ダミアン
「でも、それからが大変だったんだよなぁ……」
とシバがアキトの顔を覗き込むように言った。
「ああ、そうだったな」
とアキトは懐かしそうな表情を見せて、シバの言葉に同意するようにうなずいた。
「え? 何があったの?」
とクロードが目を輝かせて聞いた。彼はこの後のこの四人の話が聞きたくて仕方ないようだった。
「そんなにクロードが期待するような、大したことじゃないさ」
とシバは笑った。
「素材がオリハルコンとかアダマンタイトとかだろ? それを手に入れるためには、それなりの魔獣の居る場所に行かないと手に入らないからね」
とアキトがシバの言葉を補足するように話を続けた。
「かぁ!! なんだかそれは羨ましい。おいら達にはまだ早いかぁ」
とクロードは本当に羨ましそうに、そして少し悔しそうに言った。クロードやブラウンにとっては、まさに『大した話』だった。
冒険者として、また『トウイの国』での修行で明らかに力を付けたクロードは、シバ達の冒険話が羨ましくて仕方なかった。そう、今の彼とブラウンは腕試しがしたくてたまらない状態だった。
「大公からの許しを得てから、四人でダンジョンとか、砂漠とか兎に角、大物が出そうなところを回ったんだよ」
とアキトがクロード達に言った。
「おかげでこの大陸の魔獣はあらかた退治したな」
「そうだな。フェリーとメリッサのステイタスはガンガン上がるし、腐るほどの素材を持って帰った時のオージーたちの驚いた顔は忘れられんな」
とアキトも愉快そうに笑った。『大変だった』という割には二人とも楽しそうだった。
それを聞いてクロードとブラウンはあからさまに羨ましそうな表情を見せた。
――明らかにこの二人を煽って楽しんでいるわね――
と『この二人』クロードとブラウン以外は冷めた目で、シバとアキトにもてあそばれている『この二人』を見ていた。
「そのおかげで半年後にはそこそこ整備が完了したこの試作艦を飛ばす事が出来るようになったんだったな」
とそんな空気にはお構いなくシバは言うと
「ダミアンと知り合ったのはその辺りだったかな?」
とアキトが聞き返した。
「そうだ、あの艦で飛び回れるようになってから、素材の鉱脈を一緒に探してくれたのがダミアンだったのさ」
とシバは思い出したように言った。
「え? ダミーってそんなに早くから仲間だったんだ?」
とクロードとフローラが同時に驚いたように声を上げた。
「そうだぞ。知らなかったのか?」
とブラウンが二人の反応に驚いたように言った。
「なに? お前は知っていたのか?」
「クロードが知らないのは分かるが、フローラも知らなかったとは、ちょっと驚いたな」
とブラウンは言った。彼はもうここに来て五年になる。クロードが来る前までは、ダミアンとコンビを組んでシバ達の指示で仕事をする事が多かった。それ故にダミアンの事はよく知っていた。
「ダミーと一緒に鉱脈探しをしたんだが、あいつは鼻が利くというか勘が良いというか……太い鉱脈を見つけて来たよなぁ。本当に頼りになる相棒だったな。それが縁でダミーは仲間になったんだよ」
とシバが三人の会話に口を挟んだ。
「ちょうど素材になりそうな鉱石の鉱脈を探している時に、ダミアンと知り合ったんで案内してもらったんだ。それがきっかけだったかな。兎に角、ダミーと俺たちは誰も知らない鉱脈を発見して、根こそぎ掘り尽くしてやった。ちなみに魔獣も山ほど出て来たけどな」
とアキトも懐かしそうに言った。
「本当だ。あんなに沢山のオリハルコンやアダマンタイトの山を見たのは、あれが初めてじゃったわ」
とオージーは苦笑いをしながら言った。
「う~ん。その場にオイラも居たかったなぁ……」
とクロードは本当に羨ましそうに言った。その瞬間
「お前、その当時はまだ赤ん坊だろうが!」
とブラウンがツッコミを入れた。
その場にいた皆が笑った。




