艦内
その時、フレデリックと同じように、この試作艦を見て回っていたメリッサが
「本当に勿体ないよねぇ……。良い艦だよ。これ。戦艦にしなくても使い道は幾らでもありそうなのにね」
と、この試作艦を気に入ったように言った。
「そうだな。こんな艦は、もう造れないかもしれないな」
とフレデリックもメリッサの意見に同意した。
「たかだか十隻やそこらの建造でコストなんて関係ないだろう? 戦艦だぞ? コストよりも大事なものがあるだろう?」
とオージーは自分に言い聞かせるように愚痴った。
「その気持ちはよく分かる」
とフレデリックはオージーの愚痴にも頷いた。
「……結局、その艦も野ざらしのまま、いずれ解体される運命だった……」
そう言い終わった瞬間、オージーが気がついたように
「あ、立ち話も何なので、艦内に入られますか?」
とフレデリックに提案した。
一瞬シバと顔を見合わせたフレデリックは
「勿論、乗艦させてもらうよ。艦長」
と笑顔で快諾した。
その言葉に気を良くしたのか、オージーは笑顔を見せて四人を艦内に促した。
「ほほぉ……中は案外綺麗だな。本当に家みたいだな」
とフレデリックは感心したように言った。四人が案内されたのは、この艦の格納庫だった。それが今は明かりも灯り、大広間の様に模様替えされていた。
「一応、自宅の様に使っていますので……」
とオージーは申し訳なさそうに言い訳した。
「この灯りは?」
「はい。まだ動力はまだ生きていますので……一応、全ての機能は生きています」
「……という事は飛べるのか?」
「残念ながらそれは無理です。しかし飛空石があれば……」
「成る程……精製されたガリア鉱石……だな?」
「はい」
「それがあると飛行は可能だと?」
「はい」
「純度の高いガリア鉱石は高価だからな……おいそれとは手が出ないか……それにこれは試作艦と言っても戦艦だからな。その辺の純度の低いガリア鉱石ではまともに飛ばす事もできないか……」
とフレデリックも納得した様に頷いた。
「なんだい? フェリー。まさかあんたも『これを飛ばしたくなった』って言うのかい?」
とメリッサがからかうように聞いた。
「うむ。正直に言おう。俺は今これを猛烈に飛ばしたくなっている!!」
とフレデリックは両腕に力を込めて言った。
それを聞いてシバとアキトも猛烈に頷いていた。
「はぁ……本当にあんた達は男の子だねぇ……」
とメリッサは呆れたように言った。
――本当にこいつ等、ガキだな――
と思いながら……。
「お前はこれに乗って大空を駆け巡りたくないのか!?」
とシバがメリッサに食って掛かった。
「ふん! それ以前に、これを飛ばした時点で捕まるだろう? そもそもこの人が今まで見つからずに、ここに住んでいられた事の方が驚きだわ」
とメリッサは冷静に言った。
彼女の言う通りである。オージーが廃艦となって野ざらしになっていたこの試作艦を、勝手に持ち出して隠匿しているものである。見つかれば、即処罰される。現在オージーは、紛うことなき盗人である。




