じ世界からこの世界に生まれ変わった人間だからです」
シバは持って回った言い回しはせずに、事実だけを口にした。しかしそれで真刀斎が理解してくれるかは自信がなかった。だから口調とは裏腹に心の中では不安を感じていた。
「なに? 生まれ変わっただと?」
と真刀斎は驚いたような表情でシバに聞き返した。やはりまだシバの言葉の意味を理解しきれていなかった。
「はい。ご存じの通り私とアキトは違う世界からの転移者ですが、彼女は転生者です。生まれ変わりです」
「転生? ……転移と転生の違いか……ふむ。そうすると前世の記憶も持ったまま生まれ変わったという事か?」
と真刀斎は一瞬考えてからシバに確認した。
「左様です。流石にご理解が早い」
とシバは感心したように言った。と同時に真意が伝わって安堵していた。
「お主たちを既に見知っているからな。それにしても……輪廻転生とは……そんな事が本当にあるのか……」
真刀斎は理解はできたが、信じられないという風に首を振りながら呟いた。
「でも、一目でよく分かりましたね」
と今度はアキトが感心したように言った。
「お前たちをはじめて見た時と同じ魔力が漂っておったからな」
と真刀斎は呆れた様な表情を見せた。
「こちらの世界で生まれたと言っても、持って生まれた能力は私とシバと変わりませんからね。ただ、身体がそれに追いついていないだけです」
「そう言う事があるのか……」
「はい。どうやらこの世界の人間たちの身体では、直ぐにその能力を活かしきれないようです。でも、ソフィアは身体が徐々にその能力に適応してきています。その内、完全に馴染むと思います」
と今度はシバが答えた。
「それにしてもお前達みたいな規格外な人間がまだ居たとはのぉ……」
と真刀斎は呆れかえって、それ以上言葉を続ける事が出来なかった。
――規格外って人をバケモノ扱いしてないかい?――
とシバは思いながらも
「この事は御内密にお願いします。彼女の親である皇帝や皇后も、この事実はご存じありませんから……」
と真刀斎に口止めをお願いした。
「さもありなん。言えぬも道理じゃのぉ」
と納得したように真刀斎は何度か頷いたが
――よくぞ今まで隠しおおせておったものじゃ――
と心の中で感心していた。
「そこでお願いがあります」
とシバは身を乗り出して言った。
「ふむ。儂にその皇女に稽古をつけよというのであろう」
「はい。その通りです。流石です」
とシバは真刀斎のひとことに驚きながらも、真剣な表情で言った。




