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皇女殿下の飛空艇~皇女殿下は鬼畜な艇長にしごかれています~  作者: うにおいくら
第16章 飛空艇ミカサ

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試作艦バルバロッサ

「なんだと?!」

とオージーは眉間に皺を寄せて驚いたように聞き返した。


「俺が乗艦したのは二年ほど前だったか……この艦(ふね)は試作壱号艦で、だから大きさも本来よりも小さく作られていた……だったかな? それとコードネームが……え~と何だったかな……『バルバロッサ』だったような気がする」

とフレデリックは過去の記憶を辿りながら聞いた。


「そうだ……その通りだ……この艦に乗ったって……あんたら一体何者だ?」

とオージーはこの四人に興味を持ったようだ。


「あ、乗っていたのはこの人だけ。そしてこの人はモルタリア帝国の第二皇子だよ」

とシバが言った。


「なんだとぉ?」

とオージーは更に驚いたように聞き返した。そしてフレデリックの顔を食い入るように見た。


――確かにあの時、モルタリア帝国の皇族が乗艦していた――


とオージーは記憶を辿って思い出していた。


「俺は叔父(ベニート大公)に招待されて、兄上と一緒にこれに乗艦したんだよ」


「第二皇子だと……そんなお方がなんでこんなところで、冒険者を名乗っているんだ?」

とオージーは聞いた。この世界の常識では、皇族が冒険者になったりはしない。オージーが驚くのは当たり前だった。


「名乗っているのではない。本当にこの変わり者の皇子は冒険者になったんだよ」

とシバがオージーに教えた。


「なんと……そんな事があるのか……」

とオージーは絶句し考え込んだ。さっきまでこの不審者たちに警戒していたが、全くの予想外の展開に彼の理解が追い付いていなかった。


 暫くしてオージーが落ち着いたのを見計らって


「この試作艦は廃棄されたんじゃなかったのか?」

とフレデリックが聞いた。


「その通りです」

とオージーは立ち上がり、さっきまでとは打って変わって言葉遣いが丁寧になった。


「この艦は試作壱号艦として建造されましたが、結局採用されずに終わり……そして廃棄されました」


「うむ、それは俺も知っている……その廃棄された艦が何故ここにある?」


「私はこの艦の設計に携わった者です。基本設計主任の元で、この艦の設計思想をまとめたのは私です」


「ほほぉ。つまり君はオリバイエ公国軍政部の造船官だったという事か?」

とフレデリックは聞き返した。


「はい。その通りです。殿下」

とオージーは背筋を伸ばして答えた。その姿は元軍人である事を彷彿とさせるものでもあった。


「殿下は止めてくれないか。今は単なる冒険者だ。フェリーと呼んでもらって良い。ところで君の名は?」

とフレデリックが笑顔を見せて名前を聞いた。

しかしそう言われたから『はい、そうですか』と言える訳もなくオージは困惑した表情でシバ達を見た。


「そうそう。俺たちも『殿下』なんて呼んでないから大丈夫だよ」

とシバが笑って助け舟を出した。


「そうですか……私は元造船大監オージー・グッテンベルクと申します」

と観念したように名乗って頭を下げた。


「うむ。技官だったのか……それも将校か……」

とフレデリックは意外そうに呟いた。

オージーが名乗った『大監』とは、造船官という技官の職制の一種だが、軍隊では大佐級の役職に相当する高級将校だった。


「で、なんで造船官だったあんたが、こんなところで住んでいるんだい?」

と今度はシバが聞いた。


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